February 16, 2008

謎解き広重「江戸百」

謎解き広重「江戸百」 (集英社新書 ビジュアル版 )
と云うことで前のエントリー『「名所江戸百景」と江戸地震』で紹介したサイトの解説を担当した原信田実氏による著作である。本書は電脳「くろにか」に2005年末まで連載していた江戸百を元に詳細な論証と図版を加え新書として上梓したもので著者の遺作となっている。表紙は安政二年の十月二日に起きた安政江戸地震九輪が折れ曲がった浅草寺五重塔が翌年安政三年五月に修復され、それを記念しその年の七月(辰七)に出版された版画である。しかし修復されたのが五月にも関わらず季節が冬に見立てられているのである。著者は『名所江戸百景・浅草金龍寺』を雪景色の中に置いて一新の雪に戦災復興を祝う広重や江戸市民の想いが込められているのでは...と考える。

真乳山山谷堀夜景の構図も興味深いですね。教科書的には、いけない構図ですが、其処に謎が有りそうで...考え始めると...う〜む。
ネットの情報だけでは腑に落ちない、と云う向きには打って付けの新書。

『名所江戸百景』を研究しているサイトは他にもあります。
森川和夫:廣重の風景版画の研究(1)古写真で読み解く広重の江戸名所
森川和夫:廣重の風景版画の研究(2)広重と「江戸名所図会」

Posted by S.Igarashi at February 16, 2008 01:46 AM