グアバの香り――ガルシア=マルケスとの対話
今年四月に亡くなったガブリエル・ホセ・ガルシア=マルケス(Gabriel José García Márquez)の対話集である。本書(原書)が刊行されたのが1982年、翻訳版の刊行は昨年(2013)と実に31年もの開きがある。中南米文学が国内で話題になったのは1970年代後半からだろうか…「百年の孤独」の新潮社版が刊行されたのが1972年の様だから、そんなものだろう。「一章 生い立ち」と「二章 家族」を読むと、両親から離れ母方の祖父母の許で育てられた環境が小説の原点となっている様だ。著者名ではG・ガルシア=マルケスと要約されている名前もフルネームは「ガブリエル・ホセ・ガルシア=マルケス」であり、「父:ガブリエル・エリヒオ・ガルシア」と「母:ルイサ・マルケス」の双方のファミリーネームから付けられていることが分った。更に母方の「祖父:ニコラス・リカルド=マルケス=メヒーア大佐」なんて名前を見ると、そのままマコンドにタイムトリップしそうである。漢字文化の日本では漢字を組み合せ名前を創作できるが、スペイン系でカソリックの彼の地では姓名の選択は限られている。「百年の孤独」を初めて読んだ時、同じ名を繰り返し使われる登場人物達に戸惑ったが、彼の地ではそれが当たり前で、更にガルシア=マルケスが育ったラテンアメリカの家ではこんなことも日常の事のようだ。…と云うことで、もう一度読み返してみようかなと思う今日この頃である...。
目次
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一章 生い立ち
二章 家族
三章 仕事
四章 自己形成
五章 読書と影響
六章 作品
七章 待機
八章 『百年の孤独』
九章 『族長の秋』
十章 現在
十一章 政治
十二章 女性
十三章 迷信、こだわり、嗜好
十四章 名声と著名人
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