と云うことで、昨日の午後、東京ステーションギャラリーの没後90年記念 岸田劉生展を観てから中央線特別快速で一路西方へ...八王子で下車、八日町の八王子夢美術館で素描礼讃 岸田劉生と木村荘八を...そんな訳で二つの展覧会を梯子した。
目的は《道路と土手と塀(切通之写生)》の確認と、以前、東京ステーションギャラリーの生誕120年 木村荘八 展を見損ねたので、是非とも墨東奇譚の挿絵も観たかったのだが、それも新聞小説を丁寧にスクラップしてあるノートも展示。
明治・大正・昭和と生きた木村荘八が昭和30年に描いた千住のお化け煙突...僅かに自分とも時代が重なる。
と云うことで、なんちゃって絵画探偵となり、先ずは時層地図から切り通しを検証...。
と云うことで時層地図にマークした処が《道路と土手と塀(切通之写生)》の場所なのだが、今回の展覧会には豊田市美術館が2005年に買い取ったとされている代々木附近 [1915年 (大正4)]も併せて展示されており、場所の特定を確かなものとしている。
GoogleのStreetviewで見ると左側のコンクリート塀と出入口は山内邸の時代の塀をそのまま流用しているものと思われる。
青山のPinpoint Gallery.で11月27日(月)から12月9日(土)までたむらしげる個展「Moonshiner」が開かれます。
たむら君がピンポイント・ギャラリーで個展を開催するようになったのが1990年・前後だろうか?...僕もまだ青山4丁目の事務所にいた頃で、ギャラリー向かいにその頃あった嶋田洋書や、青山通りの無印の路面店くらいまでは徘徊していたので、あの周辺の裏通りまで精通しているつもりだが、GoogleMapを見てみると、三井住友銀行青山支店が青山三丁目近くのピーコックストアの隣から、じわりじわりと移転を繰り返しピンポイント・ギャラリーの斜向かいの骨董通りまで、いつの間にワープしていたりで街の様相もすっかり変っているようだ。ということで火曜は市ケ谷の帰りに久しぶりに青山を徘徊してみよう。
そんな事で、彼の最新作も...
よるのおと:たむらしげる・作 偕成社・刊
5年前、『たむらしげるの世界展鵺 空想旅行』の展示最終チェックに来たたむら君と一緒に、彼が少年時代を過ごした丘の上にあった家の跡を車で訪れたことがある。昔は八王子駅にも転車台があったし、彼が耳にした音の原風景を理解できる気がした。彼は家の窓から谷あいを走る列車や遠い町並みの夜景を見て、夢の中ではよるのさんぽのイメージを膨らませていたのかも...。
昨日は専門学校の出講日で、その帰り府中で途中下車して府中市美術館で開催中のフィンランド独立100周年記念・フィンランド・デザイン展を見て来た。5年前の2012年に宇都宮美術館等で開催された「フィンランドのくらしとデザイン」と比べるとフィンランド・デザインの源流である絵画や風土に関する展示等は割愛され、独立以前の装飾芸術から現在までのフィンランド・デザインを6つのセクションに分け、家具、工芸、テキスタイル、平面表現等が展示されている。今回の展示会の図録とは別に宇都宮美術館・主任学芸員の橋本さんによる「フィンランド・デザインの原点 ―くらしによりそう芸術」もミュージアムショップで販売されいるが、展覧会では説明出来ないフィンランド・デザインの原点を補填・解説する資料として貴重だが、それでも2012年の展覧会の図録に比べると半分の頁数しかないダイジェスト版である。それだけ2012年の「フィンランドのくらしとデザイン」展は総合的に学術的にも纏まっていた訳だが、今回のそれは肩肘張らずに身近にフィンランド・デザインを感じる展覧会として親しみ易さを第一に企画されているようだ。
1階のエントランスホールに置かれているアールトの家具も自由に腰掛けることができる。
右が、今回の展覧会の図録。
市ケ谷からの帰り都営新宿線と京王線を乗り継ぎ、京王八王子から甲州街道沿いの廃れて行く商店街の中、孤軍奮闘している個人商店を横目に横山町から八日町まで歩き、八王子夢美術館で会期が今週末までとなった「カッサンドル・ポスター展」を見てきた。チャコールグレーの壁面に展示されたカッサンドルの大型ポスターは、極端にパースペクティブを強調したり、部分を極端にクローズアップした構図等々、コルビジュエをして「キュビズムではない」と言わしめるほど、トリッキーでセンセーショナルだったのだろうが、ポップアートやポストモダニズムの季節を通過した後では、グラフィックデザインのルーツとして懐かしさも感じる。そういえばレイモンド・ローウィとイメージが重なる処が感じられたので、ローウィの2004年の展覧会図録を引っ張り出し調べてみると、二人ともアメリカの雑誌「ハーパーズ・バザール」(Harper's Bazaar)の仕事をしていた、これは編集者が同時代の表現者として彼らのデザインを採用していたのだろう。
今回の図録には掲載されていないが、アナザーストーリーとして9枚のレコードジャケットが展示されていた、これはカッサンドルのデザイン事務所による仕事の様だ。その中の一枚、アルド・チッコリーニのサティのピアノ曲集は私も持っていた。尤も私のLPは東芝EMIによる国内盤なので若干の変更は加えられているようだ。
公式サイト:A.M.CASSANDRE
Wikipedia:アドルフ・ムーロン・カッサンドル (Adolphe Mouron Cassandre)
2012年・夏の「フィンランドのくらしとデザイン」展から五年、フィンランド独立100周年記念の巡回展「フィンランド・デザイン展」の図録を補填をする書籍が「フィンランド・デザインの原点 ―くらしによりそう芸術」が宇都宮美術館・主任学芸員の橋本さんの手により刊行されたことをFBで知った。9月に開催される府中市美術館の展覧会に先立ちAmazonより入手した。因みに右は2012年の「フィンランドのくらしとデザイン展」の図録です。フィンランド独立100周年と云うことは1917年のロシア革命から100年ということでもあるが...。
僕にとって「フィンランド・デザイン」と聞いて先ず最初にイメージするのはやはり「アールト」の建築と家具だろう。そしてマリメッコのファブリックとかイーッタラにアラビアの食器...そして近年ではNokiaだろうか。2008年にiPhoneにするまでは3台のNokiaを乗り換えて使っていた。その程度の認識しか持ち合わせていなかった自分にとって2012年の宇都宮美術館で観た「フィンランドのくらしとデザイン展」は目に新鮮だった。
イタリア・ルネッサンスに始まり、マニエリズム、バロック、ロココ、新古典主義から近現代の絵画表現へと連なる流れの中で、北欧絵画に触れる機会は殆どないと言っても良い。極く最近では国立西洋美術館で「スケーエン:デンマークの芸術家村展」が開かれたりしているが、北欧と一括りにはできない風土の違いが空や海の色、人々の表情を捉える光に現れていて興味深い。そしてフィンランドの原風景にはユーラシア大陸から飛び出した半島の先にあるデンマーク・スケーエンの光は見られない。白夜の国の静かさが森と水面に表現されている。其処には表紙にも用いられているペッカ・ハロネンの雪の表現が川瀬巴水の版画表現に通じる処もみられ、フーゴ・シンペリの風景画も川瀬巴水の風景版画と共通する静寂さが感じられる。世界の中心になることを求めず、ゆったりと静かにコーヒーとシナモンロールを味わう、そんなひと時を支える自分好みのデザインがあれば尚更である。
フィンランド・デザイン展は現在愛知県美術館で5月28日まで開催中、その後、福井市美術館をへて、府中市美術館(9月9日〜10月22日)から宮城県美術館まで巡回。
本書目次
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フィンランドらしさ」とは何か── デザイン、建築、美術・工芸の根底を探る
第1章フィンランド・デザインの黄金期
くらしとデザイン── フィンランドの普遍性と独自性
□衣・住のためのテキスタイル
□食卓を彩る器とキッチン用品
□住まいの装飾と家具
Column
デザインを支えるフィンランドの企業──「デザインの原理」の正しい実践
国策としてのモダン・デザイン──「フィンランドらしさ」が世界に羽ばたく
第2章フィンランド・モダンの成立
□ナショナル・ロマンティシズムの現れ
□モダニズムの受容と展開
風土・文化に寄り添う独自のモダニズム
Column
サーリネンとアールトの建築ディテール
自然・人口の光をデザインする── 白夜と極夜の国で
第3章フィンランド・デザインの源流
北カレリアのイマジュリー―フィン人の原風景
□森と湖
□日常の風景
□物語『カレヴァラ』
Column
美術・産業工芸とカレリアニズムーフィンランドのものつくりの原点
パリ万国博覧会と芸術家たち── 芸術家コミュニティの形成へ
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そういえば、日本の建築家でアールトに影響を受けた建築家といえば吉武泰水に武藤章がその代表だろうか、アールトの国民年金局やヘルシンキ工科大学(現・アールト大学)等の煉瓦タイルの外壁と連窓による外部デザインのモチーフは吉武研究室による建築の随所に見られましたですね。
昨日は専門学校の入学式の後、市ケ谷から竹橋まで千代田区内を徘徊。途中、九段のイタリア文化会館でイタリアブックフェア2017を覗いてから、千鳥ケ淵から桜を愛でながら、北の丸を抜け近代美術館にて開催中のマルセル・ブロイヤーの家具を見学、ブロイヤーといえばワシリーチェアー(クラブチェアB4)と篭目編みの背凭れと座面を用いたスチールパイプのキャンティレバー構造のアームチェアーやサイドチェアが有名だが、日本国内で回顧展が開かれるのはこれが初めてのようだ。略同時代の家具デザイナーで建築家のイームズは回顧展が2001年に東京都美術館で、2005年には目黒美術館でも開かれているのに対し以外であった。やはり代表作だけでなく、試行錯誤していた時代の家具などにはリートフェルトやイームズとも共通するデザイン志向が見て取れるのが興味深い。
竹橋から東京駅まで歩こうとも考えたが地下鉄で取り敢えず大手町へ...ここで丸の内に乗り換えても意味がないので...地下道から東京駅丸の内北口へ...改札脇のエントランスからステーションギャラリーのパロディ、二重の声 ――日本の一九七〇年代前後左右を見る。内容的には殆どリアルタイムで見聞きしていたものなので、懐かしさよりも「何を今更」と思う気持の方が強かった。逆に云えば美術館に納めるくらい、パロディの精神は死に耐えているとも考えられる。これも時代の劣化だろうか。
テレビは観ていなかったが深夜のネットと今日の朝刊で「鑑定番組で新たな曜変天目茶碗か テレ東の収録で発見」のタイトルを観て、???、早速、辞書を調べて「そうか」と思った次第。しかし、焼き物や骨董に興味がなければ「曜変」は判らないでしょうね。私も建築設計の仕事をしているので、昔々の修行時代に「仕上げ表」に「窯変磁器タイル」と何度も書いた事があり、新解くんと同じように窯内で焼成時の釉薬等による化学変化の結果を示す「窯変」を納得して憶えていたので「曜変」に???でした。「曜変」には曰く付きの有難い物語があるのでしょう。
17日の土曜日、久しぶりにバスで高尾駅から甲州街道を市内・八日町まで行き、八王子夢美術館で開催中のイギリスからくり玩具展〜ポール・スプーナーとイギリスオートマタの現在〜を観て来た。八王子夢美術館ではこれまでも「世界のアートな玩具たち」や「ムットーニ ワールド からくりシアター」等を開催してきているが、今回は現代のイギリスのオートマタ作家であるポール・スプーナーに焦点が当られている。表現方法として作家はオートマタ(からくり玩具)を選択しているが、これらの世界観でイラストレーションでもコミックでもアニメーションにでも展開できそる可能性も秘めている。逆に云えばコミックやアニメーションのワンシーンを3D変換してオートマタに封じ込めたとも…考えられる。
展示されているオートマタの手回しハンドルに直接手を振れることはできないが、展示ケースに仕掛けられた電動モーターに連動したスィッチを押せばからくりが動き出すようになっている。他にも動かすことの出来る歯車の機構模型もあり、オートマタに欠かせないラチェットの仕組みも解りやすく展示されている。
と云うことで、展覧会の図録ではないようだが、書店では販売されていない書籍とペーパーモデルを…購入。
そういえば、アカデミー賞の短編アニメーションにノミネートされた英国のSmith & Foulkesによる「This Way Up」の表現と共通する…何かがありそうだが…さて。
追記:akiさんが、BBC NEWSのポール・スプーナー・アトリエ取材記事を教えてくれた。
BBC NEWS14 March 2013Twisted toymaker Paul Spooner on his 'wooden cartoons'
村井修写真集:TIME AND LIFE 時空
9月16日から10月16日まで開催された村井修 半田写真展『めぐり逢ひ』を記念して出版された本書は村井氏の70年の足跡から1956年から2005年までの代表作と未発表作98点が選ばれ収載されている。
その村井修氏の訃報を知ったのは写真展も終了から10日を経た10月26日の村井修 半田写真展実行委員会のFacebookであった。そして、本日の告別式の時刻に合わせるように遺作となった本書がAmazonから届いた。
今回の写真展と同様に98点の写真には通し番号があるだけでタイトルもキャプションもない、これも先入観を持って写真に接しない為の配慮だろう、タイトルを見て判った気になるよりもあれこれ考えてから巻末の作品リストを見て納得したりする。お逢いすることは無かったけれど、これも故人を偲ぶ供養のカタチかも知れないと勝手に思っている。
昭和三年発行の五万分の一地形図の豊橋の市街地を流れる農業用水路(牟呂用水)の青く塗った部分に戦後闇市から派生した小規模店舗の移転先として1964年(昭和39年)から1967年(昭和42年)に掛けて造られた幾つかのビルを総称して水上ビルと呼ばれているそうだ。ん〜…これは三原橋の銀座/傳八のあった三原橋センターと三原橋地下街に似たような話である。そんな訳で「あいちトリエンナーレ 2016」の会場にも使用されている水上ビルを見たいと思った。
と云うことで、築50年を過ぎようとする建物は名誉ある?「既存不適格建物」となり、ここも御多分に洩れず、シャッターが閉まったままのテナントが多いようですが、どことなく戦後闇市のDNAが香り立つようです。そういえば、建替え中の渋谷東横百貨店も渋谷川の上に造られていますね。好き勝手に法律を解釈する官僚上がりの強盗慶太のDNAは今も健在のようです。
橋の欄干だけが残っている。あたしん家の地名は谷戸の地形から狭間町ですが、ここは何なのでしょうか。
ブラジルのラウラ・リマによるインスタレーションですが、小鳥が逃げたり死んだり、問題もあるようです。
問題:中日新聞・小鳥、逃げたり死んだり 「あいちトリエンナーレ」豊橋の展示
対処:鳥の保護活動/TSUBASAみらくる日記・「あいちトリエンナーレ2016」のご報告
屋上も無法地帯に…これも戦後闇市のDNAを伝えるものでしょうか。
関連:ミツカン水の文化センター機関誌『水の文化』47号 つなぐ橋
川がない橋が秘めた東京の履歴 斉藤 理
8日の午後は吉田城跡の豊橋公園に駅前から路面電車に乗ってやって来た。いちおう、「あいちトリエンナーレ 2016」の会場の一つになっている事に加え城跡の探索と路面電車に乗ることも目的であった。
と云うことで歌川広重の東海道五十三次の吉田宿である。豊川に架かる東海道の橋を臨む風景は往時の面影を今も偲ばせるものがある。それは護岸をコンクリートで固められていないこと、それを可能にした放水路の整備があったからだろう。復元された鉄櫓(くろがねやぐら)脇の展望台に立つと思い掛けない風景に心が和む。
ということで本丸跡で催された「あいちトリエンナーレ 2016パフォーミングアーツ」のAnimal Religionによる『Chicken Legz』がこれだ。何やら広重の東海道五十三次・吉田に描かれた鉄櫓の足場に登っている鳶にも、似てないことはない。
Facebook:Animal Religionには「あいちトリエンナーレ 2016」の情報も...
