と云うことで"No Man's Land"の最終日に滑り込み在日フランス大使館・旧庁舎を見てきました。旧庁舎の本館(左図:赤)はフランス人建築家Joseph Belmont(ジョゼフ・ベルモン1928-2008年)により設計された1957年竣工の建物のようです。別館(左図:青)は1960年代の建築で設計者については記載なく不明ですが、ゲートに向かって大きく張り出したキャンティレバーが印象的な建物です。ジョゼフ・ベルモンはジャン・プルーヴェに師事した建築家と云うことで、ル・コルビュジエや師であるジャン・プルーヴェの影響がバルコニー手摺り等のディテールにも現れていると思われます。青木坂を背にした高低差10mの敷地に地下一階地上3階の建物が高低差を利用して巧みに配置されています。西側道路に面した門からスロープで一層分の高さに上ると車寄せが設けられたポーチがあり、そのレベルが1階と見做されているようです。中庭に面したポーチから動線は左右に別れ、右側のウィングがラウンジ(カフェテリア)になっていて、その屋上は2階レベルにある庭園と連続しています。この辺りの空間構成はアトリウムを内包する地中海住宅を彷彿とさせるものがあります。屋上庭園のレベルにある執務室(個室)には盗難予防と機密保持の目的か竣工後に鉄格子が設置され警察の取調室の様となっていますが、サッシュ割とかのプロポーションはコルビュジエのユニテやラ・トゥーレットの影響を感じさせられます。
Google Earthで見るフランス大使館の敷地、台地の上には大使館公邸と大使館員の宿舎が、敷地南側の谷には渋谷川(古川)が流れ、嘗ては「名所江戸百景 広尾ふる川」に描かれた風景が...
1階レベルの中庭と2階レベルの庭園から見た南側のファサード、翼のような断面を持つバルコニー手摺りが如何にもジャン・プルーヴェの門下生...。
建設された年代は鳥居坂の国際文化会館(1955)と2年程の差がありますが、其処にはモダニズムと云う共通の理念を感じることができます。...おまけの写真
KARAKARA-FACTORY:No Man’s Land/ 在日フランス大使館・旧庁舎
Kai-Wai 散策:"NO MAN'S LAND" FLAG
トリコロールと云えばこんなインスタレーションもありました。
nOzさん、どうもです。
恐らくビザの発給とかはゲート脇の別館で行なっていたのでしょうね。旧庁舎本館のプランで気になったのは階段の位置、エントランス脇でなく奥まった所にあるのはセキュリティのゾーニングが成されていたからでしょうね。後から不細工な格子を設けてセキュリティチェックをしていた様ですが、そうしたセキュリティやIT関連設備が時代に合わなくなってきて...建替え、色んな意味でインテリジェント化...と云うことですね。
Posted by: iGa at February 24, 2010 02:03 AM知識無しに見た後に、こうしてiGaさんのエントリーを拝見すると勉強になって凄く得した気がします。それだけでも見に行けて良かったです。
キャンティレバーに描かれた男の子、お気に入りです(^_^;
いつまでも、そんなところで拗ねてないで!降りてらっしゃい!