January 19, 2012

ベン・シャーン回顧展-2

NHK・日曜美術館「静かなるプロテスト〜反骨の画家 ベン・シャーン〜」が放送される前に行きたかったのだが、先日、漸く神奈川県立近代美術館・葉山で開催中の「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト―写真、絵画、グラフィック・アート」を観てきた。足の不便な場所に或る神奈川県立近代美術館・葉山は本来ならば平日は空いているのだが、メディアの影響も或るのだろう..老若男女、国籍問わず、人が多かった。展覧会の企画構想は10年余り前から始められていたようで、その間、9.11から3.11、そして、TPPやらOccupy Wall Streetと多くの難題を私たちの世界は抱えている。そんな時期に、アメリカンドリームの負の側面と不条理な現実を直視したベン・シャーンの眼差しを追体験する機会に恵まれたことは意義深い。葉山での回顧展は後一週間程だが、その後、名古屋、岡山、最後に「ラッキードラゴン」を所蔵している福島県立美術館と巡回する。
追記:福島に出張しているFumanchu氏から福島民報「放射線理由、米の70点展示なし 6月に県立美術館「ベン・シャーン展」」の記事が...

図録に「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」を企画編集した元・集英社の山本純司氏のインタビューが掲載されていて興味深い。
・・・絵本だけれど、子どもの本とは思えないですね。・・・の質問に

これは戦略なんです。画集で出すと美術関係の本屋か、棚にしか置いてくれない。読者も限られている。でも、絵本の市場はずっと広い。ずっと長く読まれてゆく。例えば、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』は1942年にアメリカで出た絵本だけど、日本では石井桃子さんの翻訳で出て、初版の頃と殆ど変わらず重版を続けている。ベストセラーでロングセラーだ。僕たちは夏目漱石を読むけど、装丁や本の形は、何年かおきに変わっている。でも絵本は、何も変わらない。....中略...自分の考える原爆問題を、子供に伝えてゆきたいという想いがあった。絵本にすれば、多くの人に伝えられる。末長く売れる。だから絵本にしたんだ。
と答えている。納得である。

Posted by S.Igarashi at January 19, 2012 11:41 AM
コメント

う〜ん、やっぱりね、3.11後、日本での回顧展そのものが...中止になる処の様だったからね。もしも、この回顧展が世界に巡回するとなると、福島県立美術館所蔵の「ラッキードラゴン」を受入れ拒否する国も出るかもね。
そういえば、スミソニアンでのエノラ・ゲイと広島被爆被害の実情との展示を妨害した退役軍人会てのもありましたですね。

Posted by: iGa at January 26, 2012 10:41 AM

福島では
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9927079&newsMode=article

Posted by: Fumanchu at January 26, 2012 12:22 AM