March 12, 2004

リートフェルト展・2


昨日、府中市美術館まで行って見てきました。三部構成の第一部:職人としてのリートフェルトの比重が大きく、第三部の建築家としてのリートフェルトはシュロイダー邸だけというのは些か期待外れだったが、逆にシュロイダー邸だけにフォーカスしたのが印象が散漫にならずに済んでいるのかも知れない。
今回のリートフェルト展はユトレヒト中央美術館提供の所蔵品をメインにしているので、出展されている作品は彼の全作品ではない。1997年12月から翌年2月までセゾン美術館で開催された「デ・ステイル展」にはユトレヒト中央美術館の他、アムステルダム市立美術館、オランダ建築美術館のリートフェルト・コレクションも展示されていた。今回のリートフェルト展で残念なのはアムステルダム市立美術館所蔵の子供のための手押し車やカートがなかったことである。
もう一つ、気になったのがカタログのデザインです。デ・ステイルの三原色をテーマカラーにするのは良いのですが、それを地色にまでして、その上にテキストを細かい文字でプリントしてある。これではテキストと地との明暗・コントラストが低くて、とても読めたものではなく、ユニバーサルデザインを考えていないと言われても仕方ない。このカタログは誰に何を伝えるのか、基本的なことが欠落しているのが惜しまれる。府中市美術館のホームページには「来館者がくつろげ、またお年寄りや障害者にやさしい設計です。」と書いてある。そうした配慮は建物だけでなく印刷物にも気を配らなければいけない。比較するのも失礼かも知れないが「デ・ステイル展」のカタログはセゾン美術館と東京新聞との共同で作られ、資料的価値の高いものとなっていた。デザイナーの意識改革を望むものである。

Posted by S.Igarashi at March 12, 2004 02:20 PM | トラックバック
コメント

五十嵐様
こちらこそ、御丁寧なお返事ありがとうございました。
展覧会の御案内状をお送りしたいと存じますので、宜しければ御連絡先を直メール頂けますか?
それから、「リートフェルトの製図板」についての皆様のレス、とても勉強になりました。こちらに関しては、オランダからレアな情報が入りましたので、製図板の投稿記事の方へ書き込み致します。

Posted by: Yuko Hashimoto at April 2, 2004 11:13 PM

橋本様
「リートフェルト展」の企画・コーディネイトを為さったキュレイター御本人からの貴重な情報提供、有り難うございます。
「シュロイダー邸インテリアの部分再現」は興味深いものがあります。開催期間中に一度は尋ねたいと思います。

Posted by: S.Igarashi at April 1, 2004 10:15 AM

「リートフェルト展」は大幅なバージョン・アップをして、宇都宮美術館で始まりました。府中では全く実現できなかったインスタレーション「シュロイダー邸インテリアの部分再現」、スライド・ショー「シュロイダー邸=ベルリン・チェア」のほか、研究目的で再制作した子供用家具なども特別出品します。展示面積は格段に広く、内容や展示デザインも充実。関連事業も盛り沢山ですので、ご期待ください。詳しくは、宇都宮美術館HPでどうぞ。
http://u-moa.jp/
会期は3月28日〜5月23日です。

Posted by: Yuko Hashimoto at March 31, 2004 11:44 PM