東京人7月号は丁度半世紀前の1964年に創刊された「月刊漫画・ガロ」と、その3年後に創刊された「月刊コミックマガジンCOM」の特集である。僕が未だ中学生の頃だったと思う、忍者武芸帳の白土三平が新しい雑誌に漫画を連載し始めたと云う話を耳にした。「月刊漫画・ガロ」にカムイ伝が創刊された年の12月号から連載された訳だから、多分、1964年12月から1965年3月の間だと思う、高尾に一軒だけあった本屋の小沢書店に兄と共に行ったのは。小沢書店の小父さんは「月刊漫画・ガロ」なんて雑誌があることを知らなかったので、店頭に置いてある筈もなく、月極めで注文し、毎月配達してくれることになった。「月刊コミックマガジンCOM」は誰かが買っていたので手塚治虫の火の鳥だけを見ていたが、雑誌としての記憶は希薄である。それに較べると「ガロ」の最初の10年間の中身は濃かった。毎号、問題作に溢れていた。まぁ、なんと云っても本号で川本三郎がインタビューしている「つげ義春」は「ガロ」に寄稿したのが僅か5年だけだが、作品は単行本や文庫本となり未だに売れ続けているし、本の体裁が変わったりすると、つい買ってしまうのである。
因みに特集記事とは離れるが、本号124頁には槇文彦氏による『これからの東京。その中で「新国立競技場」を考える』が八頁に亘って掲載されている。