September 18, 2007

かもめ食堂

9月16日東京新聞日曜版「名作を食べる」は群ようこ原作・映画「かもめ食堂」のロケ地に選ばれたヘルシンキはカハヴィラ・スオミ(カフェ・フィンランド)の『コーヒーとシナモンロール』だ。その記事によると、なんでもフィンランドは国民一人当りのコーヒー消費量は世界一だそうだ。私もコーヒーの消費量なら負けてない、それにシナモンロールだって好きだ。

ところで、昨晩と言っても時計が12時を回った本日の深夜だがメールに返事して母屋に戻り、新聞を見ると1時47分から映画「かもめ食堂」が放送されるではないか、睡魔に襲われ途中で寝入ってしまうような不測の事態を考慮しビデオ録画もしておいた。
映画「かもめ食堂」は昨年の暮れ玉井さんがおにぎりとおむすびのタイトルでエントリーして、それがわがやのお雑煮大会へと発展していった切っ掛けとなった映画だったので是非観たいと思っていた。

不思議な魅力のある映画だ。かもめ食堂の女主人・サチエの日常を緩やかに淡々と時の流れに逆らわず生きてゆく姿は観ていて気持ちが良い。

サチエは生に対して肯定的だ。
『ねぇ、ミドリさん、もし、明日、世界が終っちゃうとしたら最後に何をしたいですか。』
『そうですね、何か、すごーく、美味しいものが食べたいですね。』
『やっぱり、私もこの世の終わりの時には、ぜったい美味しいものが食べたいんですよね。』

サチエはブレない。
かと言って、頑固という訳でもない。
人の意見を聞き、それを試したりもするが、情に棹さして流されない。

サチエは何時までもクヨクヨと考えたりしない。
かもめ食堂に空き巣が入った。
捕まえてみたら、サチエに旨いコーヒーの入れ方を教えた男。
かもめ食堂の前に、ここで店を開いていた主人だ。
その店に置き忘れたものを無断で合い鍵を使って持ち出そうとした。
どうしたら良いものや、思案に暮れる一同を前に『お腹空いた。』と立ち上がるサチエ。
空き巣も混ぜて一同「おにぎり」を頬張り、一件落着。

サチエは関西人ではない。
当然、自分でボケたり、相方にツッコムこともしない。
ましてやイチビリではない。

サチエは他人のことを一々詮索しない。
不審に見える人が、外から店内を見つめていても、軽く会釈して微笑むだけ。
表に出て、理由を尋ねたり、追い払うことはしない。

サチエは冷たい人ではない。
デブ猫の「ななお」が死んだ時より、大好きなお母さんが亡くなった時の涙の方が少なかった。
オフタイムをプールで泳ぐサチエ、
泳いでいるとき、サチエはお母さんと一体化しているのだろう。

映画はワンシーンのカット数も少ない、カメラのパンもズームも必要最小限だ。
15秒のコマーシャルに1秒以下のカットを詰め込むだけ詰め込むコマーシャルフイルムとは対極にある映像だ。CGを多用する添加物だらけのハリウッド映画とも対極にある。

そんな「かもめ食堂」は無添加の映画である。

Posted by S.Igarashi at September 18, 2007 02:12 PM
コメント

玉井さん、どうもです。
三年前に書いた事が、時空を超えてこのエントリーにも繋がってますね。
改めて『ブログの力』を実感しました。

「カフェ杏奴」にはシナモンロールはあるのかな。

Posted by: iGa at September 20, 2007 11:03 AM

昨夜はアドバイスありがとうございました。
この映画に出てくる人たちはだれもが個性的で、それを魅力的にさせているのは、サチエの懐の深さですね。こだわりなくひとを受け容れながら、彼女自身のこうしたありかたと接し方、それにかもめ食堂という場所の力によって、いつの間にか人を変えていってしまう。
こう書いていたら、3年前に僕のblogにエントリーして五十嵐さんが丁寧なコメントを書いてくださった「カフェ杏奴」のことを思い出しました。
http://myplace.mond.jp/myplace/archives/000055.html

Posted by: 玉井一匡 at September 20, 2007 05:14 AM

fuRuさん、どうも。
僕は放送される20分前に気付き、かろうじてセーフでした。
シベリウスですか、アールトのフィンランディア・ホールで聴いたら格別でしょうね。

Posted by: iGa at September 19, 2007 04:23 PM

光代 さん、こんにちわ。コメント有り難うございます。

映画の最後の場面もサチエという人の性格がよく描写されていて良いエンディングになってましたね。

悟っていると言うか・・・考えても自分の力の及ばない領域のことは考えない、て事でしょうね。そこでジタバタしないで、自分の出来る範囲のことでひたむきに生きてるんでしょうね。

まぁ、私もジタバタとしてますけどね。(^_^;)

原作者・群ようこのエッセーは70年代後半の創刊当時の「本の雑誌」で事務員(社員一名)をしていた頃のコラムから読んだ事がありますが、小説は読んだことがなかったので、ちょっと小説も読んでみたくなりました。


Posted by: iGa at September 19, 2007 04:15 PM

なんと、見逃してしまいました。うーん、残念。
ちなみに、北欧つながりで明日はシベリウスの50回忌です。

Posted by: fuRu at September 19, 2007 03:58 PM

「かもめ食堂」はとても好きな映画なので 思わずコメントしたくなりました。
こんにちは!


サチエという人は 人の有るがままを受け入れる人ですね。
現実を起こるがままに受け止める人です。
ある意味 悟っていると言うか・・・・。

まったくお客様が来ない日々が続いても
ただただ 黙ってお食事を用意し テーブルを拭いています。
まっすぐ外を見ながら お皿を拭く姿に
彼女の心に去来するものを思いました。

騒がしくしか生きられない私には 出来ない芸当です。
語らないことが雄弁で力強くあることを思うのですが・・・・・。
こうして コメントも残してしまいます!!

Posted by: 光代 at September 19, 2007 03:08 PM