December 21, 2013

川瀬巴水展

千葉県内には数え切れない程、行くことがあったが、以外と千葉市内に用があって千葉駅に降りるのは生れて初めてではなかろうか、2011年の橋口五葉展も行きそびれてしまったので、年内に行かないと再び行きそびれてしまうと、17日に市ケ谷まで出掛けたついでに総武線で千葉まで足を延ばし、千葉市美術館で開催中の生誕130年 川瀬巴水展 ―郷愁の日本風景を見てきた。武蔵國の西の外れから江戸湾の向こう岸は遠かったが「284点」と云う展示作品の充実には感服…写生帖、版木、試刷り、木版、水彩と川瀬巴水の全貌に触れることができる。写生帖の遠近法に基づく緻密な描写はパノラマ的だが、その写生から版画にする構図を抜き取ると、極めて写真的な構成となる。近景、中景、遠景のレイヤに添景をモンタージュする様は、正に映像的編集、おまけに日中に描いた写生(映像)を巴水ブルーを駆使した夜景に転用する処はフィルターを駆使するシネマのように思える。久々に行って良かったと思えた展覧会でした。同時に所蔵作品展として「渡邊版-新版画の精華」も開催中、橋口五葉の「浴場の女」は…壇蜜…のような…
と云うことで橋口五葉展の図録と併せてゲット。

千葉市美術館の展覧会終了後、以下の会場を巡回するが【山口展】を除いて高島屋とデパートが会場となる都合からか会期が1〜2週間と短かく、行きそびれに要注意。
【大阪展】
2014/2/26〜3/10 大阪高島屋
【横浜展】
2014/3/19〜3/31 横浜高島屋
【山口展】
2014/4/26〜6/8 山口県立萩美術館・浦上記念館
【京都展】
2014/9/25〜10/6 京都高島屋
【東京展】
2015/1/2〜1/12 日本橋高島屋

他に大田区立郷土博物館で特別展(無料)を開催中(〜2014/3/2まで)但し展示室の都合から3回に分けて展示替えされる。(既に前期は終了、展示替え期間に要注意)
大田区立郷土博物館特別展「川瀬巴水―生誕130年記念―」

Posted by S.Igarashi at December 21, 2013 11:00 AM
コメント

芸は師匠の所作を見て盗むもの…見当をつける勘を養う…てことね。

Posted by: iGa at December 24, 2013 09:36 AM

もうひとつ欧米先進国の連中が学んでないのは、日本におけるスタジオシステムではなかろうか。

版元・絵師・彫師・摺師と言った職人組織が結局彼等には理解出来ないのだと思われる。広重・北斎をして浮世絵を成らさしめたシステムは「てやんでい、べらぼう」連だろう。ところが15世紀のフィレンツェに於けるボッテガ以来、ディズニーに至るまで、彼等のスタジオシステムは「神と僕」であって、徒弟が名を成すには自分が神に成らねばならない。徒弟は奴隷に近いもので「てやんでい、べらぼうめ」とは違うのではなかろうか。一神教と違い日本には「絵師の神様」が居れば「彫師の神様」も「摺師の神様」もいて、分業なのだ。

巴水の無形文化財記録のヴィデオを見たことがある。彫師と摺師が懇切丁寧に仕事の紹介をしているのだが、先日のNHKのテレビ同様「御素人衆にこんな説明をした所で、肝腎な所は解りはしめい。」という感じが面白かった。

Posted by: 古山惠一郎 at December 22, 2013 12:59 AM

「試刷り」のバリエーションがPhotoshopを駆使している様で凄いですね。巴水はレイヤの扱いを自家薬籠中の物としてます。

Posted by: iGa at December 21, 2013 01:45 PM

印象派はともかく、19世紀までの欧米人が驚嘆したのは、日本の木版画の多色刷ではないでしょうか。巴水にも「別色」「別版」が様々ありますね。米国ではMaxfield Parrishなど「別色」の研究をしています。

小生はPhotoshopをApertureに移したいのですが、レイヤの扱いが解りません、というかこれから覚えるのが面倒なので、アドオンを探してない。

Posted by: 古山惠一郎 at December 21, 2013 01:30 PM