May 31, 2014

私の暮らしかた

私の暮らしかた大貫妙子著・新潮社

新潮社の季刊誌『考える人』2006年冬号から2013年夏号まで、8年に亘って連載されたエッセー「私の暮らしかた」が一冊となり、デビュー40周年の区切りでもある昨年秋に出版された。
『私の暮らしかた』は新潮社の「考える人・編集長」だった松家仁之氏に背中を押されて始めた連載であったようだ。2006年冬号の「新連載の紹介」の最後に『…人生というものは、日々の暮らしの積み重ねでしかないということを、あらためて気づかせてくれる大貫さんならではのエッセイ…』とあるが…それは大貫妙子の音楽家としての40年の活動にも共通するものがあるようだ。
東京生まれの著者が葉山に家を建て、両親と共に暮らし、その両親を看取る、その日常の繰り返しと四季の移り変り...その暮らしの中で見たもの、感じたことがエッセーに綴られているのだが、中々どうして筆舌は鋭いものがある。2006年に書かれた「守宮といつまでも」ではプルサーマルに『なぜそこまでして、命の危険を脅かすものを造り続けるのだろう。』と言及し、人の社会を、何本もの紐が絡まりあいコブをつくっている状態に喩え、『頑なまでにかたまったコブを誰かが緩めるのは容易なことではない。自らが緩んで、爪の入る隙間をつくってくれたなら解けるきっかけになろうというものだけれど。』と結んでいる。ん〜…東京電力のTVCMでプルサーマルの旗振り役をしていた早稲田の某名誉教授に読ませたい。

内容
------------------------------------------------------------
田植えとおしくらまんじゅう
十八年目のただいま
守宮といつまでも
暗闇のなかの対話
ナマケモノを見に行く
歌う私、歌わない時間
地球は誰のものでもない
二十年ぶりの買い物
楽しいこと嬉しいこと
空蝉の夏
天の川
ぎんちゃん
御蔵島にて
親と歩く
猫の失踪
庭とのつながり
ともに食べる喜び
ツアーの日々
贈りもの
東北の森へ
向こう三軒両隣
お母さん、さようなら
ノラと私のひとりの家
迎えて、送る
高野山で歌う
春を待つ
荷物をおろして

あとがき
------------------------------------------------------------
関連
東京日和
パンとスープとネコ日和

Posted by S.Igarashi at 10:57 AM

May 29, 2014

コーポラティズムの暴走...

今年3月5日と6日に上智大学で行なわれたノーム・チョムスキー講演会を共催した岩波書店の月刊誌・世界6月号にノーム・チョムスキーのインタビュー記事『「ほんとうの自由」のために闘う』(聞き手= 堤 未果)が掲載されていた。講演会があることは知っていたが行けなかったので、3月6日の講演「資本主義的民主制の下で人類は生き残れるか」に近い内容と思われる記事が掲載された本誌を購入した。
インタビューの見出しを見ると情報操作の最たる『合意の捏造』に始まり『新自由主義と強大化する企業の力』『あらゆる分野を覆う民営化という危機』『企業の規制は可能か』『企業によって運営される国』『TPP=投資家の権利条約』と続き、エピローグの『自由のための闘い』は諦めずに、暴走化する『コーポラティズム(政府と企業の癒着主義)』に警鐘を鳴らしている。完全なる米国の属国化を目指しているとしか思えない安倍内閣の政策によって『コーポラティズム』の主役は原子力村に代表される官僚主義と独占企業から米政府と多国籍企業に取って代わるのだろうか。

『合意の捏造』からトピックを一つ紹介すると...
思想を弾圧するに武力は必要ない。「優れた教育」で権力に隷属するように刷りこみ、精神と思考をコントロールすれば良い。知的エリートと呼ばれる高学歴層の人ほどその傾向は高く、高学歴層になれても「刷りこみテスト」に合格しなければ社会的影響力のある「知識層」からはじかれると…それが米国の現状らしい。何のことはない東大話法と立場主義に汚染された我国の学者や官僚と大差ないではないか。

最後から二番目の『TPP=投資家の権利条約』では...
『…..テレビの広告が作り出そうとしているのは、情報を与えられず不合理な選択をする大量の消費者です。広告産業の目的は市場の破壊なのです。』
米国と英国で広告産業が発達したのは民衆を力ずくで制御するのが困難なことに気付き、そうした中から巨大な広告産業が生れ、『その使命は人々の態度や意見を操作すること。当時はそれを素直にプロパガンダと呼んでいました。今では「マーケティング業界」と名を変えて、経済の1/6を占める業界に成長しています。そこには広告やパッケージなど、人々の判断を惑わせるためのありとあらゆる発明が含まれます。』と...