豊橋公園の入口には陸軍「歩兵第18連隊」の名残を示す歩哨が立っていた哨舎がそのまま残されている。吉田城のボランティアのオジサンによれば城跡が陸軍歩兵第18連隊の駐屯地となったため、本丸とその周囲の曲輪を残し、他は城跡の原形を留めていないそうである。
会期中に米寿を迎えた写真家・村井修の「村井修 半田写真展『めぐり逢ひ』」を連休の前日に見て来た。私の高木滋生建築設計事務所・時代の先輩・渡辺さんが会場の一つになっている「旧中埜半六邸(母屋)改修工事」に携わったこともあり、今回の写真展の展示にも協力していることから「見にきませんか」とお誘いがあったので、半田まで足を延ばし、事のついでに翌日は名古屋と豊橋のあいちトリエンナーレ 2016も見て来た。
村井修の写真は風景の切り取り方は元より、動かざる都市や建築そして風景を撮る時にも一瞬の光を捉えるシャッターチャンスは一度しか無い事を教えてくれる。松華堂ギャラリー会場の壁面を飾るルーブル美術館エントランスのガラスのピラミッドの写真はそんな写真だ。私を少年時代に時間旅行させてくれる記憶の風景「1950年代の風景」(昭和30〜34年)も良かった。この写真集は自主出版だけで市販されていないのが惜しい。丹下健三の山梨文化会館・1967の写真は『...雑踏のなかに、いかにもその環境にそぐわず建っている建築を意地悪そうな目つきで撮る。』と「村井修写真集 写真都市」の序文で丹下健三は物怖じしない15歳年下の村井修の才能をこの様に表現している。
オランダのモダン・デザイン: リートフェルト/ブルーナ/ADO
東京オペラシティ アートギャラリーで開かれている"Dutch Modern Design Rietveld / Bruna / ADO"を見てきた。本ブログのCATEGORYにはG.T.Rietveld があり、これまで18のエントリーがあったがこれで一つ追加された訳である。と云うことで2004年のリートフェルト展以来、12年ぶりのリートフェルトである。今回の展覧会は1997年にセゾン美術館で開催された「デ・ステイル展」を企画した当時のセゾン美術館・学芸員で現在、大分県立美術館館長の新見隆氏による企画と云うことで、デ・ステイルをルーツとする「オランダのモダン・デザイン」からリートフェルト/ブルーナ/ADOが取り上げられている。リートフェルトの代表作である《シュローダー邸》が未亡人と残された三人の子供達の生活空間として造られたこと、そしてADOによる木製玩具、ブルーナの「ミッフィー」の絵本と、日常的な生活に深く結びついているオランダのデザイン文化にフォーカスを当てたものである。
そう言う意味で、リートフェルトの日曜大工で作ることのできる組み立てキットとして考案された椅子等はホームセンターで売られている材料で直ぐにでも出来そうである。ブルーナのミッフィーも最初の頃は「おブスちゃん」で、またそれも可愛いのだが…シュローダー邸前のブルーナのスナップ写真も同じ街に生まれ育ち生活している者の日常の一コマに過ぎないのだろう。
日曜美術館の「アートの旅 あいちトリエンナーレ編」を見た。2005年に"ART CIRCUS"をテーマにした「横浜トリエンナーレ2005」を見たのを最後に、こうしたイヴェントに足を向けたことがないが、今年はこれだけのイヴェントが開催中かこれから開催するらしい。
ウィキペディアにリストアップされているトリエンナーレとビエンナーレの、その数の多さにも驚く。国内のイヴェントは2000年以降に始められたものが多く、自分が知らないイヴェントの方が多数だ。こうしたブームは北川フラムがアートデレクションした大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレが発端なのだろうか…村おこしや町おこし、そして地域活性化の名目で…助成金も使われ、予算も確保できるようになったのだろう。背景には美術系大学が全国的に増えたことも一因にあるような気もする。そうした美術系大学の卒業生たちの発表の場や、ポスドクが教職を得るまでの期間、こうしたイヴェントのキュレーターのポストを提供する意味もあるのだろう。そこでアートデレクションの能力も試されるのかも…。
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あいちトリエンナーレ 2016
岡山芸術交流 Okayama Art Sumimit 2016
瀬戸内国際芸術祭 2016
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混んでいるとは聞いていたが…午前中の授業が終わってから…駆けつけたが...160分待ちとは…諦めて…上野公園から去る。
まぁ、今回の展覧会は期間も短く、各メディアも競って宣伝していたから…むべなるかな。11年前の静岡県立美術館での展覧会は...ゆっくり見られたのであるが…残念。
高尾駅北口・甲州街道に面したgoto.Room18%で開催中の平林達也写真展 霊気満山~高尾山~を散歩がてら見て来た。デジタル写真全盛期の今日、展示されている作品は全てモノクロ銀塩写真の手焼き。残る会期は今日と来週末の二日間のみ。
こちらのサイトからも作品の一部が見られます。東京画・「高尾山 霊気満山」
原発事故によって棄民とされた人々の姿はなく、荒れ野と化した農地の向うに見える遠い山並みは、日本の何処にでも遍在する風景でもある。(パノラマ写真:上・チェルノブイリ、下・福島)
パルテノン多摩市民ギャラリーで「流転 福島&チェルノブイリ」を見て来た。写真展であるが、撮影は御自由にとなっている。個人の引出に仕舞っておくより情報は拡散したほうが良いのだろうと解釈してブログにエントリーした。パルテノン多摩での展示は昨日で終了したが、この後、広島、函館、札幌、横浜、名古屋、他…と写真展は全国を巡回するそうだが、全て自費とのこと。
かさぶた 福島 The Silent Views
昨日は久しぶりに展覧会を梯子した。上野の国立西洋美術館のカラヴァッジョ展と東京ステーションギャラリーの「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」である。イタリアと画家と云う共通項以外、時代も何もかも違いすぎる二人だが…今年は日伊国交150周年と云うことで….Embassy of Italy in Tokyo。
と云うことで午前中の会議を終え、市ケ谷から秋葉原経由で上野へ、京浜東北線の車窓から須賀工業の看板が目に入る。これもルイジ・ギッリによるモランディのアトリエ写真が須賀敦子全集の表紙カバーに用いられていなかったら、見えてない風景であった筈だ。カラヴァッジョ展は3月1日から始まったばかりの平日なので、館内は自由行動の修学旅行生と時間に余裕のある年輩客が入っている程度なので、ゆっくり見る事ができた。カラヴァッジョ展とは云え、出品作品51点の内、カラヴァッジョの作品は12点のみ、尤も代表作の「聖マタイの召命」等、教会の祭壇画の類いは当然の事ながら持って来られる筈もなく、展示されているのは風俗画、静物、肖像、それに個人や美術館所有の宗教画の類いである。バロック絵画の黎明期と云われる16世紀後半から17世紀にかけて絵画が最先端のメディアとして、人間の欲望や憎悪に嫉妬をリアリティを持って描く様は今日の大衆写真週刊誌やワイドショーの様にも思え、エクスキューズとして其処に宗教が絡んでいる状況なのかな…。
そういえば、「神の園」をテーマパークとした世界劇場を仕上げるミッションを賜ったジャン・ロレンツォ・ベルニーニの作品が一点だけありました。それはクライアントでもありパトロンでもある教皇ウルバヌス8世の肖像画。或る意味、とてもバロック的に描かれていましたです。
上野を後にして山手線で東京駅に…久々の10年ぶりの東京ステーションギャラリーです。丸の内・北口改札を出て右のギャラリー・エントランスからエレヴェーターで3階に…
モランディの作品を見るのは初めてですが…何処か懐かしさを憶えます。ただモノ(静物)を描くのではなく、そのモノ同士の関係性やモノによって生じる空間を描いている。その端的な事例は対象となるモノを白抜きとして背景の空間を描いているエッチング作品の「テーブルの上の壺」だろう。
モランディは建築家にもインスパイアーを与えているようでフランク・ゲーリーのこの住宅もそうだろうと映画監督のシドニー・ポラックは主張しているらしい。
「逆さのじょうご」と題されたコーナーの作品を見て、そうかアルド・ロッシ・デザインのALESSIのケトルやエスプレッソメーカーはモランディへのオマージュなのだと直感した。図録の解説によれば金属製の円筒に逆さにした漏斗を溶接したモランディ手製の容器ということだ。アルド・ロッシの「都市の建築」アメリカ版初版への序文に添えられた望遠レンズによる「ニューヨーク、マンハッタン島、ダウンタウンの摩天楼」の写真はモランディの静物画の様にも見える。
東京ステーションギャラリー二階の出口を出ると、其処は丸の内・北口改札ホール・上部吹抜けのギャラリー(回廊)に出る。回廊を半周してから階段を下りれば北口改札の前、一番線の中央線ホームに上るエスカレーターは目の前...始発から終点も近く感じる。
東京ステーションギャラリーで「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」と題された展覧会が2/20から4/10まで開催されている。ジョルジョ・モランディの名を知ったのは左の「ルイジ・ギッリ『写真講義』」の表紙カバーに用いられたモランディのアトリエ写真からであるが、その前に「槇文彦・漂うモダニズム」の「追悼・三人の作家が残したもの」を読んで、三人の作家の一人・須賀敦子を読みたくなり、河出文庫の須賀敦子全集を買った処、表紙カバーに使われていた写真がルイジ・ギッリの「モランディのアトリエ」であった。そんな折り新聞書評のルイジ・ギッリ『写真講義』の表紙が目に留まり、あれ!と思い、『写真講義』を手に入れた次第である。「モランディのアトリエ」は主亡き後、ルイジ・ギッリにより写真に記録したものであるが、その際、写真撮影の為に家具や置物等を動かして演出することはなく、モランディのアトリエを光でフィルムに描いたものだ。
モランディに辿り着くまで、建築家、作家(文学者)、写真家と回り道をした訳だが、そうしたフィルターを通して思い描いた絵画とは別な発見があればと…期待している。
追記:2016.02.25
午前中、駅前の銀行まで行き、ついでにコーヒーとか、買い物を済ませ、最後に古本屋を覗いたら、、こんな本が平積みの一画に...ベルギーのイラストレータ・フォロン(Jean-Michel Folon)によるフランス語で「ジョルジョ・モランディの花」と題されたハードカバーの画集だ。本文はフランス語なので???であるが、恐らくフォロンが選んだと思われる花を主題にしたモランディの静物画とセピア色のアトリエの写真が(補足:因みに文章と写真はフォロンによるものでした。)…無造作に表紙カバーに貼られた値札シールには「¥300」…..迷う事なくレジに直行…展覧会の予習に僕を待っていてくれたようでした。しかし、フォロンもルイジ・ギッリもWikipediaには日本語解説がない処が、哀しいような...淋しいような。
八王子市夢美術館で開催中の『ますむらひろしの北斎展』を観てきた。ますむらひろしと云えば漫画「アタゴオル」シリーズの巨漢ネコ・ヒデヨシや、登場人物をネコに置き換えた宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を連想するが、今回は北斎の富嶽三十六景、富嶽百景、北斎漫画、諸国瀧廻り、等々を「アタゴオル」の世界に置き換えた作品52点と「アタゴオル」シリーズの作品24点が展示されている。北斎の世界観の中で、何の悩みもなさそうなヒデヨシがどう描かれているかが見所だろう。「窓中ノ不二」では欠伸をしながら背と腕を伸ばすヒデヨシの傍らに火鉢にあたるネコが描かれており、思わず笑ってしまったが、やはり室生犀星の飼猫ジイノへのオマージュのようで、原画にある火鉢を見て描かずにいられなくなったようだ。
今回の展覧会はB4の大判図録も用意されていた。因みにAmazonからも購入できる。
ますむらひろし北斎画集 ATAGOAL×HOKUSAI
と云うことで今月末に閉館することになった神奈川県立近代美術館 鎌倉にお別れに...。高尾山ICから圏央道を南下、新湘南バイパス、国道134号と走り、鎌倉市内の渋滞を含め約1時間10分程度のドライブでした。八王子市内にも幾つかの鎌倉道と云われている古道の名残がありますが、差し詰め圏央道が現代版鎌倉道となるかも…。
最初に来たのが高校生の頃だから、略半世紀前…建築だけでなく...展示してある絵画にも懐かしさを憶えました。
ついでに、神奈川県立近代美術館 葉山にも足を延ばし「ヘレン・シャルフベック―魂のまなざし」展も…。
関連
June 11, 2012:神奈川県立近代美術館・鎌倉
April 27, 2012:シャルロットの愛した日本
January 19, 2012:ベン・シャーン回顧展-2
October 23, 2007:タレル的な...
January 13, 2005:ジャン・プルーヴェ展
と云うことで展覧会も図録も斯様なことになってます。
殿の御英断により大英博物館で行われた 「SHUNGA」の国内展示が漸く永青文庫で開催決定、その巡回展でもある春画展を見てきました。今まで印刷物で紹介されているものは浮世絵版画の類いでしたが、今回の展示は肉筆画も多く、面相筆の細やかな筆致はとても印刷物で再現できるものではなく、実物を見ないと...そう考えた人も多いようで、館内は、老若男女で溢れていました。
金四千円也の図録は分厚く、まるで箱枕のよう…枕絵を枕に...さてどんな夢を見るのやら。
胸突坂に面した入口で記念写真を撮る人も...
市ケ谷からの帰路、有楽町線で二つ目の江戸川橋で下車、神田川沿いを歩いて芭蕉庵の角を折れ胸突き坂を上り、永青文庫で春画を観賞した後、庭続きから新江戸川公園を神田川まで降り、早稲田から地下鉄で中野へ、中央線に乗換、吉祥寺にて、
小野寺光子さんの「上海と旗袍 −アンティークチャイナドレスで巡るアール・デコの世界」を見る。
展示は広岡今日子さんのアンティーク旗袍(チャイナドレス)コレクションから数点を、そのチャイナドレスを召し、窓辺に佇む御婦人を妄想力全開で小野寺さんが水彩画のイラストレーションにしている。小野寺さんからイラストに描かれたチャイナドレスを着用した御婦人方の妄想プロファイルを伺うだけでも愉しめる展覧会です。展示期間は9日(金)まで。
会場を出た後、路地を挟んだ隣の建物にある武蔵野市立吉祥寺美術館の「伊豆の長八展」を見て、一路山里へ…。
一年前、埼玉県立近代美術館で開催された『戦後日本住宅伝説ー挑発する家・内省する家』の巡回展の最終会場となった八王子市夢美術館の展示も残すところ連休の最終日の7月20日までとなった。
展示会場のキャパシティの限界もあるだろうから、埼玉県立近代美術館との違いも確かめたく、昨日お盆の墓参りの前に美術館まで足を延ばした。エレベーターホールからホワイエに入ると、会期中に亡くなった東孝光・設計の「塔の家」の原寸大平面が床に、会場構成は一つの展示作品に対し大型出力写真のタペストリー、写真パネル、図面、模型が一点乃至二点、それに映像をレイアウトしたものとなっている。埼玉県立近代美術館では大型出力写真のタペストリーと原図が展示のメインになっていたと記憶していたが、八王子では模型が展示の主力になっているようだ。模型は各大学の研究室で手分けして制作しているようで、これら全てを埼玉県立近代美術館では展示してなかったように記憶しているが…どうだろう。残り後三日になってしまったが、見ておく価値のある展覧会である。
宅配本屋「SANTA POST」がJR高尾・北口近くのgoto. Room 18%で3月28日から〜4月5日まで9日間の期間限定で開店。併せて「妖怪の日本地図」に用いられた石井勉氏による原画(300点余り)も展示されるとのこと。
案内はがき.PDF
A4チラシ.PDF
ビブリオバトルを楽しもう.PDF
…と云うことでビブリオバトルのバトラーが足りないから...なんでも良いから本の紹介をと頼まれてしまったのであるが…さて、どうしたものかと…。
追記:…で、昨日(3/29)のビブリオバトルではガルシア=マルケスのグアバの香りを紹介…思いかけず、チャンプ本に。
この年末年始にEテレで「ニッポン戦後サブカルチャー史」が再放送される。もちろん時間帯は深夜枠である。私は第5回「雑誌ワンダーランド 70年代(2)」から観たので、それ以前の回は見逃している。今年は雑誌・ガロの創刊五十年とか、そのガロにも寄稿していた赤瀬川原平が赤瀬川原平の芸術原論展を目前にして他界したり、ATG新宿文化の裏、「どん底」の隣にも支店のあった「でん八」50年のパーティがあったりと、何かと戦後サブカルチャーを再考する場が多かった。そんな訳で、年末には見逃した一〜四回を要チェックである。
aki's STOCKTAKING:NHK ニッポン戦後サブカルチャー史
展覧会初日に行くなんて初めてのことではないだろうか。昨日、午前中は市ケ谷、用事を終えて西側に帰らず、そのまま東側に向かった。行き先は千葉…目的は昨年、川瀬巴水を見に行った千葉市美術館で開催される赤瀬川原平の芸術原論展である。
去年と変わらずJR千葉駅は工事中で東口改札に抜けるには迷路のような通路を通らなければいけない。その上、小便臭い…う〜ん「これって罰ゲームなの」と言いたくなる。
美術館受付でシニア割引で…と告げると、「市民の方ですか?」の返事…「いいえ」と答えると「それでは一般料金でお願いします。」の返事。あらら...都美術館ではそんなこと聞かれないぞ...わざわざ他県から来る高齢者に冷た〜い千葉市なのであ〜る。残念!
