November 02, 2003

「ドーダ!」と「ヘェー!」

赤瀬川原平と東海林さだおの対談集「ボケかた上手」の第7話に、ゲストに黒金ヒロシを迎えた【人は「ドーダ」で生きている】と云う鼎談がある。

写真は「ボケかた上手」の表紙カバー(書籍本体の表紙は東海林さだおによる厄介棒?の漫画となってます。)
新潮社 定価:本体1300円 ISBN4-10-452302-X

東海林さだおの提唱するドーダ学とは人々が自慢するときの態度を分類・考察する学問?らしい。すると、男の場合は「ドーダ」で構わないが、女の場合は「ドーヨ」になるのか。オヤジは蘊蓄で「ドーダ」、勝ち組で「ドーダ」、オバハンはブランドで「ドーヨ」、セレブで「ドーヨ」、小僧はラップで「ドーダ」、タトゥで「ドーダ」、小娘はミニスカで「ドーヨ」、中田は雪駄で「ドーダ」、キラーパスで「ドーダ」、と実に小煩い。東海林さだお曰く「人間の会話の八割がドーダなんです。」と、男も女も「ドーダ」と「グチ」と「ウワサ」がなければ口数も減って世の中静かに平穏になるんだろうが、そうはならないのが此の世の常、インターネット・サイトには「ドーダ系」が溢れている。八割どころか九割九分が「ドーダ系」と云っても差し支えないかも知れない。従って、このBLOGも「ドーダ系」になるだろう。その主宰者である私のこうした発言は天に向かって唾を吐くようなもので「ドーダ」の誹りを免れない。
ビデオリサーチによれば深夜からゴールデンアワーに進出したフジテレビ系「トリビア(trivia)の泉」が20%以上の視聴率でその他の娯楽番組の一位だそうだ。視聴者からの投稿による無駄知識(番組ではこれをトリビアと定義)に対して五人のメンバーが点数(単位:ヘェー)を与え、ヘェーの感心度の高い無駄知識が高得点となる仕組みだが、まぁ、消費生活等経済活動の枠組みに囲い込まれていない知識はすべて役に立たない無駄でつまらないものである、という前提と云うか思い上がり(ドーダ)によって成り立っている番組である。

近ごろ流行の建築系というか住宅系番組は100%「ドーダ」である。司会進行役のタレントも「へぇー」と感心してるだけでなく半可通の知識をひけらかし「ドーダ」とくる。「ビフォーアフター」に至ってはヴァラエティ班のタレントを並べ「ヘェー」を連発するために仕込んでる。
空間の魔術師で「ドーダ」、すかさず所が「ヘェー」、その他大勢が「ヘェー」「ヘェー」。プロデューサーとスポンサーの思惑通りで「ドーダ」、躍らされている匠も「ヘェー」。

このエントリーはaki's STOCKTAKINGのBefore Afterに寄せたコメントを加筆編集したものです。

Posted by S.Igarashi at November 2, 2003 03:17 PM