March 12, 2012

原発危機と「東大話法」

原発危機と「東大話法」
―傍観者の論理・欺瞞の言語―明石書店・刊
2月25日の東京新聞・こちら特報部の特集記事『原子力ムラでまん延「東大話法」安冨歩・東大教授に聞く』で知って、Amazonから購入したのが本書である。Wikipediaから東大話法の規則一覧を一読すると...何人かの顔が思い浮かび...そういえば...と思い当たる節があるでしょう...。
この話法は悪質なウィルスの如く、東大に限らず、教育者、官僚、政治家、財界人、中間管理職、メディア、広告代理店、等々に広く蔓延しているようで、最終的には『思考停止』に至るようです。

内容
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第1章 事実からの逃走
燃焼と核反応と/魔法のヤカン/名を正す/学者による欺瞞の蔓延--経済学の場合/名を正した学者の系譜/武谷三男の「がまん量」/高木仁三郎・市民科学者/小出裕章と「熊取六人組」/玄海原発プルサーマル計画をめぐる詭弁との戦い

第2章 香山リカ氏の「小出現象」論
香山氏の記事の出現/原発をネットで論じてる人々の像/ニートや引きこもりの「神」/仮面ライダー・小出裕章/小出裕章=「ネオ麦茶」説
「原発問題=新世紀エバンゲリオン」説/インターネットの意味/関所資本主義の終焉/お詫びのフリ/真理の探求へ/真理の探求からの逃避/香山氏はなぜこの文章を書いてしまったのか

第3章「東大文化」と「東大話法」
不誠実・バランス感覚・高速事務処理能力/東大関係者の「東大話法」/東大工学部の『震災後の工学は何を目指すのか』/東大原子力の「我が国は」思想/工学研究の「計画立案」/東大原子力文書の「東大話法規則」による解釈/傍観者/池田信夫氏の原発についての見解
池田信夫の「東大話法」その1〜6/鈴木篤之の「東大話法」/東大話法の一般性

第4章「役」と「立場」の日本社会
「東大話法」を見抜くことの意味/「立場」の歴史/夏目漱石の「立場」
/沖縄戦死者の「立場」/日本版プラトニズムとしての「立場」/職→役→立場/原子力御用学者の「役」と「立場」/天下りのための原子力/福島の人々が逃げない理由

第5章 不条理から解き放たれるために
原発に反対する人がオカルトに惹かれる理由/槌田敦のエントロピー論
/化石燃料と原子力/地球温暖化/出してはならないもの/人間活動の生態系人間の破壊/熱力学第二法則と人類の未来/原子力のオカルト性/「日本ブランド」の回復へ
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そういえば、下記の人は『第4章「役」と「立場」の日本社会』を地で行く人のようで、長崎と福島では言うことが違いすぎますね。
山下俊一・長崎大学教授が『ベラルーシで被ばく時年齢0から15歳未満の甲状腺がん手術数が激増している』と解説

Posted by S.Igarashi at March 12, 2012 10:31 AM
コメント

うちも年期が明けたので、朝日をやめて東京新聞にすることにしました。
ここ一週間、ネットから申し込んで無料お試し購読というのをしていますから、あらためて申込しなきゃですね。やはり、脱原発の姿勢がはっきりしているので、読んでいて気持ちがいいですね。
書評の論語は、まだ読んでいませんでした。古新聞を引っ張り出してみます。

Posted by: 玉井一匡 at May 18, 2012 11:50 AM

先週土曜日(5/12)の東京新聞朝刊に『「人知の闇」を超える』と題した著者・安冨歩氏の文章が掲載されていました。ちくま新書の新刊「生きるための論語 」の紹介を兼ねた記事ですが、成程と合点のゆく論語解釈に読んでみたくなりましたです。

Posted by: iGa at May 18, 2012 09:42 AM

 このエントリーを読んですぐに図書館のサイトで予約したましたが、やっと今日になって、それが手元に来ました。ざっと目を通しただけでもひどくおもしろいですね。
大東亜戦争ーバブル経済ー原発に一貫する愚行と犯罪的な言語操作を明快に批判・否定するという、当然のことを正面切って書いていることの痛快。それを一切しなかったマスコミへの腹立たしさで、元気が出ます。

Posted by: 玉井一匡 at May 17, 2012 10:49 PM

たかさん どうもです。

おもしろい...だけじゃなく...やがて、こうした話法を操る輩共に...腹も立ち...憤りも憶える「本」ですね。

Posted by: iGa at March 12, 2012 02:16 PM

おもしろそうな「本」ですね。

Posted by: たかさん at March 12, 2012 11:42 AM