憎まれついでにもう一言、美術館までのアクセスマップに方位がないこと、方位を表示しない場合は原則として北を上にするのが常識であるが、最近は地図を読めない者に向けてか、方位を無視して出発地を下に目的地を上にしている案内図も増えている。そんな案内図を一度目にしてから子午線を縦軸の座標に基づくGoogleMap等で確認すると…そのギャップに眩暈を憶え、思わず「ここは何処?私は誰?」と呟いてしまいそうになってしまうのである。
会場に入ると目に付くのは赤瀬川克彦10代の習作…どこかゴッホの「馬鈴薯を食べる人々」を思わせる「貧しい家族(図録不掲載)」が目を引く…カフカやアフリカに影響を受けていた10代の頃…そしてネオダダの時代…7月の『戦後日本住宅伝説ー挑発する家・内省する家』でも取り上げられた新宿ホワイトハウスがその活動の拠点だったのだが、磯崎新と新宿ホワイトハウスの吉村益信と赤瀬川原平の関係は高校一年の一学期半ばまで住んでいた大分から続くものだったのだと…図録で再確認…なるほど、そうだったのか。愛知県出身かと思っていたが、それは高校時代だけのようだ。
参照:磯崎新オーラル・ヒストリー 2012年4月1日
最近、NHKでもシリーズ1964 と称した番組で「ガロ」創刊の頃をアーカイブ映像から振り返っていたが…この展覧会も赤瀬川原平の目で捉えた「1960年代から現在まで」のニッポンの姿なのだろう。私の場合は時代的に櫻画報以降の活動に親しみを覚えるが、トマソンが巨人に入団した時のスポーツ紙一面の写真に「へぇ〜、こんな顔していたんだ。」と妙に感心してしまった。展示品に思わずニヤリとしたり、つい声を出して笑ってしまったりと…変な風に愉しめる美術展である。
昨日は展覧会初日と云うことでメディアへの内覧会も兼ねていたようで...多くのプレス関係者が会場内をウロウロしていた。中には美術館の展覧会担当者に『御奨めの一点は何かありますか?』と尋ねている女性記者が居た。まったくバカ者である。脇で聞いていて『居酒屋じゃねぇよ!』とツッコミを入れたかったが押さえた。会場内で我が物顔で写真を撮りまくるプレスの腕章を付けた輩等々、メディアの劣化ぶりはこの美術展でも証明されたようだ。
と云うことで、劣化したメディアの記者さんでなければ、行って見て損はない…かも。
追記
墓活論:自分の墓を考えていたようです。Amazonのユーザー・レビューではウィットがないと評判悪し...
四年前に撮影されたニラハウスの前のストリートビューです。屋根の上のニラは枯れ...既に屋根はトタン張りで修復されたとか…
日経ビジネス:赤瀬川原平「ニラハウス」
明日から...千葉市美術館で「赤瀬川原平の芸術原論/1960年代から現在まで」が開かれることになっていたが、その前々日に御本人がお亡くなりになった。合掌…
あたしはガロ(1971年6月号)に連載された櫻画報のつげ義春の「李さん一家」のパロディ「実は三階もあるのです。」が好きだな。
因みに「町田市民文学館 ことばらんど 」では12月21日まで「尾辻克彦×赤瀬川原平−文学と美術の多面体−」を開催中。
と云うことで、ネタに使わせていただいたエントリーをピックアップしてみた。
July 03, 2013:岩波写真文庫の原版も...
February 28, 2013:草食化する新解くん
December 19, 2007:実業美術館
October 10, 2007:復刻版 岩波写真文庫
October 08, 2007:戦後腹ぺこ時代のシャッター音
April 01, 2005:花韮(ハナニラ)
November 02, 2003:「ドーダ!」と「ヘェー!」
北斎漫画―初摺・小学館発行
五月の連休中に放送された日曜美術館・「世界を驚かせた北斎漫画」はスタジオからの放送はなく、従って男性MCのどうでもよい個人的感想もなく、ナレーションによる押しつけがましい作品解釈も少なく、久しぶりに愉しめる内容だった。
そういえば、ん十年も昔から「北斎漫画」の紹介記事やダイジェスト版は見たりしているが、全巻全てを見たことはなかった。Amazonで検索すると本書がリストアップされた。どうやら初摺版を十五巻まとめて一冊に編集したもののようだ。値段は少々張るが「残部僅か」という消費者心理を突く文言に動かされポチってしまった。と云うことで本日注文から12日程で届けられた。奥付まで932頁にケースを入れて1880gと百科事典並の重量級だ。と云うか、幕末期を俯瞰する絵で見る百科事典と言えなくもない。成程、Amazonのカスタマーレビューの押し並べて五つ星に納得である。
因みに株式会社ブックモールジャパンからiPadApp向けに五巻毎に纏められた北斎漫画 1-HDが1〜3までリリースされているが、何処かスキャニングの甘さが少々気になる。
『ツバメ、今年もみた?みた!みた!展 2014』がJR高尾・北口近くのgoto. Room 18%で始まりました。週末のみの開催なので要注意!
昨日の土曜日、散歩がてら、紅葉台から初沢城趾、御衣公園と、わざわざ山越えをして高尾駅北口まで歩いて行きましたが、途中でツバメが飛ぶ姿を見ることもなくギャラリーに着きました。暫くしてギャラリーに来たオジサンによって…その理由が解りました。
そのオジサンはNPOのボランティアで「ツバメの生態」を調査しているそうで、家にあったと云う展覧会の案内ハガキを手にしてましたが、そのハガキには宛名も書いてなく、主催者もハガキを配った憶えもないらしく、きっとツバメがオジサンにハガキを届けたのでしょうと云うことで納得…。
…で、その人が言うには駅等の公共施設からツバメの巣が取り払われたり、巣を付けられないような対策を施したりと…ツバメにとって受難の時代となっているようです。僕らが小学生の頃はツバメは害虫を捕まえて食べるから益鳥なので…大事にするようにと教わったけど…糞くらいのことで…人間の技量が狭くなったというか…なんと云いますか。
高尾周辺にいるのは主にイワツバメで…ヒメアマツバメ(初めて此の名を聞きました)も若干生息しているらしく、ヒメアマツバメは留鳥なので年間を通して見られるらしい…と云うことで、何も知りませんでした。季節外れにツバメを見たらそれはヒメアマツバメだそうです。
写真の「コルク製ツバメの巣」を手作りしている小川美奈子さんの「リトルミーナ」に製作方法等があります。小川さんは自身で改良を重ねツバメが営巣するまでに至ったそうです。
ツバメかんさつ全国ネットワーク
認定NPO法人・バードリサーチ
ツバメ(燕、学名:Hirundo rustica)
イワツバメ(岩燕、Delichon urbica)
ヒメアマツバメ(姫雨燕、Apus nipalensis)
追記
東京新聞5月5日付けの朝刊社会面に掲載されました。
人工巣でツバメ育て 小平の女性ら 共存目指す
千葉県内には数え切れない程、行くことがあったが、以外と千葉市内に用があって千葉駅に降りるのは生れて初めてではなかろうか、2011年の橋口五葉展も行きそびれてしまったので、年内に行かないと再び行きそびれてしまうと、17日に市ケ谷まで出掛けたついでに総武線で千葉まで足を延ばし、千葉市美術館で開催中の生誕130年 川瀬巴水展 ―郷愁の日本風景を見てきた。武蔵國の西の外れから江戸湾の向こう岸は遠かったが「284点」と云う展示作品の充実には感服…写生帖、版木、試刷り、木版、水彩と川瀬巴水の全貌に触れることができる。写生帖の遠近法に基づく緻密な描写はパノラマ的だが、その写生から版画にする構図を抜き取ると、極めて写真的な構成となる。近景、中景、遠景のレイヤに添景をモンタージュする様は、正に映像的編集、おまけに日中に描いた写生(映像)を巴水ブルーを駆使した夜景に転用する処はフィルターを駆使するシネマのように思える。久々に行って良かったと思えた展覧会でした。同時に所蔵作品展として「渡邊版-新版画の精華」も開催中、橋口五葉の「浴場の女」は…壇蜜…のような…
と云うことで橋口五葉展の図録と併せてゲット。
千葉市美術館の展覧会終了後、以下の会場を巡回するが【山口展】を除いて高島屋とデパートが会場となる都合からか会期が1〜2週間と短かく、行きそびれに要注意。
【大阪展】
2014/2/26〜3/10 大阪高島屋
【横浜展】
2014/3/19〜3/31 横浜高島屋
【山口展】
2014/4/26〜6/8 山口県立萩美術館・浦上記念館
【京都展】
2014/9/25〜10/6 京都高島屋
【東京展】
2015/1/2〜1/12 日本橋高島屋
他に大田区立郷土博物館で特別展(無料)を開催中(〜2014/3/2まで)但し展示室の都合から3回に分けて展示替えされる。(既に前期は終了、展示替え期間に要注意)
大田区立郷土博物館特別展「川瀬巴水―生誕130年記念―」
フォトインタリオ展がJR高尾・北口近くのgoto. Room 18%で11/4まで開催されています。出品者は女子美アートセミナー・フォトインタリオ(写真凹版)講座受講生有志の皆様、アートを生業としない多様な職種と年齢層の人たちの作品です。(因みにアートセミナーは男性も受講できます。念の為...)
たむらしげる Micro Monde
ー夢のジオラマー
2013年9月30日(月)〜10月12日(土)
11:00~19:00土曜日は17:00まで 日曜休み
と云うことで、たむらくんの個展案内のハガキが届いた。会場は2007年の個展以来、久しぶりにいつものPinpoint Galleryだ。1989年からこのPinpoint Galleryと吉祥寺のトムズボックスがたむらくんが個展をするときの定番となっているギャラリーだ。
今回は左の様なハコモノ?(BoxArt)が中心らしいが、どんなジオラマが展開されるのかお楽しみ...。
会期も残すところ今週末までとなった八王子市夢美術館の『チェブラーシカとロシア・アニメーションの作家たち』を見てきた。
チェブラーシカの絵は見た事はあるが、物語もその作家も知らず、アニメーションも見た事はなかった。ユーリー・ノルシュテインは3年前、神奈川県立近代美術館 葉山で開かれた『話の話/ロシア・アニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワ』に会期終了間際に観に行ったが、そのノルシュテインがチェブラーシカの物語をアニメーション作品に仕上げたロマン・カチャーノフの元で修行時代を過ごしていたことを今回初めて知った。カチャーノフのコマ撮りによる人形アニメーションに対し、ノルシュテインは切絵によるアニメーションだが、そのルーツを今回の展覧会で知ることができた。カチャーノフのアニメーションの中でもミトンは素敵だ。10分弱のアニメーションはYouTubeでも観られる。
因みに夢美術館の収蔵作品展示コーナーにはこの表紙の原画を描いたakiさんの立川高校の先輩・城所祥氏の作品が展示されていた。
先週、放送された日曜美術館「東北に届け 生命の美 〜アメリカ人コレクター 復興への願い〜」(再放送4/28午後8時)を見て、引っ掛かることが二点あった。2005年の3月に静岡県立美術館で見た「若冲と同時代の絵師たち展」の図録を引っ張り出して見ると、若冲の升目画には行方不明1点を含めて4点があり、所在が確認されている3点の内、若冲作と確証されているのは「白象群獣図」のみで、今回、プライス・コレクションとして展示されている「鳥獣花木図屏風」と、それによく似た静岡県立美術館が所蔵している「樹花鳥獣図屏風」について真贋を疑う研究もあることは静岡県立美術館の図録にも書かれており、2010年5月の朝日新聞には「「若冲屏風」は本人の作?」の記事がある。二点の屏風画に落款が無い事と他の作品と比べて作風があまりにも違いすぎる事がその要因だが、仮に真作としても若冲本人が完成の域に達していないと見做し落款を拒んでいたか、或いは升目画と云う特異性から織物の下絵として描かれていた...とも考えられるような気もするのだが...論争の決着は...未だに薮の中だが...気になる人は東北方面へお越しを...
番組を見ていて、もう一つ気になったのはコレクターであるプライス邸の建築、外観を見て、一瞬、ゲーリーかな?と思ったが違う、室内の階段のディテールを見て、どうもブルース・ガフ(Bruce Goff)のように思えた。Googleでブルース・ガフとプライス邸をキーワードに検索すると、確かにブルース・ガフはプライス邸を設計しているようだが、番組内で見た建築とは異なる。更に検索を進めると、ジョー・プライス氏は、あのライトが設計したPrice Tower(36°44'52"N 95°58'34"W)を所有するプライス・カンパニーの創立者の息子であり...プライスタワーを設計したライトは浮世絵のコレクターでもあることから日本画蒐集のアドバイスを受けていたとか...これでライトのタリアセンのスタッフだったブルース・ガフとも...繋がった次第である。
2006年に書かれた「石山修武 世田谷村日記」の266と264を発掘...成程...。
若冲と京の画家たち
樹花鳥獣図屏風
若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命―
2月17日までの週末のみ高尾の小さなアートスペース・goto.Room 18%で開かれている【the Margin 森へ 冬】の様子です。(iPhone-CameraのPanoramaで撮影)
こちらの3D- imageとは若干異なりますが御了承を...と云うことで私が微力ながら改修に協力した次第です。
11月の初めに原宿のデザイン フェスタ ギャラリーで開かれた「こどもども展」が場所を変え、八王子いちょう祭りに合わせ高尾のgoto.Room18%で昨日・今日と開催された。引き続きウィークエンドのみ12月9日まで開催、ワークショップも行なう予定とか。
こどもども展」in TAKAO
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今週から12月9日(日)までの週末のみオープンします。
時間と曜日が変則ですのでご了承下さい。
17日(土)・18日(日)10:00ー18:00(※終了)
当日は八王子いちょう祭りのため少し早めにオープンします。
ただし、初日の午前中は、まだ準備している可能性大!
以下の日は12:00ー19:00オープンです。
11月23日(金)勤労感謝の日・11月25日(日)
11月30日(金)・12月1日(土)・2日(日)
12月7日(金)・8日(土)・9日(日)
なお11月24日(土)は休みです。
会期中下記の日程でワークショップをします。
「色やかたちを楽しむ造形ワークショップ:自然 やクリスマスをテーマに、絵やオブジェを制作します。」
日時:11月30日(金)・12月8日(土)
1回目13:30〜15:00
2回目16:00〜17:30
事前申し込みは不要
参加費500円
講師:守屋球子
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地図
goto.Room18%
住所:八王子市高尾町1590
専用メールアドレス準備中
因みにセブンイレブンの隣にもコインパーキングができました。
昨日、原宿にあるデザイン フェスタ ギャラリー原宿の東館1階で開催中の『こどもども展』のオープニングに行ってきた。女子美・空間IF系の卒業生とサポートメンバーを中心としたこの企画...大上段にアートを振りかざすのではなく...子供の頃を思い出し...絵を描く楽しさを...ライブ感覚で...来場者にも身近に楽しんで貰いたいと云うことで...会場も...美大の教室そのまま...といった趣?である。今日と明日まで...。
昨日は2004年のリートフェルト展以来、8年ぶりに宇都宮美術館を訪れ「開館15周年記念 フィンランドのくらしとデザイン ムーミンが住む森の生活」を見てきました。今回の展覧会を企画された主任学芸員の橋本さんとはリートフェルト展の時はブログによるコンタクト、今回はFacebookを通じて案内を戴き、所謂ソーシャル・ネットワークを巡るこの8年間のIT技術の革新に応じたコミュニケーション方法の変化を思うと感慨深いものがあります。
「フィンランドのくらしとデザイン」と云うテーマも「リートフェルト展」と同様に宇都宮美術館・運営の三つの柱である地域・生活・環境に則し、地に足の着いた展示内容となっています。宇都宮美術館での展覧会は8月26日まで、その後は東京をスルーして9月から静岡市美術館で開かれますが、「...ムーミンが住む森の生活」に相応しい会場は森の中に建つ宇都宮美術館しかないでしょう。
関連
aki's STOCKTAKING:フィンランドのくらしとデザイン
Things that I used to do.:フィンランドの暮らしとデザイン
今回の展覧会ではアールトの作品は建築ではなく家具や照明器具等の暮らしに寄り添うデザインにフォーカスして展示されています。アールトと云えば1996年のN.Y.MOMAの企画によるアールトの回顧展は世界を巡回し、1998年に西武系のセゾン美術館で開催され、確か閉館された池袋・セゾン美術館、最後の展覧会だったと記憶しています。1996年当時、私は日本でも開催されるとは露知らず、Amazon.USAから初めて購入した本がアールト展の図録(英語版)でした。その図録に掲載されていた写真と外形寸法から作成したのが、左のパイミオ・チェアーとアームチェアーです。右側は"artek"のサイトから.dwgのデータをダウンロードしてVectorworksに取り込んだものです。見た目には大差ないように見えますが、外形寸法の表記を"W×H×D"と思い込んでいましたが、.dwgのデータを検証すると"H×W×D"だったようで、当たり前と思っていた寸法表記も国やカテゴリーが異なると、そうではないようです。因みにパイミオ・チェアーはVectorworksの3Dパス図形のスキルアップを目的とした課題の事例として選んだものです。
Link
artek
iittala・イッタラ SHOP JP
marimekko(マリメッコ)・表参道・吉祥寺
(明日)から...八王子市夢美術館で『たむらしげるの世界展鵺 空想旅行』が開催される。2005年の『たむらしげるの世界展』に続き7年ぶり二回目となる。
八王子市夢美術館の展覧会案内のプロフィールにあるように、彼も僕と同じ様に子供の頃、23区から八王子に移り住んだ新住民である。但し、僕は里山に包まれた谷戸で子供時代を過ごしたが、彼は峠の中腹に建てた一軒家に住み、市内の街明かりをジオラマを見るように育ち、空想を拡げていった。そんな彼は少年時代の自分に向けて絵本を描いていると云う。...期間は7月16日まで。(2012.05.31記)
更新:残る会期は本日を含め後2日となりました。
と云うことで明日の展覧会を前に展示の最終チェックに来た、たむら君に同行して僕も会場に...絵本の原画と下書きや、印刷の色指定のラフスケッチ、印刷の版下、等々も展示され...デザインやイラストレーションを学ぶものにとっても... どれも活きた教材になるもの...展示点数も250点程...見応えのある展覧会になりそうである。(2012.05.31)
昨日、神奈川県立近代美術館・鎌倉で『石元泰博写真展 桂離宮1953,1954』の最終日を見てきた。梅雨入り翌日の日曜日、一日中曇天一時俄雨の予報は外れ晴天に恵まれ、鎌倉駅から八幡宮まで小町通りも若宮大路も人波で溢れていた。そんな観光地の喧騒とは裏腹に八幡宮の参道から一歩、美術館の敷地内に入ると静寂そのもの...館内も適度に入場者が散らばり...ゆっくりと鑑賞...
