October 10, 2007

復刻版 岩波写真文庫

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と云うことで『復刻版  岩波写真文庫  赤瀬川原平セレクション』の全10冊(科学編5冊・社会編5冊)である。駅前の啓文堂書店でdanchu11月号を買うつもりで立ち寄り、平積みされている暴走老人!を手に取り、買おうか買うまいか迷っていると、前方斜め右の目線の高さの書棚に赤瀬川原平セレクションの文字が目に入った。『戦後腹ぺこ時代のシャッター音』はAmazonに注文してあるが、写真文庫は原物を見てから買うか決めようと思っていた。箱から出して頁をめくり始めると、これはタイムマシンである。生まれてから意識が目覚め初めて見た原風景やグラフ雑誌やニュース映画等のメディアで知った出来事が記録されている。これは自分の記憶とすり合わせ、その時代を再確認する為にも必要なアイテムと成り得るし、第一どれを見ても面白いのである。

科学編の蛔虫 (岩波写真文庫 赤瀬川原平セレクション 復刻版)には野糞についても見開き二頁で写真と「うんちく」が語られている。

野糞はふつう農村に多いとされている。農村の状態から見て当然であろう。その上にハイキングに行く人なども残してくる。ところが、少いと思われがちの都会にも、案外野糞は多い。公園の草むらなどにもよくあるし、屋外の行事のあとには、必ずといってもよいほど多い。野糞と弁当の殻が相接している風景もよく見られる。また、ないようで多いのが公衆便所の近所である。便所が汚れていることが多いからであろう。このような都会の野糞は戦後特に多い。野糞ではないが、似たものに列車便所から線路に落ちたものがある。列車が長く止っている駅の線路には物すごいほど多い。
丁寧にも調査した公園の見取り図に野糞の位置を示した図も添えられている。
戦後、衛生観念を啓蒙する意味で出版された写真文庫だと思うが、ある意味、大らかな時代でもあった。
今や、犬の糞もお持ち帰りする時代である。野糞なんてとんでもない、ブルーシートで生活する人々も公園の水洗便所で用を足すのが常識となった。

Posted by S.Igarashi at October 10, 2007 02:09 PM
コメント

iGaさん、こんばんは。
ちょっと遅くなりましたが、拙ブログにもエントリーしました。

Posted by: わきた・けんいち at November 28, 2007 10:35 PM

じんた堂さん、どうもです。
確かにタイトなレイアウトで、文章も強調箇所をゴシックにしたり工夫してますよね。

そういえば、テレビを見たまま寝てしまい、気づいた時に「英語でしゃべらナイト」が再放送中でした。グラビア界の黒船と云う「リア・ディゾン」が日本に来て一番驚いたことは「和式トイレ」ということですが、彼女、うっかり口を滑らせて、まるで『pop-a-squat』のようだと言ってしまい、慌てて口を塞いでましたが、どうやらそれは『野糞』の意味のようでした。辞書を調べたら『squat』だけでも『糞をする』と云う意味があるんですね、知らなかった。と云うことで「リア・ディゾン」のお里が知れてしまった「英語でしゃべらナイト」でした。

Posted by: iGa at October 13, 2007 04:01 AM

このシリーズは、写真文庫と名乗っているので写真が中心のように思ってしまいますが、文章が実に凝っていて編集者泣かせだったそうです。文章の段落に余白を作らないというか、指定された場所に文字数までピッタリ指定どおりになるように文章を書いていたそうです。

Posted by: じんた堂 at October 13, 2007 12:28 AM

まさぽんさん、こんにちわ。
本当に編集者の情熱を感じますね。

Posted by: iGa at October 11, 2007 03:04 PM

このシリーズはトッテモ面白くて、僕も古書店で結構買い集めました。
1950年代の"情報たくさん系"の本って、本当に丁寧に編集されていて、「いい本を作るぞ!!」という編集者の意気込みが伝わってくるように感じます。

Posted by: まさぽん at October 11, 2007 01:47 PM

とりあえず、遠近両用でなんとか…(^^;;。

Posted by: わきた・けんいち at October 11, 2007 10:55 AM

わきたさんどうも。
『日本 一九五五年十月八日』の表紙は中之島公会堂の前です。この写真文庫は1955年10月8日に撮影した写真を条件に全国から公募したもので時代の空気感までがリアルに伝わってきます。赤瀬川原平曰く『日本列島初の同時多発フォト』
そうそう、写真文庫を読むならオジサンは虫眼鏡も必需品ですよ。(^_^;)

Posted by: iGa at October 11, 2007 10:53 AM

買わなくっちゃ…

Posted by: わきた・けんいち at October 11, 2007 07:52 AM

一冊五百円くらいですとあり難いですね。ボックス入りなら散逸し難いだろうと、思い切って買いました。
これは改訂版でなく復刻版と云うのがポイントですね。編集付記に「、、初版を忠実に再現するように努めた。不適切と思われる表現もあるが、本著作が書かれた時代性を考慮して、原文通りとした。」とあります。
現在の視点で語ると昭和30年代を懐古趣味に捉えがちですが、復刻版故にその時代の眼差しと言葉で表現され、生き生きとして逆に新鮮に見えます。
「一年生」は1996年にNHKドキュメンタリーで『教え子たちの、歳月 五十歳になった一年生』が放送されているから、1946年(昭和21年)生まれで、もう還暦を済ませた人達でしょうね。一冊だけなら「一年生」がお奨めですね。それと併せて赤瀬川原平の『戦後腹ぺこ時代のシャッター音』も。

Posted by: iGa at October 10, 2007 10:22 PM

面白そうな本ですね。
10冊まとめると、ちょっと財布が慎重になります。
赤瀬川原平と言えば、桜画報やステレオ写真を連想します。
文章も面白くて、好きですね〜。

Posted by: 林檎家 at October 10, 2007 07:45 PM