October 31, 2016

生き残るのは...

二年前の四月のエントリー『そして...一棟だけ残った...』で紹介した沖電気の八王子事業所跡地に建設中のショッピングセンターの計画図であるが、これは先週の大規模小売店舗立地法に基づく地元説明会で配布された資料だ。8月の「市長と語る」では市長が『…施設前の車道は3車線分の幅員があり…(中略)…交通への支障は少ないものと考えています』と述べているが、「3車線」と言わず「3車線分」と言う処に狡猾さが滲み出ている。「3車線分」の道幅があると言っても路肩に車が停められていたら、当然の事ながらセンターラインをオーバーする訳で対向車とのすれ違いには徐行して充分注意しないと危険が伴います。従って交通に支障が出るのは明らか、既に町田街道は圏央道の高尾山インターに繋がる浅川トンネルが出来てから慢性的に渋滞しているので、このショッピングセンターが出来たら更に渋滞は酷くなるでしょう。既に種畜場跡にはホームセンターと生鮮食料品を扱う大型店舗が出店、南大沢に移転したスリーボンド本社の跡地にはヤマダ電機が出店するとか、八王子インターの北側にはイオンモールの計画もあり、建設通信新聞によれば「加速する多摩地域の大規模商業施設群開発/総延べ床60万㎡」とあるが、進行中の計画を含めると74万7600平米まで膨らむそうだ。供給過剰となって…『そして...一件だけ残った…』とならなければ良いのだが...さてさて生き残るのは...

JR高尾駅から京王狭間駅周辺の大規模小売店舗(地図はクリックして拡大)
こんな狭い地域で顧客の奪いあいが始まるのか...既にJR高尾駅北口商店街は全滅、替わってコンビニがある程度。駅舎を取り壊し、かろうじて生き残っている店舗を追い出して北口駅前広場を拡張してバスターミナルを設けるのも八王子の西北部を開発するデペロッパーのため…。

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October 30, 2016

ドーダの人...

今朝の東京新聞・書評欄で紹介されている新刊二冊…の左側「ドーダの人...」とされている小林某も森某も…俺は苦手だ。どうやら世の中には、自分以外でそう思っている人も多いらしい。(Amazonのブックレビューを読むと小林某に恨み辛みを抱く人も…。)ところで著者は赤瀬川原平と東海林さだおの対談集「ボケかた上手」を読んだのだろうか…「ドーダ!」と「ヘェー!」

Posted by S.Igarashi at 11:26 AM | コメント (0)

October 29, 2016

TIME AND LIFE

村井修写真集:TIME AND LIFE 時空

9月16日から10月16日まで開催された村井修 半田写真展『めぐり逢ひ』を記念して出版された本書は村井氏の70年の足跡から1956年から2005年までの代表作と未発表作98点が選ばれ収載されている。
その村井修氏の訃報を知ったのは写真展も終了から10日を経た10月26日の村井修 半田写真展実行委員会のFacebookであった。そして、本日の告別式の時刻に合わせるように遺作となった本書がAmazonから届いた。
今回の写真展と同様に98点の写真には通し番号があるだけでタイトルもキャプションもない、これも先入観を持って写真に接しない為の配慮だろう、タイトルを見て判った気になるよりもあれこれ考えてから巻末の作品リストを見て納得したりする。お逢いすることは無かったけれど、これも故人を偲ぶ供養のカタチかも知れないと勝手に思っている。

Posted by S.Igarashi at 04:03 PM | コメント (0)

October 21, 2016

MILES DAVIS COPENHAGEN LIVE 1969

MILES in NEWPORT JAZZ FESTIVAL 1969から四ヶ月後、1969年11月4日のライブビデオをiTunesStoreで見つけた。タイトルは"MILES DAVIS: LIVE IN COPENHAGEN 1969 "、いわゆる”ロスト・クインテット” と呼ばれている最後のマイルス・ディビス五重奏団、マイルス・ディビス以下、ウェイン・ショーター 、チック・コリア、デイヴ・ホランド、ジャック・デジョネットのメンバーである。「So What「マイルス・デイヴィスの生涯」」で調べると1969年は年頭の日本公演が流れた後、2月に"In A Silent Way"(1969)のレコーディング、6月からは"Bitches Brew"(1969・1970)のレコーディングも始まり、その合間を縫ってNEWPORT JAZZ FESTIVAL のライブやヨーロッパツアーを行なっていたようだ。このCOPENHAGEN LIVEも"In A Silent Way"や"Bitches Brew"から選曲されているが電化楽器はチック・コリアのエレクトリックピアノだけで、デイヴ・ホランドはウッドベースのみでボーイング奏法も行なっている。この後、マイルスのグループはライブでもパーカッションやエレクトリック・ギターを加えた編成となっている。エレクトリック・マイルスへの過渡期である。新宿のJazz喫茶DUGの壁に飾られたNEWPORT JAZZ FESTIVAL 1969のマイルスの写真を見て日本で彼らの演奏が聴ける日が来るのか…当時、二十歳の私は半ば諦めていた。その時代の自分に聴かせてあげたいライブである…。