入場者も展覧会に刺激されたのか...中庭やピロティではカメラを取り出し、あちらこちらでシャッター音...そんな訳で...私もiPhoneでゲットしたばかりのモノクロ写真専用App『Hueless』の試し撮り...
NHK・日曜美術館「静かなるプロテスト〜反骨の画家 ベン・シャーン〜」が放送される前に行きたかったのだが、先日、漸く神奈川県立近代美術館・葉山で開催中の「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト―写真、絵画、グラフィック・アート」を観てきた。足の不便な場所に或る神奈川県立近代美術館・葉山は本来ならば平日は空いているのだが、メディアの影響も或るのだろう..老若男女、国籍問わず、人が多かった。展覧会の企画構想は10年余り前から始められていたようで、その間、9.11から3.11、そして、TPPやらOccupy Wall Streetと多くの難題を私たちの世界は抱えている。そんな時期に、アメリカンドリームの負の側面と不条理な現実を直視したベン・シャーンの眼差しを追体験する機会に恵まれたことは意義深い。葉山での回顧展は後一週間程だが、その後、名古屋、岡山、最後に「ラッキードラゴン」を所蔵している福島県立美術館と巡回する。
追記:福島に出張しているFumanchu氏から福島民報「放射線理由、米の70点展示なし 6月に県立美術館「ベン・シャーン展」」の記事が...
図録に「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」を企画編集した元・集英社の山本純司氏のインタビューが掲載されていて興味深い。
・・・絵本だけれど、子どもの本とは思えないですね。・・・の質問に
これは戦略なんです。画集で出すと美術関係の本屋か、棚にしか置いてくれない。読者も限られている。でも、絵本の市場はずっと広い。ずっと長く読まれてゆく。例えば、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』は1942年にアメリカで出た絵本だけど、日本では石井桃子さんの翻訳で出て、初版の頃と殆ど変わらず重版を続けている。ベストセラーでロングセラーだ。僕たちは夏目漱石を読むけど、装丁や本の形は、何年かおきに変わっている。でも絵本は、何も変わらない。....中略...自分の考える原爆問題を、子供に伝えてゆきたいという想いがあった。絵本にすれば、多くの人に伝えられる。末長く売れる。だから絵本にしたんだ。と答えている。納得である。
今月末まで神奈川県立近代美術館・葉山で開催中の「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト―写真、絵画、グラフィック・アート」に併せて来週15日のNHK・日曜美術館で「静かなるプロテスト〜反骨の画家 ベン・シャーン〜」を放送するようだ。ゲストには絵本となった「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」の構成と文を担当されたアーサー・ビナード氏もVTRで出演するらしい。
追記:日曜美術館の再放送は来週22日の午後8時からですね。
遅ればせながら会期を一週間と残した先日の土曜日に目黒美術館でDOMA秋岡芳夫展を観てきた。私の知っている秋岡芳夫は32年前に読んだ『暮らしのためのデザイン』の暮らしに根差した伝統工芸への再評価であるが、其処にはディスカバー・ジャパン的な民芸礼賛とは一線を画した工業デザイナーとしての立ち位置があったことが、今回の展覧会で理解できた。因みに会場にはKawaさんの家でジーメンスのオイロダインの傍らに置かれていたモペット(図録表紙の下中央)も展示されていた。
ところで、タイトルの"二寸五分"ですが...『暮らしのためのデザイン』を読んでから...私の脳内・不揮発性メモリに刻まれた数値です。...メートル法では75ミリ、これは19頁の『握ってピタリ』に書かれていた...伊万里の三合徳利とビール瓶の径が同じ75ミリと云うもの...古今東西、手で握るモノを測ると人体寸法から決められた...握りやすい"二寸五分"と云うエッセー。私も32年前に身の回りのモノを測ってみて...成程と合点した記憶があります。
aki's STOCKTAKING:DOMA秋岡芳夫展/図録
今なら個人情報云々で考えられないが『暮らしのためのデザイン』の著者紹介に秋岡氏の目黒区中町の住所があったのでGoogleMapのStreetviewで見ると...展示会には写真があったが図録には掲載されていない現在の様子が...
因みに私が着目した展示品は榧で作った碗(これも図録にはない)と1946年の日本童画会での「蟻の巣見つけたよ」の童画...図録では唯の点にしか見えない蟻だが、一匹づつ、実に丁寧に描かれている...恐らく墨を御自身で磨ってペンで描いたのだろうか...漆黒の蟻が...活き活きとしている。
高校の同級生の個展が今月末(明日から)と来月と続けて開催されます。私も一応、美術部に所属しては...いましたが...なにも作品らしいものは残さず...その後も...絵筆を取ることもなく...今日に至っているという為体であります。と云うことで...二人には頭が下ります『継続は力なり』ですね。
27th 森本幹生 展「観自在」
2011年10月23日〜29日
アートスペース・ユーメリア
東京都中央区日本橋本町3-4-6
たむらしげる 個展「光の粒子」
2011年11月1日〜30日
トムズボックス
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-14-7
Mitsuko Onodera Exhibition
倉敷雛めぐり 旅するおひなさま
2011/2/26~3/13
夢空間はしまや
倉敷市東町1番20号
TEL&FAX:086-422-2564
「倉敷雛めぐり 旅するおひなさま展」会場風景
Blog:ONE DAYのkadoorie-aveさんことイラストレーター・小野寺光子さんの個展が今週末から二週間程、ひなまつりをテーマに倉敷で開かれます。お近くの方は是非...
そういえば、倉敷には30年以上前に一度行ったきり...
と云うことで、会場の番地をGoogleMapで検索してStreetviewで見ると道路に面した古民家は改修工事の真っ最中の様です。その古民家からスタートしてStreetviewでぶらぶらとアイビースクエアの前を通り、川筋の歴史保存地区を眺め大原美術館の前まで、カロリー消費ゼロのヴァーチャル散歩を洒落ました。倉敷に行ったのは1978年頃のこと、町で見掛けた観光ポスターが良かったので丹下健三設計の旧市庁舎(現美術館)の観光課まで行き、ずうずうしくも「観光ポスターを下さい。」と言って貰ってきました。(一応、書類に掲示場所とか住所氏名に必要事項等を書かされましたが...)観光ポスターは歴史保存地区を宮脇檀研究室がデザインサーヴェイして作成した立面図を用いたもので、銀の地に立面図と写真を組み合わせたもので全紙四枚綴りでした...観光課の要望に従い事務所の人目に触れるところに張っておきましたが...それから...う〜ん。
まさに作り物のファンタジーを見るのにTilt-Shift Videoは最適な仕掛けである。
一方、悲惨な現実もTilt-Shift Videoでは、貧しすぎるバラックが何やらインスタレーション・アートにも見えてくるから不思議である。
追記:iPhoneAppだけじゃなくてMacOSのアプリにも"TiltShift"がAppStoreにリリースされてますね。
と云うことで5日から開催されている『SIRAI, いま 白井晟一の造形』を授業前に見学。
展示テーマは「白井晟一の造形作品」二つある展示室の一つには書と装丁が、もう一つの展示室には"Unbuild Archtecture"(建てられなかった建築)つまり原爆堂に代表される計画案の模型や図面、スケッチ等が展示されている。展示されている様々なスケッチを見ると、白井晟一を異端の建築家、孤高の建築家とステレオタイプな語り口で取上げられていた事に違和感を憶える、彼もまた20世紀を生き、その時代の精神に影響を受けた建築家であった。因みに会場となっている東京造形大学附属横山記念マンズー美術館は白井晟一が生前に残した計画原案の図面に基づいて建築されたもので、その計画原案の図面も会場内に展示されている。
ところで先日(6/19)渋谷の桑沢デザイン研究所で開かれた『シンポジウム:白井晟一が生きた時代 Part1』の最後に前学長の白澤先生が東京造形大学の宇津貫キャンパスの指名設計コンペに於いて白井晟一・原案による横山記念マンズー美術館をキャンパス内に配置して計画する条件があったことを話された。実施設計に採用された磯崎新氏による設計案だけが、応募案の中で唯一つ美術館をキャンパスに取り込み軸線中心の一段高い丘陵の中腹に据え計画されていたと云う。その配置計画の確かさと共に、指名された応募者の中で恐らく磯崎新だけが生前の白井晟一と交流があり、リスペクトしていたことを思わせるエピソードでもある。
iPadでGoogleMapの位置情報を見る。GoogleMapで位置を示しているポイントはカフェテリア。
2003年の暮れから2004年の5月まで三鷹の森ジブリ美術館で開催されたユーリー・ノルシュテイン展は入場券が予約制だったりで、とうとう見に行く機会を失ってしまったが、4月10日から神奈川県立近代美術館 葉山で開かれる話の話/ロシア・アニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワは見に行けそうだ。(此処まで3/30記す)とのんびり構えていたら会期は今週末の6月27日まで。と云うことで梅雨の晴れ間に湘南までドライブとなった。アニメーション作品の上映会は先着順に配布された整理券が必要なので見ることはできなかったが、新作の一部は展示室内の小型モニタでも見ることはできたので...まぁ良としよう。...それにしても...ロシア人の孤独感は...何か...その風土同様に...想像を絶するものが...あるようだ。どこかシャガールの夢の世界を思わせる群像も...そう感じさせる一つか...
追記:因みに展覧会は高知、福岡を巡回して12月11日から翌年1月23日まで北関東は足利市立美術館でも行われる。
と云うことで"No Man's Land"の最終日に滑り込み在日フランス大使館・旧庁舎を見てきました。旧庁舎の本館(左図:赤)はフランス人建築家Joseph Belmont(ジョゼフ・ベルモン1928-2008年)により設計された1957年竣工の建物のようです。別館(左図:青)は1960年代の建築で設計者については記載なく不明ですが、ゲートに向かって大きく張り出したキャンティレバーが印象的な建物です。ジョゼフ・ベルモンはジャン・プルーヴェに師事した建築家と云うことで、ル・コルビュジエや師であるジャン・プルーヴェの影響がバルコニー手摺り等のディテールにも現れていると思われます。青木坂を背にした高低差10mの敷地に地下一階地上3階の建物が高低差を利用して巧みに配置されています。西側道路に面した門からスロープで一層分の高さに上ると車寄せが設けられたポーチがあり、そのレベルが1階と見做されているようです。中庭に面したポーチから動線は左右に別れ、右側のウィングがラウンジ(カフェテリア)になっていて、その屋上は2階レベルにある庭園と連続しています。この辺りの空間構成はアトリウムを内包する地中海住宅を彷彿とさせるものがあります。屋上庭園のレベルにある執務室(個室)には盗難予防と機密保持の目的か竣工後に鉄格子が設置され警察の取調室の様となっていますが、サッシュ割とかのプロポーションはコルビュジエのユニテやラ・トゥーレットの影響を感じさせられます。
Google Earthで見るフランス大使館の敷地、台地の上には大使館公邸と大使館員の宿舎が、敷地南側の谷には渋谷川(古川)が流れ、嘗ては「名所江戸百景 広尾ふる川」に描かれた風景が...
1階レベルの中庭と2階レベルの庭園から見た南側のファサード、翼のような断面を持つバルコニー手摺りが如何にもジャン・プルーヴェの門下生...。
建設された年代は鳥居坂の国際文化会館(1955)と2年程の差がありますが、其処にはモダニズムと云う共通の理念を感じることができます。...おまけの写真
KARAKARA-FACTORY:No Man’s Land/ 在日フランス大使館・旧庁舎
Kai-Wai 散策:"NO MAN'S LAND" FLAG
トリコロールと云えばこんなインスタレーションもありました。
Tokyo ArtBeat
東京のアート系イベントを紹介するAppである。開催期間や時間、場所や道順等々のガイドをしてくれるそうで、ニューヨーク版のNY ArtBeatもある。まぁ...美術館巡りや...ちょっと時間が空いたとき近くで何かイベントがあるか調べるのに重宝するかも...。
これは18日だけか...あ〜時間が...
追記:最終日にどうにか滑り込み...間に合いました。
今朝の東京新聞に明日から開かれる「グラフィックデザイナー 野口久光の世界」の紹介記事が特集されていた。僕らの世代で野口久光と云えばジャズ評論家として有名であるが、氏が東宝東和の映画部・図案部にグラフィックデザイナーとして務めていた時代に制作した数多くのポスターの展覧会である。そういえば「大人は判ってくれない」の映画ポスターはmasaさんがtwitpicに@Jinbocho,Tokyoとしてアップしていた写真のジャン・ピエール・レオの後ろに貼られているポスターと同じである。
因みに東宝東和には氏と一つ年上で誕生日も一日違いの植草甚一が宣伝部に在籍していたそうだが...。
昨日の文化の日は大学の観劇会、今年は舞浜まで出掛けCirque du Soleil/ZEDを観た。この歳になってサーカスの類いを観るのは初めてである。レオナルド・ダ・ヴィンチが考えたような機械仕掛けの舞台装置、ピカソの描いたアルルカン(道化)、ディアギレフとニジンスキーの前衛的なバレエ衣装を彷彿させるコスチューム、等々の多様なイメージが交錯する空間で、肉体の極限に挑むパフォーマンスは圧巻である。しかし音楽が些か凡庸である処がサーカスを脱しきれないように思える。会場を後にする人達が、知らずに口ずさんでるようなテーマフレーズがあれば...と思うのだが...。
あれ、台北の街角にシノワさんの...
これは小野寺光子さんの個展『ON HER JOURNEY』のポスターではないか。今週、倉敷の三宅商店/ギャラリー・イベントで開催していると...案内状を戴いていたけれど...う〜ん...台北までその評判が届いていたとは...(^_^;)
倉敷に行けない私はPhotoFuniaで遊んでみました。
連休初日の20日と21日は初めてETCを使ってドライブ、目的地は軽井沢、こちらで同窓会(とーぜん卒業生ではありませんが...)に出席。行きの高速道路は極く一部が自然渋滞程度で大した事はなかったけれど、一般道に下りて軽井沢に向かう峠を超えた辺りから国道18号線まで渋滞...でした。一泊して翌日は小布施まで足を延ばしてネオテニージャパン展で話題となっていた『池田 学 展』を見た。
小布施のPAに併設されたETC出口で下り町中に向かうと、ここもメインストリートは観光地渋滞、途中で脇道に入り、路地裏を抜け「おぶせミュージアム」に着くと、既に駐車場は満車...駐車場を求めて先に進むと交差点に「町営駐車場」の小さな看板、右折して果樹園の脇を進むと右側に中学校、ボランティアらしき係の人がオイデオイデをしているので迷わず校庭へ進入、観光地図を受け取り、指示された場所に駐車する。ミュージアムの方向を確認して体育館の渡り廊下をスルーして通りに出ると、ミュージアムの前の道にでる。ミュージアムに着くと、さっきの私と同じ駐車場難民が...車に近付き...臨時駐車場を教える。街ぐるみで観光対策をしてボランティアまで用意しているのに...もう少し親切なインフォメーションサインがあれば...と思うのだが...ちょっと残念。
と云うことで『池田 学 展』はルーペを持参、ZEBRAの丸ペンで丹念に描かれた細部まで鑑賞、『予兆』のウォータースライダーの残骸の上で立ち小便する男もしっかり確認。地球に寄生する人類、彼らが文明と呼ぶ排泄物で世界は満たされ、同時に朽ち果ててゆく、そんな世界でも寄生して生き延びなければならない白抜きの人々は我々でもある訳だ。
masaさんの墨田鳥瞰景を見ると、向こうにバベルの塔らしき建造物も見えるし、色合いと云い池田 学の描いた方舟を連想させる。地上は文明の排泄物で足の踏み場もなくなり、人々はとうとう空中へ避難し超高層難民となるのか...