問題となっている新国立競技場も広告産業の主導による神宮外苑「1兆円再開発」がそのベースにある、まるでコーポラティズム暴走の見本の様な話ではないか。ザハを選んだ先生方が立場主義の弁明に終始する様は…笑うに笑えないカリカチュアそのものだ。
the CORPORATION
知の逆転
チョムスキー9.11 Power and terror

Posted by S.Igarashi at 10:04 AM | コメント (3)

May 28, 2014

考証要集

考証要集
秘伝! NHK時代考証資料 (文春文庫)

腰巻きには『あなたの歴史力、ぐ〜んとアップ! NHK制作現場から生れた、いまだかってない時代考証事典』と書いてあるが、事典だと思って、疑問に思う言葉を調べようとすると『なぁ〜んだ。出てない』とがっかりするかも知れない。本書はあくまでもドラマ制作現場の『時代考証資料』であって『事典』でも『大全』でもない。従って大河ドラマ等に関する時代考証の範囲はフォローされているかも知れないが、古典落語に出てくるような言葉はフォローされてなかったりする。
それでも、気になる言葉が、漢語なのか和語なのか、明治以降の翻訳語なのか、何時頃から使われるようになったのかとか…ちょっとした話のネタにはなるかもしれないが、過度の期待は禁物である。

因みに一例を挙げると…

浜松【はままつ】浜松は遠江にある。駿河ではない。

の一行だけ…間違いではないが遠江の別称・遠州について一言もない。
つまり、NHKでは「遠州は森の石松」等の侠客を主人公にしたドラマは制作しないということか。

Posted by S.Igarashi at 10:01 AM

May 26, 2014

GoogleMapに大雪の残雪が...

2014zansetu.jpg

GoogleMapの空撮写真が更新され今年2月14日に降った大雪の残雪が写っていた。と云うことはこの日よりも後、今年の2月末頃に撮影されたものだろう。
4月12日のエントリー・そして...一棟だけ残った...では1年半前くらいの空撮写真だったが、それではいけないとエントリーに合わせてGoogleMapも更新してくれたのか…そんなことはないな。

Posted by S.Igarashi at 11:11 AM | コメント (0)

May 25, 2014

TEDのネグロポンテ 1984〜2008

TED1984.jpg

1984年とあるからTED Conferenceの第一回目に「ニコラス・ネグロポンテが語った5つの予測」であろう。1984年はMacが世に出た年でもあり、プレゼンの内容はMITメディアラボで研究しているマン・マシン・インターフェース等々が主で、Macのマウス操作に替わるものとして五本指を使ったスクリーンタッチやら、電子会議システムから生れたトーキングヘッズも紹介されていた。何れも1988年に日本で出版されたスチュアート・ブランドの「メディアラボ」の口絵で見ただけだったので、何だか懐かしいような…。

TED2006.jpg
ニコラス・ネグロポンテが「子供に1人1台ラップトップ」計画を語る(2006)

と云うことでリッキー(リチャード・ソール・ワーマン)主催の「TED Conference」から22年を経たニコラス・ネグロポンテである。経年変化は免れないがMIT Media Labは辞めた訳でなく「One Laptop per Child」に集中する為に所長の座を降りたと云うことでまだ在籍していると言っている。

TED2007.jpg
ニコラス・ネグロポンテが語る「"子供に1人1台ラップトップ" 計画の2年の成果」(2007)

TED2008.jpg
ニコラス・ネグロポンテがコロンビアへOLPCを持って行く(2008)

OLPCについては2007年のTBSの深夜放送枠の「CBSドキュメント」で見た事があるだけで、それは拙Blogにエントリーしてある。
MADCONNECTION:One Laptop per Child

Posted by S.Igarashi at 11:10 AM

May 16, 2014

北斎漫画

北斎漫画―初摺・小学館発行
五月の連休中に放送された日曜美術館・「世界を驚かせた北斎漫画」はスタジオからの放送はなく、従って男性MCのどうでもよい個人的感想もなく、ナレーションによる押しつけがましい作品解釈も少なく、久しぶりに愉しめる内容だった。
そういえば、ん十年も昔から「北斎漫画」の紹介記事やダイジェスト版は見たりしているが、全巻全てを見たことはなかった。Amazonで検索すると本書がリストアップされた。どうやら初摺版を十五巻まとめて一冊に編集したもののようだ。値段は少々張るが「残部僅か」という消費者心理を突く文言に動かされポチってしまった。と云うことで本日注文から12日程で届けられた。奥付まで932頁にケースを入れて1880gと百科事典並の重量級だ。と云うか、幕末期を俯瞰する絵で見る百科事典と言えなくもない。成程、Amazonのカスタマーレビューの押し並べて五つ星に納得である。
因みに株式会社ブックモールジャパンからiPadApp向けに五巻毎に纏められた北斎漫画 1-HDが1〜3までリリースされているが、何処かスキャニングの甘さが少々気になる。

Posted by S.Igarashi at 11:44 AM | コメント (0)