January 15, 2006

生誕100年・前川國男建築展

「生誕100年・前川國男建築展」が東京ステーションギャラリーで開かれている。生前の前川さんの姿を一度だけ見掛けたことがある。それは赤坂草月会館の裏手にある東京ドイツ文化センターで開催されたワルター・グロピウス展であった。カタログを見ると1980年と記されているから氏が75歳の時であろう。清潔感の漂う小柄ながら背筋の伸びた矍鑠たる紳士だったと云う印象が残っている。その印象は氏の建築から受ける、肯定的な意味での不器用な生真面目さと共通する何かがあったように思える。

前川さんの代表作の一つである神奈川県立音楽堂の保存を訴える集会が1994年5月17日に同所で開かれたことがあった。その時に音楽家の口から「神奈川県立音楽堂の音響効果は偶然の賜物」と云う言葉が発せられた。その言葉を耳にした時ほど、この国の文化の不毛を感じたことはなかった。
神奈川県立音楽堂1994年5月17日
音楽のゲニウスロキ・建築のゲニウスロキ

Posted by S.Igarashi at January 15, 2006 10:25 AM
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