昨日は一日中お台場方面で缶詰にされていたのであるが、夕方ようやく拘束から開放され、脳ミソをリセットする為に松屋銀座で追悼 赤塚不二夫展を見てきたのだ。フジオちゃんはいつもバカまるだしなことをしていたが、原画を見てみると、一本一本の線は生きてるし、とても丁寧な仕事をしていたことが良く分かるのココロ。みるベシ、7日まで...
赤塚不二夫1000ページ
いばるヤツにロクなヤツはいない
明日から始まる東京造形大学のオープンキャンパス2009のテーマはドラクエならぬ"ZOKEI QUEST"、里山の中、雑木林に囲まれたキャンパスで何を探しあてるか...。その様子...
因みに女子美オープンキャンパスは今週末の土日です。
と云うことで世界遺産の認定は見送られましたが「ル・コルビュジエと国立西洋美術館」を開催中の西洋美術館です。今週末の「ファン・デー2009」では無料開放されます。建築ツアー等もあるようで、忍耐強く、且つ運のよい方(20名×2回×2日)は整理券のゲットを...
杉本博司の写真を使ったU2のニューアルバムと云うことだが、オジサンには何となく四十年昔のECMのレコードジャケットのようにも見えてしまうのだが...。
しかし、この写真は昔、勤め先の先輩の実家に投宿した晩に、球磨焼酎の酔いを醒すため先輩とその仲間と歩いた荒尾の有明海を思い出させる。海岸線に平行に走る鹿児島本線を貨物列車が通る時だけ灯が見えるだけの漆黒の闇、聴こえるのは波と砂を踏む音だけ、何故か空も海もミルク色に溶け合っていたように感じていた。それは遠い記憶の全てが未分化のぼんやりとした原風景のやうなものと溶け合っていたのかもしれない。
一昨日の朝、新日曜美術館の『カメラが私の日記帳 / 写真家・飛彈野数右衛門(ひだのかずうえもん)』を見た。番組は始まって既に15分以上経過していたが、彼が撮った屈託の無い子供達の写真に魅かれた。彼は撮影するとその日のうちに現像して、人数分焼き増しして、翌日には子供らに写真を渡すと云う。これは最初から見なければと夜の再放送を頭から見た。
立木義浩氏曰く、『....臭く感じないのは、やっぱり才能、才もあるんだけど徳もあるのよね。』う〜む、そうだよな。
自然と文化 第68号(ぼくの日記帳は、カメラだった。)
写真の町 北海道上川郡東川町
カメラばあちゃん
と云うことで、正月二日の午前中に両親と兄妹の墓参りを済ませた。今年も昨年同様、好天に恵まれ霊園から筑波山を見ることができた。東京の低湿地帯に生まれた者として、同じ東京でも西の外れの山里から筑波山のツインピークスが見えると何か得した、清々しい気持ちになれるのである。[ + ]
ところで、筑波山と云えば広重の「江戸百」...
つまり『名所江戸百景』の遠景に富士山の次ぎに数多く描かれており、云わば構図の方向性を示す記号、ランドマークでもある。
『深川洲崎十万坪』左図
『隅田川水神の森真崎』
『真崎辺より水神の森内川関屋の里を見る図』
『墨田河橋場の渡かわら窯』
『王子稲荷の社 』
『飛鳥山北の眺望』
『日暮里諏訪の台』
『南品川鮫洲海岸』
『柳しま』
『浅草川大川端宮戸川』
『謎解き広重「江戸百」』でも謎の多いとされている『浅草川大川端宮戸川』であるが森川和夫:廣重の風景版画の研究ー(1)古写真で読み解く広重の江戸名所でも解説されている様に大山詣の一行が出発に先立ち、両国橋の袂で水垢離を取ると云う風習に基づいた絵である。構図的には両国橋の上から描いたものかも知れないが、近景に欄干も描かれていない。左手に見えるは神田川の河口、柳橋の料亭とすると、遠くに見えるは蔵前橋だろうか、梵天を立てた船は神田川を遡上して何処まで行くのだろうか。そして画面中央下三分の一に配置された「大川上流の彼方に見える筑波山」を「大山」に見立てたのかについては言及されていない...何故か...。
ついでに、この霊園の峰続きの初沢城趾から見た大山・丹沢を...。
昨夜『明治百話』の公開通し稽古を見てきた。
と云うことでもんしぇん応援団による時間差多発エントリーである。チラシのコピーには『ご覧、あそこにいるのは、百二十年前のあなたとあたし』とある。120年前と云うと1888年、明治21年である。そんな昔のこと、子供の頃だったらとても想像できなかった。しかし、人生60年近く生きていると、何となく解る。少なくとも自分の生きた年月は解る。それを時間のベクトルを逆方向に生きた年月だけ進めば、百二十年の時間軸も想像できるように思える。すると『百二十年前のあなたとあたし』も身近な存在に見えてくるから不思議だ。人間はそれ程変わっていないのに、私たちの町の有り様は悲惨なほど姿を変えてしまった。町の名前も消された。芝居の中に出てくる木挽町、猿若町なんて聴いてピンとくる人は芝居好きか古地図男か人生のベテランだろう。経済性や合理性や開発の名目で市井の人々の歴史や記憶が殺されてゆき、行き場を失った従順な人達は地面から引っ剥がされて超高層マンションへと追いやられてゆく。街の姿を変えても、人間の本質は今も昔も大して変わりない、いつの時代でも権力の頂点に立つものは人を支配したがるし、悪い奴、狡い奴もいれば、お人好しもいる。明治がちょっぴり魅力的に見えるのは、勤め人が少数で、市井の人々の多くは企業に隷属することもなく、小商いや職人等々で生業を立て、自立していたからだろう。
芝居は「明治百話」の中から幾つかのエピソードを取り出し、女役者・坂東侠香の話をコアにして、首切り・山田浅右衛門の話、新橋芸妓・秀千代の話を絡めてゆく。そこに新聞錦絵もどきへ有る事無い事を書き立てるやくざな記者やら、大店の若旦那、はたまた幼くして亡くなった娘の幽霊まで絡んでゆく。芝居の時間軸をコントロールし、舞台転換を演出するのが囃子方であるパーカッションの関根真理さん、場面転換によってはビリンバウまで駆使している。二幕目から囃子方に、鉄火肌の新橋芸者役で三味線を披露した かりんさんも加わり、二十五弦箏と喉を披露する。玉井夕海さん演じる女役者・坂東侠香の着物姿も見どころ。色々な才能を持った人達が集結して芝居創りに挑んでいる。どうです、面白そうでしょう。
シアターイワト(新宿区岩戸町)
2008年・12月3日(水) → 7日(日)
3日(水)/4日(木)/5日(金)──19時開演/6日(土)/7日(日)──15時開演
開場は30分前 100席 自由席
入場料3800円(学生2000円)
Kai-Wai 散策:『明治百話』稽古風景@iwato
MyPlace:明治百話
aki's STOCKTAKING:明治百話
篠田鉱造『明治百話』抄
神楽坂上岩戸町シアターイワトの制作毎日日記
昨夜は観劇会、六本木でブルーマンによるBlue Man Groupのパフォーマンスを見てきた。ストリートパフォーマンスからオフ・ブロードウェイ、そしてワールドワイドなショービジネスの世界にChange(企業化)したBlue Man Groupはエンターテインメントのビジネスモデルなのだ。彼等に予想外を期待してはいけない。全ては計算上の予定調和された管理下の元にあるのだから...それなりにエンターテインメントとして楽しむのがベストだろう。
左の写真はショーが終った後、観客の求めに応じ記念撮影するブルーマン、えっ!モノクロ写真じゃ意味ないって...色に惑わされないよう...敢えて...。
YouTubeには映像が多くリストアップされているがiTunesStoreにもアルバムがある。
Blue Man Group - How to Be a Megastar Live! (Bonus Video Version) :
Blue Man Group Video Podcast :
さて、エンターテインメント系ビジネスモデルのブルーマンですが、世界中に何人いるのか気になるところです。どーも...3人だけではないような気がしますが...(^_^;)
MoMAstoreからのメールニュースで知ったのだがラフォーレミュージアム原宿でドキュメンタリー映画『ヘルベチカ 〜世界を魅了する書体〜』(DVD)の発売記念イベント「Helvetica project」の一環としてHelvetica展が昨日から10月28日まで開かれているそうです。
巷ではGPS機能付きデジカメが話題のようであるが、iPhone3GにもGPS機能と通信機能そして加速度センサーを応用したカメラ機能拡張ツールがある。
と云うことでAppStoreのfreewareとして提供されているmemory treeがそれであるが、12月7日まで金沢21世紀美術館で開催されている金沢アートプラットホーム2008 の展示作品でもある。いわゆる「コンセプチュアル・アート」の枠に留まらず、日常的なツールとして有効なところがミソであろう。この作品(ツール)は他者と「思い出」を共有することにも狙いがあるようだが、「Memory... 」と云えば、たった一人との思い出に浸り、センチメンタルな秋の夜を過したい向きには...こんなJazzは如何だろう。
Benny Goodman:Memories of you
いがらしみきおの「5秒前の世界」は季刊誌『SIGHT』連載の見開き一コマ漫画であるが、Nao Tokuiによる10秒前『10 seconds ago』はそのコンセプトからiPhoneUserの為のアートと言ってもよさそうだ。
折しも横浜トリエンナーレ2008も開催中である。iPhoneUserは『9の1』をインストールしてトリエンナーレ会場の内外で飛び跳ね、『いみわかんない?』『だからなんなんだ』『それがどうした』『ばかばかしい』等々と評価されている現代アートに参加してはどうだろう。
女子美ガレリアニケで開催中の【Looking In and Looking Out (side the Box)】はギャラリーをカメラ・オブスキュラ(camera obscura)にして仕舞った。つまり人がカメラの中に入って、その内と外を見てみようという試みだ。小型のカメラ・オブスキュラを試したり、その原理は知っていても、カメラ(部屋)の中まで実際に入った人は少ないだろう。さて(写真上の)このピンホールから入った光がどんな像を結んでいるのだろうか...
会期と場所....自然光だけが頼りなので晴れた日中がベスト...
因みに制作は私が女子美で最初の授業を担当した時、助手をしてくれた後藤さん。その女子美に誘って戴いた赤沼さんも今年度で退職、平成20年度 女子美術大学 女子美術大学短期大学部 退職教員展は相模原キャンパスの女子美アートミュージアムで9月17日から開かれる。
カークさんこと山田馨さんの個展が次週・6/30〜7/5の会期で銀座のギャラリー・ツープラスで開催。
ブログ「kaoru photo...2」掲載の作品等が展示されるそうです。
ギャラリーツープラス
東京都中央区銀座1-14-15 白井ビル
TEL 03-3538-3322
センネン画報
2006年2月のエントリーで紹介したブログ・「今日マチ子のセンネン画報」の選りすぐり作品に新たな書き下ろし作品を加え単行本となった。最初は「ちょっとシュールな脱力系」という印象であったが、最近は高校生の女子とそのボーイフレンドとの日常と夢想が織りなす風景と叙情に少々の毒とエロスを添加した「オチのないマンガ」として作風が確立し、不思議な魅力をもった作品となっている。
今日から6月10日まで銀座ニコンサロンで[宮本常一が歩いた日本… 昭和37年〜39年]が開かれる。
あのとき、撮影手法に....と...色々と話に聴いていたが、うーむ、こーゆーことだったのか。Kai-Wai 散策のmasaさんこと、村田賢比古氏が写真集を上梓される。タイトルはズバリ『時差ボケ東京』である。
ハードカバー大型上製本(全62頁-写真42葉)ISBN4-9904156-0-0 価格3600円+税なのだ。これはもう、masa-fanならずとも買わねばならぬのだ。
追記
LOVEGARDENでの発売も決まったのだ。『そうだ 京島、行こう。』
神保町・ブック・ダイバー(探求者)でも発売!近くの「新世界菜館」でカツカレーと...
"901:After 45 Years of Working"と題されたフイルムはチャールズ・イームズ(Charles and Ray Eames)の孫であるイームズ・ディミトリアス(Eames Demetrios)と娘のルシア・イームズ・ディミトリアス(Lucia Eames Demetrios)によって制作され、"EAMES FILMS"のDVDにSpecial Featureとして加えられたものだ。
1988年8月21日レイ・イームズ死去、建築家の夫チャールズ・イームズの死から10年、夫妻の45年間のデザイン工房901番地は、彼女の計画に従い売却、中身は彼女の遺志を継ぎ博物館や各施設に贈られた。工房を閉める時に夫妻の素晴らしい世界を記録に残すことにした。以上の趣旨で制作されたフィルムはイームズ夫妻の娘・ルシアが8月21日の日付のカレンダーを壁から外し紙に包み、全ての物が搬出され空となった工房が闇に包まれたところで終っている。
「彼女の計画」と言うからには工房の創始者である"Charles and Ray Eames"の二人が亡くなったら工房を閉めるということは二人の約束事だったのであろう。二人の遺志を継ぐ者がいても、一旦リセットして再出発すれば良いのだ。それは残された者への配慮かもしれない。45年間の夢と記憶が記録された工房を閉めるのは、ちょっと哀しく淋しくも感じるが、その潔さがフィルムを見終えた後に爽やかさを伝えてくれる。
チャールズ・イームズの孫であるEames Demetriosのサイト・eamesdemetrios.comからYou Tubeにアクセスすると、イームズデザインのプライウッドによる象の素敵なアニメーションを見ることができる。チャールズ&レイ・イームズのミームはこうして生き続けているのだ。
"A Gathering of Elephants"
追記
「チャールズ・イームズ写真展 100 images × 100 words ─偉大なるデザイナーのメッセージ」:5月20日〜6月8日
チャールズ&レイ・イームズ 16mmフィルム上映会:2008/6/7
昨日は出講日の午後を利用してバウハウス・デッサウ展に行ってきました。もちろん、その前に18日が開催期限のTizianoを観賞する為、西洋美術館に立ち寄ってからです。
と云うことで写真は只で入手できるパンフレット、右下の四つ折りにされたA4サイズのパンプレットを広げるとA2サイズ用紙の隅々に展示品が並んでいる。解説はないけど、これだけでも立派な資料。左下は同時開催されている芸大コレクション展の「東京美術学校とバウハウス」のリーフレット、これは1階の受付で申し出ると貰えます。因みにリーフレット右上の図はバウハウスに留学した山脇巌の芸大卒業制作。
展覧会の内容は次の通り
一部:デッサウ以前/バウハウスとその時代(地下展示室)
二部:デッサウのバウハウス/基礎教育と工房(三階展示室)
三部:建築(三階展示室)一画にグロピウスによる校長室をサッシュのディテールまで再現
尚、地下展示室では芸大コレクション展を同時開催
バウハウスのあるデッサウ(Dessau)は1989年のベルリンの壁崩壊まで、第二次世界大戦後は東ドイツ領であったため永い期間その実態の詳細が分からず、建築史の写真資料は戦前の写真か、戦後の荒廃した写真くらいであった。バウハウスを自由に訪れることが可能になったのは1990年代以降、ようやくこうした映像を見られるようになった。
GoogleMap:BAUHAUS( 51°50'23.04"N 12°13'39.25"E)
昨年はル・コルビュジエ展でしたが、今年は藝大美術館でバウハウス・デッサウ展が大型連休前から開催されます。(引き続き巡回展が夏に浜松、秋に新潟、来春が宇都宮と開催予定。)そういえば三年前にエントリーした「Landscape of Architectures」でバウハウスについて触れていたこと思い出した。そうだ!5月18日までなら上野でヴィーナスにも会えるのだ。
しかし、ティツィアーノも400年以上を経て『ウルビーノのヴィーナス』がポスターになって大量に複製され電車内や駅の構内の其処彼処に貼られるとは思いもしなかったでしょうね。
しかし、ポスターでは「いじめ」への配慮か少女を折檻する侍女の姿はザックリとトリミングしたり"Venus"の頭文字で...なんだかですので全体を...(注:私には腕まくりした侍女が折檻しているように見えますが、定説では少女が箪笥に頭を突っ込んでヴィーナスに着せる服を探していると云うことですので誤解なきよう。)m(__)m
先ずはジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」(1510)
そしてティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」(1538)
ルネッサンスもボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」(1485)から50年以上経つと...実に人間的で...
