April 28, 2013

若冲・非公認?

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先週、放送された日曜美術館「東北に届け 生命の美 〜アメリカ人コレクター 復興への願い〜」(再放送4/28午後8時)を見て、引っ掛かることが二点あった。2005年の3月に静岡県立美術館で見た「若冲と同時代の絵師たち展」の図録を引っ張り出して見ると、若冲の升目画には行方不明1点を含めて4点があり、所在が確認されている3点の内、若冲作と確証されているのは「白象群獣図」のみで、今回、プライス・コレクションとして展示されている「鳥獣花木図屏風」と、それによく似た静岡県立美術館が所蔵している「樹花鳥獣図屏風」について真贋を疑う研究もあることは静岡県立美術館の図録にも書かれており、2010年5月の朝日新聞には「「若冲屏風」は本人の作?」の記事がある。二点の屏風画に落款が無い事と他の作品と比べて作風があまりにも違いすぎる事がその要因だが、仮に真作としても若冲本人が完成の域に達していないと見做し落款を拒んでいたか、或いは升目画と云う特異性から織物の下絵として描かれていた...とも考えられるような気もするのだが...論争の決着は...未だに薮の中だが...気になる人は東北方面へお越しを...

番組を見ていて、もう一つ気になったのはコレクターであるプライス邸の建築、外観を見て、一瞬、ゲーリーかな?と思ったが違う、室内の階段のディテールを見て、どうもブルース・ガフ(Bruce Goff)のように思えた。Googleでブルース・ガフとプライス邸をキーワードに検索すると、確かにブルース・ガフはプライス邸を設計しているようだが、番組内で見た建築とは異なる。更に検索を進めると、ジョー・プライス氏は、あのライトが設計したPrice Tower(36°44'52"N 95°58'34"W)を所有するプライス・カンパニーの創立者の息子であり...プライスタワーを設計したライトは浮世絵のコレクターでもあることから日本画蒐集のアドバイスを受けていたとか...これでライトのタリアセンのスタッフだったブルース・ガフとも...繋がった次第である。
2006年に書かれた「石山修武 世田谷村日記」の266と264を発掘...成程...。

若冲と京の画家たち
樹花鳥獣図屏風
若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命―

Posted by S.Igarashi at April 28, 2013 11:13 AM