April 05, 2004

リートフェルトの平行定規・3Dモデル

「リートフェルトの平行定規」の3Dモデル(VectorWorks10.5による。)
4月5日付けのエントリーの未完成3Dモデルにワイヤとバランサー等を加え、テクスチャーマッピングを施してレンダリングしてあります。
尚、目測によるスケッチから起こしたものなので寸法等には、当然ながら誤差があります。

3Dをクリックすると拡大します。
今回の「リートフェルト展」を企画・コーディネイトした宇都宮美術館の学芸員・橋本優子さんから、とても貴重でレアな情報を戴きました。aki's STOKTAKING:リートフェルトの平行定規に寄せられたコメントの転載です。

五十嵐さんの素晴らしいスケッチには敬服の至りです。また、秋山さん、玉井さんの説明も、とても貴重で勉強になりました。ちなみにあの製図板は、リートフェルト自身が作ったものであることが、今日になってオランダの美術館の方の追跡調査で判明! しかも若い頃の製作で、シュロイダー邸の設計にまさしくこの製図板を使ったそうです。リートフェルトが家具工房を開いたのが1917年、「赤と青の椅子」の原型を作ったのが1918年、そして初めて設計事務所を設立したのは、シュロイダー邸が竣工した翌年(1925年)ですから、おそらくこの間の製作に違いありません。ちなみにこれを美術館に寄贈された方は、シュロイダー夫人の次女・ハネッケ(1950年代にはリートフェルト設計事務所の所員として活躍を始める)の友人ということですので、やはり設計に携わる人だったのでしょう。これ以外にも、リートフェルトは道具類を自分で作ることが多かったようです。修業時代は、金属工芸やジュエリーも手がけていましたので、実は木工以外のワザにも長けています。

これは「職人であり続けたリートフェルト」を証明する新発見です。
私の拙いスケッチはリートフェルトの平行定規のエントリーにあります。
尚、宇都宮美術館・橋本優子さんの御助力によりユトレヒト中央美術館の許可を戴き、この「リートフェルトの平行定規」の実測をさせていただくことが可能になりました。近々、宇都宮美術館まで取材に行く予定を組んでいます。

※橋本さんがユトレヒトの学芸員から得た新たな情報を追加しました。

ハネッケ・シュロイダー(シュロイダー夫人の次女)が、リートフェルト設計事務所の所 員となったことは、先に書いた通りですが、この製図板をリートフェルトから譲り受けたハネッケは、その後、女流建築家として独立しました。その際に、この製図板を自身のアトリエで使ったそうです。また、一緒にアトリエを開いたハネッケの友人が、さらに製図板を大切に使い続け、1999年にユトレヒト市立中央美術館に寄贈しています。
やはり、この製図板と平行定規は永い間大切に使われてきたからこそ道具自身から語りかけてくる何かがありますね。

因みに海外の平行定規にはどんなモノがあるのかGoogle検索してみました。
キーワードは「Parallel-motion ruler」です。
Parallel Ruler 光栄堂の平行定規に近いタイプ。
Parallel Motion Drawing/Design Board  一般的な平行定規
Peter Parallel Motion上部の駆動部分が同軸で回転するタイプ
Peter Wraight 3Dデザイナーのサイト、この平行定規が最も似ている。
Drawing Board 大型平行定規のショッピングサイト
大型の平行定規には「リートフェルトの平行定規」に似ているものがありましたが、上部の駆動部分は左右共同軸の回転ドラム式になっていて、「リートフェルトの平行定規」のようにワイヤーを上部でたすき掛けにする例は見つかりませんでした。

Posted by S.Igarashi at April 5, 2004 11:09 AM | トラックバック
コメント

リートフェルトの平行定規・2D図面の第一段階として製図台の図面をアップしました

Posted by: S.Igarashi at June 6, 2004 05:15 PM

igarashi 樣
御返答ありがとうございます。
拝見させて頂きました。
次回西洋美術館での展示会に使おうと思っています。この図を参考にスケール、ディテール等、ある程度簡略した形で作成しようと思っていますのでご了承下さい。
本当に助かりましたし、スケッチから実測まで非常に楽しく拝見させて頂きました。
ありがとうございました。
また、2D図面の掲載も期待しております。

Posted by: 宮川 at June 3, 2004 11:51 AM

宮川様 コメント有り難うございます。
ただいま2D図面を掲載すべく準備中ですので、今暫くご猶予下さい。
尚、メインページに戻り、カテゴリーから【G.T.Rietveld】を選択していただけると、このリートフェルトの平行定規+製図板についての実測調査に至る経緯が分かると思います。その中に、製図台や製図板だけ描いた図がありますので参照してください。
製図台と製図板は回転軸となるボルトで固定されています。製図板の傾きは両サイドの木製のステーで調整するようになっています。

Posted by: S.Igarashi at June 3, 2004 09:32 AM

突然の書き込みすいません。
今度、展示会で木製の製図機を再現しようという事になりまして、色々探していましたら偶然ここのサイトに行き着いたのですが、製図機の天板の可動というのは実際どうなっているのですか?三角形でしたら当然動かないと思うのですが、見る限り天板と脚を繋げている材の脚と結合している部分は可動する様なのですが、天板と結合している部分というのは横方向にスライドする様になっているのですか?私自身木製の製図機を見た事がなく知識不足なので、教えて頂く事はできませんでしょうか?

Posted by: 宮川 at June 2, 2004 11:09 PM

製図板上の図面はよく見えないかも知れませんがオリジナルのレッドアンドブルーチェアーの図面のコピーをテクスチャーマッピングさせています。この道具があって、あの名作が生まれたと云うことですね。

Posted by: S.Igarashi at April 9, 2004 10:35 PM

ワイヤーはNURBS曲線で表現していますが、これが問題でグループ化したら回転軸はZ軸方向だけというアラートがでて、水平面に置いて作成していた製図板を傾けることが出来ず、仕方なく台の方を傾けて誤魔化しています。実測データで作成するときは予め3D作業平面をどうするか作戦を変更しなければいけません。

Posted by: S.Igarashi at April 9, 2004 10:28 PM

五十嵐さんこんなの載せていたの、ついさっきまで知りませんでした。寡聞にしてというやつですね。
うーん、やはりかっこいい。リートフェルトの製図板もかっこいい、しかし、五十嵐さんの3Dもかっこいい。巻き尺を出しただけで文句言ったやつに、どうだ!といって見せたいですね。なんていっては、宇都宮美術館の橋本さんに失礼か。
胸のつかえがとれてスッとしたという秋山さんの気分はよく分かります。

Posted by: 玉井一匡 at April 9, 2004 10:11 PM

やぁ、美しいですね。
早くワイァもつけてくださいまし。

実測できるのは、楽しみですね。

Posted by: 秋山東一 at April 5, 2004 12:50 PM