ついでにゴヤの「裸のマハ」(1797-1800?)と...
マネの「オランピア」(1866)も...
追記:ポントルモのヴィーナスとキューピッドも展示されているようで、他の作品を周囲に配置したポスターの右下の絵がそうですね。これは寓意性が強調された絵ですね。寓意性と云えばブロンズィーノの愛の寓意(Venus, Cupid, Folly, and Time)が有名ですがロンドンのナショナルギャラリーの所蔵なので、今回展示されるブロンズィーノの作品は別な絵のようです。
M.Niijimaさんが展覧会を観てエントリーをされました。
Across the Street Sounds:妻の懐妊を望むあまりに大公はそれを贈った
東京都庭園美術館で開催中の『建築の記憶-写真と建築の近現代-』期間は3月31日まで、ドレスコードによる割引があるらしい。と云うことで見逃さないように備忘録。
神奈川大学21世紀COEプログラムによる研究成果の一つ『「名所江戸百景」と江戸地震』がネット上に公開されている。
幕末の安政2年(1855)10月2日に起きた安政江戸地震の翌年、安政3年から5年(1856 - 1858)に掛けて浮世絵師・歌川広重によって制作された「名所江戸百景」に被害状況や復興状況等を関連付け解説を加えている。「名所江戸百景」は震災復興と安政の大獄で揺れていた時代に描かれたものである。吉原を描いた「廓中東雲」の、どこか物寂しげな情景も時代背景を知ると納得させられる。
80年代のMacUserなら知らぬ者はいないMacPaint Artによる橋口五葉の木版画「髪梳ける女」であるが、明日の新日曜美術館は大正 究極の女性美を描く〜版画家・橋口五葉〜である。取敢ず忘備録としてエントリー。
masaさんによるレノンの命日に因んだエントリー・ジョン・レノンの眼鏡屋さんを見て、5年前に開かれたYOKO ONOの個展・FROM MY WINDOWで見たジョン・レノンの眼鏡を思いだした。個展のカタログは17枚の写真、タイトルカード、メッセージカード、インデックスカード、B3版ポスターからなり、グレーのカートンボックスに納まっている。メッセージカードには次の言葉が...。
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Remember we are one.
Even when we are fighting with each other
Our hearts are beating in unison!
Yoko Ono 2002
私たちは一つだということを思い出そう。
互いに争っている時でさえ、私たちは同じ鼓動を刻んでいるのです!
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ビートルズへのオマージュを意図しているような...
紹介するのが遅れましたが17日(水)まで東京造形大学・ZOKEIギャラリー(12号館1階・日曜休館)にて春日明夫のオモチャ箱展が開かれています。会場の様子はこんな風です。昨日、授業の前にチラッと見てきましたが、800点余りの展示品はじっくり見たら面白いものばかりです。スクールバスの時刻表や他の交通手段でのアクセスはこちらを参照してください。
と云うことで昨日は授業が終ってから、iPod touch で10月から大学構内に構築された無線LANを試してみました。セキュリティはWi-Fiへの接続でパスワード入力が求められLANへの接続でIDとパスワードが必要という二重のガードで守られています。それでWi-Fi環境の使い勝手を確かめるネットサーフを始めたら黒川紀章の死を知りました。彼のライバルである磯崎新の設計による建物内で、そのNewsを知ったのは偶然ですが、、、象徴的でした。
と云うことで昨夜のタモリ倶楽部は、2006年の5月14日に閉館された交通博物館に代わって、さいたま市に10月14日にオープンする鉄道博物館からの中継録画の前編であった。新装オープンする鉄博(マニアはそう言うらしい)はタモリや原田芳雄らの還暦を過ぎた鉄ちゃん達も番組を忘れて大はしゃぎするだけの規模と内容が揃っている。そういえば、学校の帰りに地下鉄車内で鉄道系の本を熱心に読んでいる鉄子さんを見掛けたが、あれは本物の鉄子さんなのか、業界関係者が鉄道博物館の取材の為に勉強していたのか、良く解らなくなった。
昨日、横浜美術館で「水の情景−モネ、大観から現代まで」を見た。貰ったチケットなので多くを期待はしていなかったが福田平八郎の「鮎」は良かった。福田平八郎は「鮎」をテーマに多くの絵を残しているようであるが、展示されていたのは京都国立近代美術館の福田平八郎展で展示された「鮎」ではなく、大分市美術館が所蔵する軸装された「鮎」である。他の「鮎」はこのシンプルで研ぎ澄まされた「鮎」に行く付くまでの習作にも思える。
それにしてもエントランス前にある竹の作品は、その存在感に於いて既に向かい側の工事現場の木製仮囲いに負けている。同じ自然素材でありながら、この差はなんであろう。
たむらくんから個展の案内が届いた。会場はいつもの表参道近くのPinpoint Galleryだ。会期は2007年6月18日(月)〜6月30日(土)まで。と云うことで、20日の出講日の帰りに立ち寄りました。
二時過ぎに画廊に着くと、オーナーの人と向かい合って絵本にサインをしている最中でした。今回の作品は、こんな感じで、とてもシンプルです。アクリル絵の具で描いているのかと思ったらグワッシュだそうです。
たむらくんのPinpoint Galleryでの個展も長く続いているので、最初の個展から、もう20年くらいになるのか画廊オーナーの方に尋ねたら、最初の個展が1989年で、今年で18年目になると云うことです。信頼関係があるから長続きするのでしょう。平日の午後とあって、静かでのんびりとした空気感ですが、時折、絵本の読者と云う親子連れが何組か訪れ、作者からサインを貰っていました。
そんなこんなで、なんたらと、一時間ばかり過ごし、表参道交差点近くのGallery360゜でホンマタカシ [ NEW WAVES ]を見て山里に帰還。
六本木ヒルズ・森美術館でル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡を見てきた。
パリのコルビュジエのアトリエとマルセイユのユニテ・ダビタシオン、それにカップマルタンの休暇小屋の原寸室内模型が展示されているとのことであるが、イタリアの家具メーカー・カッシーナがミラノ・サローネに展示する為に製作したカップマルタンの休暇小屋の室内レプリカは良くできていたが、他の二点は貧弱でお粗末、多くを期待しないでスケールを確認するだけのものと考えた方が良さそうだ。そんな中で、ユニテ・ダビタシオンの室内階段のレプリカだけは一見の価値がある。ジャン・プルーヴェの影響によるデザインであろうか、薄板鋼板を三角形にロールフォーミングによる曲げ加工したササラ桁とプライウッドの踏み板のディテールが実に理に適って美しい。
そういえば、六本木にはコルビュジエを師とする前川國男氏の元で修業した大高正人氏による全日本海員組合会館が建っている。この建物にもコルビュジエのミームは受け継がれているのである。それにしても周囲に高層建築のなかった竣工当時の写真と比べると、様変わりしたものである。
とたんギャラリーからのDMが届きました。本日から来月24日までの土日にフタボンコ 「オモカゲプロジェクト」が開催されます。と云うことで、阿佐ヶ谷住宅の再開発が2008年1月頃まで延期になったようですね。
ル・コルビュジエ生誕120周年を記念した展覧会が5月26日から森美術館で開かれる。目玉はマルセイユのユニテ・ダビタシオンとカップマルタンの休暇小屋の原寸室内模型だそうだ。それまでには六本木ヒルズのエレベーター・ワイヤーケーブルの補修も終わるだろうが、、、。
第五回アースダイビング当日の阿佐ケ谷住宅・TOTAN GALLERYの展示は『インストール パーティー』です。ん〜、DMとネットの情報だけでは、どんなパフォーマンスになるのか想像が付かない。ところで、阿佐ヶ谷住宅日記によれば阿佐ヶ谷住宅の再開発は来年まで延期になったようです。
ともだちの娘さんの作品が大賞に選ばれたと云う訳で、銀座・伊東屋9階ギャラリーで開かれている玄光社発行の雑誌イラストレーション主催の第24回 ザ・チョイス大賞展を見てきた。
大賞受賞作品をはじめとして彼女の作品は布と糸のテクスチャーを生かし、命あるものがモチーフとなっている。眺めているとなんとなく顔が綻んでゆく作品だ。今月28日まで開催。
阿佐ケ谷テラスハウスのTOTAN GALLERYから2月と3月の展示案内が届きました。
2月3日から2週間の予定で淺井裕介 『刺繍のワッペン』が開かれます。
そして3月3日から2週間の予定で下平晃道 『HALF ASLEEP』が開かれます。
今朝の東京新聞に「明治の風情写した師弟・下岡蓮杖と臼井秀三郎」の記事が、明日から3月4日まで開かれる日本カメラ博物館JCIIフォトサロン「幕末・明治の古写真展 下岡蓮杖と臼井秀三郎の写真帖より」の紹介だ。
残念ながら3月10日から開催の東京都写真美術館の「日本写真開拓史 I. 関東編」とは日にちが重ならず、「幕末・明治の古写真」を一日で見て回ることは叶わない。
視線が、、、
僕のこの姿が通行人を妄りに刺激し公序良俗に反すると云うので、お偉い方にブリーフを穿かされてしまいましたが、余計にある部分に視線を感じてしまいます。本当なら青銅時代のロダン君に負けないくらいの肉体美なのに、真の姿を見せられなくて口惜しい限りです。おまけにジャリ、いやチャリ共にまでよってたかって「ブリーフ男」とからかわれるし、踏んだり蹴ったりだけど、そういうチャリ共はこのブリーフマン・チョップで懲らしめてあげます。
そんな僕ですが、遠く離れた所にいる意中の清水さんを想うと切なくなり、、、、ですが、何しろ形状記憶金属製なので心中を悟られることがないのが何よりです。えっ、それにしても僕のポージングがぎこちなくて、まるでエジプト彫刻みたいだって、失礼な。
「木村伊兵衛のパリ」を見た。展示されているのは50年前の写真だ、その写真を撮った人は既に此の世にはいないが、そこに写っている多くの人も既に此の世から去っているだろう。ロンシャン競馬場の不貞腐れた有閑マダム達も、下町の人懐っこい笑顔の人達も、曰くあり気な店主もいないだろう。しかし、其処に住んでいる人々が代わってもパリは都市で在り続けている。正しく、この写真展の主役はパリなのだ。そういえば50年前の東京にもルノーのタクシーが走っていた。そのルノーのタクシーが走っていた50年前の東京の方が今よりも東京は都市であったような気がするのだが、、、。
と云うことで昨日は宿題の途中で家を抜け出しTOTAN GALLERYで「3時のおやつ」を御馳走になりました。私がTOTAN GALLERYに着いたのは既に3時半頃でしたがGALLERY主宰者の大川さんが私の分を取って置いてくれ御蔭で「おやつ」にありつくことができました。尚、昨日の経緯の詳しいことはmasaさんが既にTOTAN GALLERY の午後をエントリーしていますので、そちらをどうぞ、、、。
阿佐ケ谷テラスハウスのTOTAN GALLERYから二つの展覧会の案内状が届いた。
一枚は12月10日から、日常生活をテーマに、トタンによる彫刻作品をつくる元木孝美『日彫展』
オープニングは「3時のおやつ」パーティとか。
そして、もう一枚は来年の1月7(日)からは阿部岳史「GHOSTS−幽霊たち−」(彫刻家・インスタレーション)
昨日、授業の前に阿佐ケ谷テラスハウスのTOTAN GALLERYに行ってきた。同行者はブログで私の行動を嗅ぎつけたsimple pleasureのりりこさんである。丸ノ内線・南阿佐ケ谷駅から適当に南に向かって住宅街を抜けると団地が現れる。団地内の周回道路の南端は芝生広場の向うにTOTAN GALLERYのある公団阿佐ケ谷住宅25号棟がある。『道に迷われた方から、電話で道順を尋ねられますが、駅から迷わず真直ぐ来るよりも、少し迷子になってから、ここを見つけたほうが楽しいようです。』と、TOTAN GALLERYのTさんは言う。それはそうだ、散歩の楽しみは普段と違う道を歩いて迷子になることなのだ。
29日まで展示のhana写真展『全窓全開』はGRによる作品ということである。hanaさんは田中長徳さんらによるGR DIGITAL BOXに作品を載せている10人の1人だ。
これはGRのユーザーは必見でしょう。誰とは言わないけれど。
階段のディテールを見ると、前川国男邸と共通の印象を憶える、骨太のディテールが前川さんらしい。壁には団地の地図が、、、これも作品だ。
築48年の建物は雨漏りもするが、ステンレスのボウルもここではアート、かな?
と云う事で、昨日は残念ながら雨降りの上に、朝から中央線の人身事故で30分も時間を無駄にしたので、授業の準備もあってゆっくりする間もなくギャラリーを後にした。晴れているときに又来よう。
南阿佐ケ谷駅前でりりこさんと分かれる際、彼女はこのチラシを大学に置くようにとのミッションを残し、いそいそとランチへとむかった。私はあたふたと地下鉄に飛び乗り、大学に急いだ。結局、授業の準備でランチを食べる暇はなくなり、恐怖の三コマ(90分×3)授業へ突入したのであった。
追記:因みに女子美祭2006が10月27日から29日まで開催されます。杉並校舎の最寄り駅は東高円寺で、南阿佐ケ谷とは二駅離れているだけ。
Kai-Wai 散策:阿佐ヶ谷テラスハウス
ONE DAYの小野寺さんの個展が原宿のギャラリー・ドゥ・ディマンシュで28日の日曜日まで開かれている。生憎と週末の天候は宜しくないようですが、こんなパラソルを差して出掛けるのも良いかも知れません。場所は表参道の伊藤病院の脇道を入って「まい泉」の先、ミニストップの角を左に折れてすぐです。イラストのキャラクター・ヒロイン、シノワさんが案内する香港の下町風景が素敵です。
東京オペラシティアートギャラリーの「武満徹 ─ Visions in Time 展」を見てきた。
平日の午後とあってか静謐な展示会場は「実験工房時代」の滝口修造に捧げられたともいえるピアノ曲「遮られない休息」の精緻な自筆スコアから始まり、「御代田のアトリエ」「美術家との交流」「映画・テレビ・ラジオ」「著述」「プロデューサー」のコーナーと続き、アルバムや著書に用いられた原画が展示され、最後はデビット・シルビアンとラッセル・ミルズによるビデオ・インスタレーション「トオルのいない庭で」によってデクレッシェンドされる。
いつの事だったか憶えていないが、1970年代の前半だったと思う。テレビで武満徹と黒川紀章ともう一人誰か記憶にないが三人で六義園を散策しながら何かを話す企画番組を見た。その中で黒川の話しを受けて、武満は「どこからともなく表れて、いつの間にか消えている、風のような音楽を作りたい。」と、そのような意味の事を言っていた。30年以上前の記憶なので精確ではないが、その部分だけ憶えている。
そんな事を展覧会カタログの次の一節を読んで思いだした。
匿名の部分私の音楽は、たんに娯みや慰めのためのものではない。
私の音楽は、いま生きている時代の、知や感情と結びついてはいるが、
だからといっって同時代性に凭れかかっているわけではない。私の音楽は、つねに、個人的(パーソナル)な感情から生まれるものであり
「日本主義」というようなものとは関わりをもつものではない。私の音楽は、「自然」から多くを学んでいる。自然が謙虚に、
しかし無類の精確さでさししめすこの宇宙の仕組みにたいして、
私の音楽は、その不可知の秩序への限りない讃歌なのだ。私は、音楽を通して、「世界」の匿名の部分(パーツ)たりたい。
4/25から4/30までロイヤルサロンギンザで森本幹生展が開かれている。と云うことで、授業が終わってから目黒の会計事務所に寄って、それから銀座に出向いた。作品は想像以上だった。せっかく褒め讚えようと思ったのに本人不在。
府中市郷土の森博物館で「テーマ展 宮本常一 大国魂神社 くらやみ祭を撮る」が6/25(日)まで開催されています。
民俗学者・宮本常一は日本全国を旅し、10万枚におよぶ昭和の風景を納めた写真を残したことで知られています。今回は彼の撮影した昭和30〜50年代の写真を通して、府中を象徴する大国魂神社、くらやみ祭を知るとともに、宮本常一と被写体とのかかわり、そしてそのまなざしを紹介します。府中市郷土の森博物館では宮本常一・生誕百年を迎える来年・2007年に大規模な展覧会を予定しているそうです。
竹中工務店東京本店1FGallery A4の「北田英治写真展 ル・コルビュジェのインド 」を見た。そして講演会+シンポジウムにも参加した。その前にmasaさんの傳八ビルのルーツで紹介された両国・江戸東京博物館の「昭和モダニズムとバウハウス〜建築家土浦亀城を中心に〜」展を見てから、大江戸線と東西線を乗り継いで東陽町に向かった。東陽町は随分と前に運転免許証の再交付で行っただけで不案内な土地だが、地下鉄出口を出て次の交差点で右を向くと、直ぐにそれと分かる建物が視界に入ってきた。
北田さんの写真には、いわゆる「建築写真」つまり建築だけにフォーカスした写真とは一線を画し、建築の今を生きている姿が表わされている。建築が風土や人間との関係性に於いて成立するもので或る以上、建築が社会の中でどう生きてきたか、或いは生かされているか、その時間がフィルムに焼き付けられているように思えた。
そう云えばル・コルビュジェもルイス・カーンも最晩年をインドの仕事に費やしていた。北田さんのスライドにも写っていたインド人建築家B.V.ドーシ氏はMY ARCHITECT A Son's Journeyにも出ていた。彼はチャンディガールの計画を知り、ル・コルビュジェの元に押し掛け設計に携り、現場を担当し、その後、カーンを招聘しインド経営大学の設計に推薦している。(カーンはこのインドの現場から帰路、N.Y.C.で倒れ帰らぬ人となっている。)
コルビュジェのインドでの仕事を見ていると彼の提唱した建築の五原則が実に伸びやかに生き生きと実現されているかが良く分かる。亜細亜的な建築の内と外との関係のユルさがコルビュジェの建築に命を与えているような気がした。
会場で落ち合ったakiさんは「ル・コルビュジェのインド」をエントリーしている。
オープニングに行かれた真鍋さんはル・コルビュジエのインド/北田写真の魅力について語っている。
small+beautiful design by Switzerland
女子美アートミュージアムで「スモール&ビューティフル:スイス・デザインの現在」展が開催中、期間は2006年2月20日まで。
Victorinoxのナイフを持っているが、こんなものでも普段持ち歩くことが憚れる世の中になってしまった。「小さく豊かに生きる知恵」をスイスの現代デザインから学ぶ展覧会だ。
今朝の日曜美術館で紹介された多摩美が主催するTOKYO INTERNATIONAL MINI-PRINT TRIENNIAL 2005のパンフレットです。裏面はこうなってます。展覧会のパンフレットといえば普通はA4サイズのチラシかハガキが通り相場ですが、このパンフレットは封書です。そして切手の替わりに各入選作品のシールが貼られ、創立70周年記念のスタンプが捺されています。そう、シールの70という数字も70円ではなくて70周年の意味ですね。この国際トリエンナーレの応募作品が世界各国から郵便で送られてきたと云う意味もあるのでしょう。封を開けるのが勿体ないパンフレットです。来年の1月22日まで多摩センターにある多摩美美術館で開催されてます。
吉村順三建築展を見た後、谷中方面に行く途中で通り掛かったギャラリーで見たアニッシュ・カプーア「JAPANESE MIRRORS」の個展。JAPANESE MIRRORSとは漆の鏡のこと、とても不思議な作品です。百聞は一見に如かず。会場にはこの人が見にきていた。
三軒茶屋のシアタートラムで中上健次原作の「オリュウノオバ物語」を観てきた。大学の空間系研究室の学外授業による観劇会である。どちらかと云えば血縁ドロドロの私小説は苦手なので中上健次の文章は雑文程度しか読んでいない。中上健次の作品にふれたのは、昔、ATG(アートシアターギルド)制作の中上健次・原作、長谷川和彦・監督、水谷豊・主演の尊属殺人の実話を元にした「青春の殺人者」を観たぐらいであるから、30年ぶりに中上作品を観たことになる。
空間系研究室の学外授業に中上作品の重いテーマが適しているかは不明だが、プロセニアムアーチのないシアタートラムの演劇空間を学生が体験するという意味では良かったのだろう。舞台は掘込み形式の3尺×6尺束立て床を自由に構成できる利点を生かしてデザインされている。舞台後陣は幕で仕切られ森に見立てられている。その森につながる道が舞台後陣中央から舞台上手に円弧を描いてスロープとなっている。その円弧のスロープによって上手と下手に分割された舞台は、それぞれが三つのレベルのステージを持っている。舞台下手はオリュウノオバの家に見立てられ、客席側から土間、居間、産室に見立てられた段差のあるステージが設けられている。舞台上手は谷地が表現され墓石や石塚が立てられている。そして舞台後方には石積みや堆積物や漂着物が表現されている。物語は和歌山県南部の架空の被差別部落「路地」を舞台に第二次世界大戦を挟み中本の血を巡る「天狗の松」と「天人五衰」の二話を岸田今日子演ずる産婆のオリュウが語り部となり展開する。
路地へ 中上健次の残したフイルム
13日の木曜日に横浜トリエンナーレ2005に行ってきました。天気予想が大外れで午後も快晴が続きトリエンナーレ日和でした。今回のテーマは"ART CIRCUS"つまり日常からの跳躍と云うことだそうです。2001年の前回よりも伸びやかに展示されていたのが印象に残りました。まぁ現代アートには倉庫が似合うと云うことでしょうか。内容は明日(10/16)の日曜美術館で紹介されるので、生まれも育ちも横浜のはなちゃんのナビゲートで御覧下さい。
会場のコンテナは"COSCO"の提供です。そう、コストコが米国と同様にコスコと呼べなかったのは、この海運会社が既に商標登録していたからだそうです。
岸壁に繋留してある砂利運搬船らしきダルマ船にビニールハウスの上屋を被せたリビングルーム。
肛門系?カフェ、そういえば最近のテレビは肛門系タレント???が矢鱈と目立ちますね。
(注釈:人様にはお見せできないモノの総称が"肛門系"ですね。流石に日曜美術館ではこの方向から撮影してませんでした。)
準備中の画像は面白そうだったけれど、こーゆーモノは出来たのを見ると感動が薄いですね。
因みに会場屋内の撮影は禁止されているので外回りの写真だけでした。でも、撮りたくなるのは倉庫とかクレーンでしたが。
前回第1回横浜トリエンナーレ2001のサイトも残されてPDFによる横浜トリエンナーレ2001報告書もあります。
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追記:トリエンナーレはその名の通り3年ごとに開催される美術展ですが、第二回の今回は2001年から4年を経ての変則的な開催となってます。本来ならば昨年開催されているところですが、色々と紆余曲折があり、土壇場で磯崎新氏が総合ディレクターを辞退、今年3月に東京藝大学・教授を退職した川俣正氏が急遽、総合ディレクターを引き受けた事のようです。
磯崎新氏、横浜トリエンナーレ2005の企画案を表明(2004/12/05)
緊急告知【どうする?どうなる!横浜トリエンナーレ2005】(2004/12/07)
どうなるトリエンナーレ(2004/12/14)
どうなる?どうする!「横浜トリエンナーレ2005」(2004/12/14〜2005/1/18)
トリエンナーレ幻の構想も収録、「なぜ、国際展か?」出版(2005/9/28)
Yokohama City Art Network
今回の横浜トリエンナーレ2005には市民グループによるボランティアが寄与しているようです。
チャールズ&レイ・イームズ 創造の遺産と題された展覧会が10月8日から12月11日まで目黒美術館で開かれる。この10年間でイームズの展覧会は何回開かれたのだろうか。目黒美術館でも1997年に「チャールズ&レイ・イームズ 映像の世界」と題したEAMES FILMSの上映会があった。2001年8月には東京都美術館で「イームズ・デザイン展」があり、今年も3月に大丸ミュージアムで「チャールズ&レイ・イームズ展」があったばかりである。やはり、イームズは日本人の心の琴線に触れる何かを持っているのかも知れない。特に今回は目黒区民センターホールに於いてEAMES FILMSの上映会が11月23日と27日の二日間、開催されるとのことである。
尚、大日本印刷の運営するartscapeが様々な展覧会情報を詳しく紹介、要ブックマーク。
たむらくん からチケットが送られてきたので、さっそく八王子市夢美術館に行ってきた。
初稿8/3:展示会は本日(9月19日午後6時30分入館締切)までです。
と云うことで、先のエントリーのたむらくんのコメントにあった、私がお手伝いした「横浜博のスケッチ」を絵本に纏めたのがこの一冊、ある企業パビリオンに展示するジオラマ(たむらしげるの世界)の為のスケッチであるが、ジオラマ模型を作るための建築的なディテールのアイデアとアドバイスを提供した。時代だけに、ポストモダン的なものも混ざっていたりする。
このプランは部数限定発売だったのでもう市場にはない。なんでも、ネットオークションで2万円で落札したマニアがいたとか。
図録はハードカバー、64頁で税込み1000円はお買い得。
展覧会は絵本の原画と映像(銀河の魚、等)を中心に充実した内容になっている。これだけまとめて一人の絵本作家の原画を見る機会は滅多に訪れないだろう、お世辞抜きに親しみやすく良い展覧会に仕上がっている。
今日から9月19日まで八王子市夢美術館でたむらしげるの世界展が開かれます。美術館の場所は八王子市八日町の国道20号線(甲州街道)と16号線が重複しているこの辺りです。嘗ては繁栄を誇った街道沿いの商店街も中心部が駅前に移動して寂れています。展覧会だけでなく黄昏る昭和時代の典型的商店街も見られます。
因みに明日(7月30日)は八王子花火大会があります。
そして8月5日〜7日は八王子まつりだそうで、開館時間も午後9時(入館は8時30分)まで延長になります。
今年の3月、静岡からの帰りに立ち寄った箱根のポーラ美術館であるが、全てに亘って頭に浮かぶは消費の二文字。駐車場、入場料、カフェ、レストラン、ミュージアムショップ、等々、日本一お金の掛かる美術館であろう。因みにコレクションは今更ながら日本人好みの印象派である。スノビズムを満喫したい人には良いだろうが、そうでない人は行く必要はないだろう。
森に沈められた建築は設計・日建設計、施工・竹中工務店と、とても奇麗すぎるくらい良くできている。
全面完成したモエレ沼公園を記念してか、次回7月24日のNHK教育・新日曜美術館は「二つの祖国の間で・イサム・ノグチ」が放送される。そして9月16日から東京都現代美術館でイサム・ノグチ展 彫刻から空間デザインへ〜その無限の創造力が開催される。
モエレ沼公園のQuickTime-VR
昨年10月22日のエントリー真夜中のイサム・ノグチ
ということで招待券を入手したのでTHE ART OF STAR WARSも見てきた。THE ART OF STAR WARSは昨年、京都国立博物館でも開催されているが、そのとき"EPISODE-III"についてどのくらい情報公開されたのだろうか、いずれにしても今回は"EPISODE-III"完成後の"THE ART OF STAR WARS"なのでシリーズ6作を網羅した図録の完成度は高いと思われる。今回の会場は目黒美術館と東京フォーラムに分かれて、目黒美術館のコピーは「ダースベイダーの誕生」と云うことで主に"EPISODE-III"の登場人物のキャラクターにフォーカス、東京フォーラムのコピーは「リアルサイズのスターファイター」として乗り物等にフォーカスしている。どちらもマニア垂涎のお宝で溢れているが、目黒美術館ではそうしたマニアやオタクの行動心理を警戒しての措置なのだろうか、係員がのべつ幕無し「携帯での撮影や展示物に触れることは固くお断りします。」「ガムなどの会場内での飲食はおやめください。」と喋りながら会場内を巡回すること喧しいかぎりである。聞いた話であるがマニアからの質問や指摘は西洋美術や現代美術を学んだ学芸員の知識を遥かに超えているそうで、誰も答えられないとか。
本日から舟越桂デッサン展「深い線を」が東京造形大キャンパス・大学院棟ZOKEIギャラリーにて2005/7/2(土)〜16(土)の日程で開催されます。
また、昨年同様に今年も東京造形大学2005年度オープンキャンパスが2005/7/15(金)〜16(土)の日程で行われます。
MoMA Online Store Japanがオープンを記念してイームズのLCWチェアが当たる会員登録キャンペーンをしている。国内では手に入らないモノもあって興味深いが、書籍はAmazonに比べるとベラボウに高すぎる。アールトの回顧展のカタログでもあるAlvar Aalto: Between Humanism and MaterialismがMoMA Online Store Japanでは9,550円もするがAmazonでは5,626円である。定価50ドルの書籍が9,550円とはレートが1ドル191円もしてることになる。因みにセゾン美術館で行われた巡回展のカタログの日本語版は5000円だが、既に絶版のようである。
吉祥寺・トムズボックスにてたむらしげる「モービー・ディック航海記展」が開かれます。2005年5月1日(日)〜31日(火) 11:00AM〜8:00PM<木曜定休>最終日は午後6時まで
昨年の11月にリニューアルオープンしたMOMAのオープニングを飾った「MUSEUMS BY YOSHIO TANIGUCHI」の巡回展が東京オペラシティアートギャラリーで開催されている。会場は二つの展示室から構成され一つはMOMAの歴史、コンペの経緯、実施設計、建設、完成と各プロセス毎に模型、図面、マテリアル、写真、ムービー等で多角的にプロジェクトを検証している。もう一つの展示室は谷口氏による代表的なミュージアム作品を模型、写真、ビデオによって紹介している。
谷口吉生の建築に見られる適切なスケールによる洗練された気持ちの良いインターフェースは、人と建築との関係性、都市と建築との関係性、自然と建築との関係性を巧みにデザインに取込んだ結果、生み出されたものだろう。谷口吉生の建築は粋である。
一つだけ残念なのはカタログである。判型、図版、写真等については問題ないのだがテキストがとても読みづらい、コラム幅、フォント、行間隔、文字間隔、マージン等々が適切とは思えない。こうした展覧会カタログが読まれることを考えないでブックデザインをしているとしたら問題である。
図録表紙:クリックで拡大
静岡県立美術館で若冲と同時代の絵師たち展を見てきた。その目玉は静岡県立美術館・収蔵品の升目描きによる「樹花鳥獣図屏風」である。印象派より100年前の18世紀の京都にデジタルアート的な表現と奇想を駆使した若冲のような絵師がいたことがちょっと愉快である。
若冲に関する情報を集めたサイトがある。
ハマリごと--伊藤若冲
ロバート・キャパ写真展 キャパ・イン・カラー
2005年2月15日(火)〜20日(日)
東京・日本橋三越本店 新館7階ギャラリー
昨年、マグナムのニューヨークオフィスから見つかったキャパが撮影した大量のカラースライドフィルムによる写真が世界初公開される。来週の火曜日から6日間と会期が短いが、上記サイトにアクセスして所要事項を書き込むと招待券が得られる。個人情報を百貨店のイベント屋に流したくない人は要700円也。尚、展示される写真はインクジェットで出力されたもの、日本HPの協力でMacとPhotoshop、HP Designjet 130が用いられているそうです。(HPのWin-PCではないらしい。)
関連記事:コダクロームが残した色
明日20日は谷口吉生氏設計によるMoMAのオープニングデー、当日限り入場無料だそうです。このサイトに入館案内の日本語PDFがありました。N.Y.は行ってみたい美術館が多いですね。
コンペ最終案
昨日は学外授業で歌舞伎座の歌舞伎鑑賞会「吉例顔見世大歌舞伎」を最低料金の天井桟敷で見学、花道は見えないけれど、俯瞰で見られるので舞台構成や書割の仕組み、演者の所作がよく判り、それなりに楽しめる。
最初の演目「鬼一法眼三略巻・菊畑」は時代考証は滅茶苦茶、12世紀の逸話を江戸時代の風俗で演じる訳だから、如何に歌舞伎が江戸の大衆芸能だったか、良くも悪くもそのいい加減さがよく判る。最後の演目、片岡仁左衛門の「天衣紛上野初花・河内山」で、何気なく床の間に置かれた大名時計が、さりげなく物語の進行の脇役を果たしていたが、こうした演出は昔からなのだろうか。
佐藤喜朗 個展 11月18日(木)〜23日(火)コートギャラリー国立
佐藤喜朗先生は僕の中学一年と二年の学級担任をされた美術の先生です。
確か中学二年の時、美術の授業でノー・アイデアで行き詰まり、ポロックもどきの絵を提出したら「こういうことはしてはいけない」と叱られた記憶があります。
夏休みの明けた二学期、生徒の宿題の展示に加えて、教員の絵も展示していた。僕がある社会科担当の教師が描いた絵の前にいたとき、側を通りがかった佐藤先生が一言いった。「五十嵐、この絵どう思う?」。僕は正直に「下手くそです。」と言った。先生は「そうだよな。」と応えた。その後、先生は道具を貸してあげるから油絵を描いてみないか、と言って下さったが、僕はそれに応えることができなかった。たぶん、そのとき自分の中に油絵を描く動機付けを見つけることができなかったのだと思う。
手帳に描いたメモは1989年8月31日、ヴィツエンチァ郊外のトラットリア「MOLIN VECIO」の夕食に出された「エル セガンティーニ」と名付けられたイタリアン・ドルチェである。中心に解したスポンジケーキを置き、その周りにチョコレート、ナッツ、バニラの三層のアイスクリームを三角に切り、三つ鱗の家紋の様に配し、珈琲豆を砕いたものを散らしてある。
名前の由来は「Giovanni Segantini」アルプスを描いた画家の名から付けられている。その時、画家の名を初めて耳にした。それから15年の間、「Giovanni Segantini」の名を耳にすることはなかった。
それが今年になって、それも最近、二度も美術番組で「Giovanni Segantini」が取り上げられた。NHKの世界美術館紀行と先日のテレビ東京「美の巨人たち」である。
画家の名を耳にしてから15年目にして初めてその作品を見た。アルプスを背景にそこで暮らす生活者を描いた絵画はバルビゾン派を思わせ、光と色彩の表現は印象派を思わせる。
Segantini Museum
ヴィツエンチァ郊外のトラットリア「MOLIN VECIO」
先週の土曜日深夜にテレビ朝日で「イサム・ノグチ」のドキュメンタリー番組が放送された。ナビゲータは「イサム・ノグチ-宿命の越境者」の著者であるドウス昌代。イサム・ノグチの誕生にまつわる逸話から、生い立ち、成長、人間関係、芸術家としての自立と成功、苦悩等を追っている。生誕100周年を記念する番組として内容的には優れているのだが、問題はその放送の時間帯と間に流されるTVCFにあった。放送に魅入り高揚した精神は、途中に入るテレビ朝日のお笑い系番組宣伝で、ズタズタにされ、水を浴びせられすべてが打ち消される。TVCFの枠が売れないから自局の番組宣伝をしているのだろうが、明らかにこの時間まで起きて「イサム・ノグチ」を見ようとする人間とは相容れない内容である。テレビ朝日もテレビ東京も、始まりは教育放送を主体にする放送局として郵政省の認可を得て免許を取得したテレビ局であった筈である。初心は何処に、教育番組うんぬんは差し置いても、せめて優れたドキュメンタリー番組の枠だけは残して欲しいものである。アリバイ作りの御為ごかしの放送なら、いっそのこと無いほうが良い。
「イサム・ノグチ - 宿命の越境者」
ドウス昌代著 講談社文庫(上・下)
定価790円(税込)
「石は地球の骨だ」その言葉は常に自らの帰属する場を求め、漂泊する魂が辿り着いた答えなのか。原作を読みたい気持ちにさせられた。
イサム・ノグチ庭園美術館
アーティストたちのおもちゃ・作家からの贈りもの
女子美アートミュージアムで10月18日まで開催。
地図
アーティストが拵えたおもちゃ、それは父と子が共有した幸せで穏やかなひとときの日常を垣間見るタイムマシンなのかも知れない。
印象に残ったのは香月泰男が作った楽団の大太鼓に書かれたPEACEの文字、シベリアに抑留され地獄を見たであろう香月泰男の子供らに平和を託す想いと、おもちゃを作れる喜びが伝わってくるようである。
今日の午前中、旧軽井沢の脇田美術館内の脇田邸(1970年竣工)の室内(非公開)を見学してきた。脇田美術館は脇田邸を囲むように建てられているが、吉村順三設計による脇田邸は現状のまま保存され、夫人の生活空間としてそのまま使われている。新しく建設された脇田美術館と脇田邸のスケールとプロポーションの対比に学ぶところが多い。室内は吉村順三作品集1944-1978(新建築社)の表紙を飾った竣工当時の姿をそのまま保持している。
最近、よく見るblogがある。Roomと云うギャラリー(イベントスペース?)が主宰するblogで現在4人の書き手がいる。パリ在住の日本人が運営しているらしいRoomはパリ、モンパルナス南の国際大学都市から環状高速道路を隔て南のジャンティ地区にある。国際大学都市と聞くとコルビュジエのスイス学生会館とブラジル学生会館があるはずだと思い浮かべるのは職能上の性というより、年齢がばれるだろう。
Home Room
こうしたblogが沢山できるといいな。日本にいながらモンパルナスを散歩している気分になれたり、リアルタイムでアートシーンやミュージックシーンで何が行われているのか分かって面白い。
hosoki blog
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今朝のNHK教育テレビ、新日曜美術館・アートシーンで宇都宮美術館の「リートフェルト展」が紹介されてます。番組で紹介されたのはレッドアンドブルー、ジグザグ、ベルリンの三つのイスだけですが、最後の会場全体を写した画面の中央奥に例の「リートフェルトの平行定規」がちらっと見えます。
今朝の新日曜美術館を見逃した人は本日(4/18)午後8時からの再放送をどうぞ、番組内コーナーのアートシーンは8時45分過ぎからです。ちなみに本日の特集は「国吉康雄・アメリカを生きる」でした。この本編の特集も見応えのある内容です。
と云うことで、昨日(4月13日)宇都宮美術館まで「リートフェルトの平行定規」を取材に行ってきました。宇都宮美術館は市の北部「うつのみや文化の森」に設計が岡田新一設計事務所で1966年に竣工、翌年1997年3月にオープンした未だ新しい美術館です。宇都宮の美術館というと1970年代初頭の川崎清・設計の栃木県立美術館と勘違いしてしまいそうですが、どちらも或る意味、その時代の精神を反映している建物のような気もします。
地域の美術館としての宇都宮美術館を特徴づけるテーマの一つに「生活と美術」があり、デザインや建築にフォーカスした企画の一環として今回の「リートフェルト展」を開催、より多くの人にデザインを身近に親しめるように「職人であり続けた、、、、」の名コピーが生まれたようです。
宇都宮美術館"Utsunomiya Museum of Art"を省略すると"U-MOA"ユーモアと読めます。これからも、人間性に溢れた楽しい企画が展開されることでしょう。
今回、「リートフェルト展」を企画された宇都宮美術館・学芸員橋本優子さんのコメントです。
「リートフェルト展」は大幅なバージョン・アップをして、宇都宮美術館で始まりました。府中では全く実現できなかったインスタレーション「シュロイダー邸インテリアの部分再現」、スライド・ショー「シュロイダー邸=ベルリン・チェア」のほか、研究目的で再制作した子供用家具なども特別出品します。展示面積は格段に広く、内容や展示デザインも充実。関連事業も盛り沢山ですので、ご期待ください。詳しくは、宇都宮美術館HPでどうぞ。会期は3月28日〜5月23日です
昨日、府中市美術館まで行って見てきました。三部構成の第一部:職人としてのリートフェルトの比重が大きく、第三部の建築家としてのリートフェルトはシュロイダー邸だけというのは些か期待外れだったが、逆にシュロイダー邸だけにフォーカスしたのが印象が散漫にならずに済んでいるのかも知れない。
今回のリートフェルト展はユトレヒト中央美術館提供の所蔵品をメインにしているので、出展されている作品は彼の全作品ではない。1997年12月から翌年2月までセゾン美術館で開催された「デ・ステイル展」にはユトレヒト中央美術館の他、アムステルダム市立美術館、オランダ建築美術館のリートフェルト・コレクションも展示されていた。今回のリートフェルト展で残念なのはアムステルダム市立美術館所蔵の子供のための手押し車やカートがなかったことである。
もう一つ、気になったのがカタログのデザインです。デ・ステイルの三原色をテーマカラーにするのは良いのですが、それを地色にまでして、その上にテキストを細かい文字でプリントしてある。これではテキストと地との明暗・コントラストが低くて、とても読めたものではなく、ユニバーサルデザインを考えていないと言われても仕方ない。このカタログは誰に何を伝えるのか、基本的なことが欠落しているのが惜しまれる。府中市美術館のホームページには「来館者がくつろげ、またお年寄りや障害者にやさしい設計です。」と書いてある。そうした配慮は建物だけでなく印刷物にも気を配らなければいけない。比較するのも失礼かも知れないが「デ・ステイル展」のカタログはセゾン美術館と東京新聞との共同で作られ、資料的価値の高いものとなっていた。デザイナーの意識改革を望むものである。
数年前に友達がMoMAで買ってきてくれたイームズの【HOUSE OF CARDS】。
最近ではAssist Onでも取り扱っているようです。私の持っている【THE ORIGINAL HOUSE OF CARDS】はAssist Onの取り扱い品と異なり、トランプサイズで枚数が54枚+2枚である。写真の多くはイームズ夫妻の愛しきガラクタ?・コレクションであったりする。僕の好きなカードは時計の短針と長針を集めたカード、こうしたものが宝物だった時代があった。
右下のセルフビルド必須アイテムもこんな風に写真になるとアートですね。
「かさなるてわざ・アニメーションの世界展」が杉並区との共催で女子美術大学のガレリアニケで1月13日から2月1日まで開催されています。場所は杉並キャンパス、こちらの地図を参照してください。
会場には日本の代表的なアニメスタジオよる映画やテレビ放映されたアニメーションのセル画が展示されています。
僕はCADの授業でレイヤーの概念を学生に説明する時に、アニメーションのセル画を例えにしますが、正に教材にしたい展示作品です。
Schroder House QuickTime movie 192kb(VectorWorksで作成)
リートフェルト展 が東京の府中市美術館で明日(1/17)から3/21まで開催されます。会期期間中のワークショップでレッドアンドブルーチェアーの組立などが行われるようです。
先日の日曜日に録画しておいた新日曜美術館を早送りで再生していたらアートシーンで三鷹の森ジブリ美術館で開催中のロシアのアニメーション作家「ユーリー・ノルシュテイン展」を紹介していた。会場には「霧につつまれたハリネズミ」の絵コンテや原画、ノルシュテイン・アニメーションの秘密を解く切り絵によるキャラクター、点景、背景とマルチプレイン・カメラの撮影方法等が展示されているようだ。「空間が機能していない映画は面白くありません。」「登場人物はそれに相応しい空間を得て、本当の命を宿すのです。」とノルシュテインは語っていた。
レーザーディスクの話の話を見たくなった。もう既にレーザーディスク・プレイヤーはレガシーな映像再生装置になってしまっている。今でも再生できるか不安であったが「話の話」を取り出してレーザーディスク・プレイヤーで再生した。何の問題も無く「話の話」を再生し始めたが最後の方になって針飛び現象を起こしてしまった。レーザーディスクもプレイヤーも1980年代半ばの製品だから17〜8年位は経っている。今更、ハードウェアを買い替える気にもなれない。これも、捨てるに捨てられないモノの仲間入りをするのだろうか。
久しぶりに「話の話」を見て、ノルシュテイン作品には通奏低音のように孤独感が静かに鳴り響き、夢や追憶がその空間の中を漂白しているように思えた。
Amazon.co.jp: で「ユーリー・ノルシュテイン」のDVDがあるか調べてみたら。「ユーリ・ノルシュテイン作品集」が見つかった。LD版「話の話」はタイトルの「話の話」と「ケルジェネツの戦い」「霧につつまれたハリネズミ」「あおさぎと鶴」の4作品だけだが、DVDの「ユーリ・ノルシュテイン作品集」はその4作品に「25日・最初の日」「狐と兎」「Seasons」「My Green Crocodile」を加えた8作品が収録されているようだ。価格は5800円、ん〜「ショッピングカートに入れる」ボタンをクリックするか考え中。
ジブリ美術館の「ユーリー・ノルシュテイン展」は来年の5月5日までだが、入場券が予約制なので、時間がとれて気が向いたときに見に行くと云う訳にはいかないのである。
MAD Pressのアーカイブを公開しなさいという秋山さんのリクエストなので、最初は本人のエッセーを紹介しようと思う。1991年茨城県常陸太田市をメイン会場に開催されたクリストのアンブレラ展を見に行った時の話。
MAD Press 3 (1991/10/31)の表紙と長老のお話(Macとクリストとお魚)
Macとクリストとお魚 秋山東一10月21日、新しいMac達が発表された。黒いポータブルのMac、おどろおどろしいクアドラとかいうMac、もう40の時代なのか。そんな話を22日の夜、吉松、五十嵐、の両氏とビールを飲みながら話していた。その日は次の日23日、クリストのアンブレラを見に行く為の打ち合わせをしていたのだった。
23日午前9時、常磐高速道を北上している。晴天。フォルクスワーゲンのリアエンジンは快調な音を立てて回っている。140Km、やや小さめの前輪だから割引いて考えなければいけない。1600ccのエンジンは余裕をもってミシュランを駆動、路面にピッタリはりついているような走りを見せる。快適とはいいかねる運転席、僕、五十嵐、後席に吉松、仕事に疲れている吉松氏は長々と眠っている。久しぶりの解放感、前方の長い線、とびさる風景、僕の休日、クリストのアンブレラに向かって僕のVWは疾走する。
Macって「道具だ」っていった古山氏の論旨に僕はとても賛成。僕はもっと言ってしまう。Macは「玩具だ。」あるいは「玩具だった。」このVW が玩具であるように。
Macって玩具だった。僕等の仕事が遊びである。あるいは、遊びであったように。あるいは、そんな時代であったように。
そんな幸せな時代を生きてきた。吉松も僕も、パーソナルコンピュータの時代を、もしかすると自分自身で作り出していたという風にも考えているのかも知れない。1979年、今から12年前、パソコンなんて言葉もなく、マイコンなんていっていた。
その年、AppleIIを買った。6502CPU, 32Kのメモリー、ひどく美しい機械。何をしようか、何ができるかなんて考えていなかった。その機械の中に全てがあるような気がしていた。6K BASIC, 10K BASIC, ミニアッセンブラ、何をすることもなく、メモリマップをいじって、ドットを点滅させるだけでも面白かった。すごく幸せな「玩具」の時代。まだ、ディスクドライブはなかったしテープレコーダ300BAU、ハードディスクなんて夢の中。常陸太田、西山荘の御文庫なる建物をみる。知る人ぞ知る、ちょいとモダーンな建物。僕等はアンブレラに向かって走る。国道349号線を北上、19kmにわたって1340本の青い八角形のアンブレラ、直径8,66m、高さ6m。
緑の田園風景の中に、点在するカサ、カサ。山の上に、川の中に、田圃に、農家の庭先に、アンブレラは連なる。
日常的な風景の中に、ある物を付加することにより非日常的な・・・・・・なんていうのかしら。橋の上で、オッサンが叫ぶ、「オーッ、キレイダ。」
アメリカでは同時に黄色いアンブレラ、29km、1760本、たったの21日間、費用34億円あまり、それが全てクリストの負担。
終わった後には、あとかたもなく消えてしまう。128K のMacがでた時、また新しい「玩具」として僕は手に入れた。デスクトップのグラフィカルなインターフェースに夢中になった。何かやるごとに時計がでてたけど、それも面白くてしかたなかった。マックペイント、マックライトしかないけれど、まだまだ幸せだった。・・・オタク、ファン、ユーザーの時代へと世の中変わってゆく。「玩具」「道具」「武器」へと変わってきたのかしら。
アンブレラから海へ、五浦で岡倉天心の六角堂、アジアは一つなり・・・。平潟漁港で魚を食べる。ビールを飲む。やっと三人で宴会だ。ずいぶん北まできてしまった。
帰りに国道沿いの大きな市場みたいな魚屋をのぞく。さんま10匹、500円、大きなアジ5匹、500円を買う。五十嵐氏はイカを買っていった、再び高速、すっかり日が暮れてしまった。もう、早く帰ろう。帰って叉、三人で反省会と称してビールを飲むんだ。後記
1) 28日、アンブレラは全て終わってしまった。アメリカでの事故によって日本のアンブレラも予定より早く終わった。23日、僕等は最終の天気のよい最高のアンブレラを体験したことになる。
2) あのアジを刺身にした五十嵐氏はとてもうまかったといっていた。僕が塩焼きで食した結果は油ののり少なくあまりうまくなかった。サンマはうまかった。近所の魚屋の1/3のコストだということもわかった。
3) アンブレラの最後の里美村のインフォメーションの女の子が、すっごい美形であったそうだ。我々の唯一よらなかったインフォメーションであった。ひどく残念である。かえすがえすも残念である。我等の休日の画竜点睛をかく事になってしまった。
4) 次の日、すっごく疲れた自分を発見した。オジサンは450kmもゴーカートを運転してはいけない。
5) 吉松氏はますますMacからはなれていくようだ。彼にとってのMacはもうもどらない。そのうえ、イジワルオジサンしているという話だ。クリストしか見なかった若人に、魚を食わなかったことについてイジメているというわけだ。
6)最近、会う人ごとに、クリスト以後の僕って、以前の僕じゃないんだといっている。とにかく、僕は変わってしまった。
パンフレットとアンブレラの素材