チックは流行に敏感でありますね。

MILES DAVIS: LIVE IN COPENHAGEN 1969 DVD

Posted by S.Igarashi at 11:32 AM | コメント (5)

October 11, 2016

豊橋の水上ビル

昭和三年発行の五万分の一地形図の豊橋の市街地を流れる農業用水路(牟呂用水)の青く塗った部分に戦後闇市から派生した小規模店舗の移転先として1964年(昭和39年)から1967年(昭和42年)に掛けて造られた幾つかのビルを総称して水上ビルと呼ばれているそうだ。ん〜…これは三原橋の銀座/傳八のあった三原橋センターと三原橋地下街に似たような話である。そんな訳で「あいちトリエンナーレ 2016」の会場にも使用されている水上ビルを見たいと思った。

と云うことで、築50年を過ぎようとする建物は名誉ある?「既存不適格建物」となり、ここも御多分に洩れず、シャッターが閉まったままのテナントが多いようですが、どことなく戦後闇市のDNAが香り立つようです。そういえば、建替え中の渋谷東横百貨店も渋谷川の上に造られていますね。好き勝手に法律を解釈する官僚上がりの強盗慶太のDNAは今も健在のようです。

橋の欄干だけが残っている。あたしん家の地名は谷戸の地形から狭間町ですが、ここは何なのでしょうか。

ブラジルのラウラ・リマによるインスタレーションですが、小鳥が逃げたり死んだり、問題もあるようです。
問題:中日新聞・小鳥、逃げたり死んだり 「あいちトリエンナーレ」豊橋の展示
対処:鳥の保護活動/TSUBASAみらくる日記・「あいちトリエンナーレ2016」のご報告

屋上も無法地帯に…これも戦後闇市のDNAを伝えるものでしょうか。

関連:ミツカン水の文化センター機関誌『水の文化』47号 つなぐ橋 
川がない橋が秘めた東京の履歴 斉藤 理 

Posted by S.Igarashi at 04:30 PM | コメント (2)

October 10, 2016

吉田にて...

8日の午後は吉田城跡の豊橋公園に駅前から路面電車に乗ってやって来た。いちおう、「あいちトリエンナーレ 2016」の会場の一つになっている事に加え城跡の探索と路面電車に乗ることも目的であった。

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と云うことで歌川広重の東海道五十三次の吉田宿である。豊川に架かる東海道の橋を臨む風景は往時の面影を今も偲ばせるものがある。それは護岸をコンクリートで固められていないこと、それを可能にした放水路の整備があったからだろう。復元された鉄櫓(くろがねやぐら)脇の展望台に立つと思い掛けない風景に心が和む。

ということで本丸跡で催された「あいちトリエンナーレ 2016パフォーミングアーツ」のAnimal Religionによる『Chicken Legz』がこれだ。何やら広重の東海道五十三次・吉田に描かれた鉄櫓の足場に登っている鳶にも、似てないことはない。

Facebook:Animal Religionには「あいちトリエンナーレ 2016」の情報も...

豊橋公園の入口には陸軍「歩兵第18連隊」の名残を示す歩哨が立っていた哨舎がそのまま残されている。吉田城のボランティアのオジサンによれば城跡が陸軍歩兵第18連隊の駐屯地となったため、本丸とその周囲の曲輪を残し、他は城跡の原形を留めていないそうである。

Posted by S.Igarashi at 02:37 PM | コメント (0)

村井修 半田写真展『めぐり逢ひ』

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会期中に米寿を迎えた写真家・村井修の「村井修 半田写真展『めぐり逢ひ』」を連休の前日に見て来た。私の高木滋生建築設計事務所・時代の先輩・渡辺さんが会場の一つになっている「旧中埜半六邸(母屋)改修工事」に携わったこともあり、今回の写真展の展示にも協力していることから「見にきませんか」とお誘いがあったので、半田まで足を延ばし、事のついでに翌日は名古屋と豊橋のあいちトリエンナーレ 2016も見て来た。
村井修の写真は風景の切り取り方は元より、動かざる都市や建築そして風景を撮る時にも一瞬の光を捉えるシャッターチャンスは一度しか無い事を教えてくれる。松華堂ギャラリー会場の壁面を飾るルーブル美術館エントランスのガラスのピラミッドの写真はそんな写真だ。私を少年時代に時間旅行させてくれる記憶の風景「1950年代の風景」(昭和30〜34年)も良かった。この写真集は自主出版だけで市販されていないのが惜しい。丹下健三の山梨文化会館・1967の写真は『...雑踏のなかに、いかにもその環境にそぐわず建っている建築を意地悪そうな目つきで撮る。』と「村井修写真集 写真都市」の序文で丹下健三は物怖じしない15歳年下の村井修の才能をこの様に表現している。

Posted by S.Igarashi at 09:39 AM | コメント (0)

October 05, 2016

12年ぶりの...

オランダのモダン・デザイン: リートフェルト/ブルーナ/ADO
東京オペラシティ アートギャラリーで開かれている"Dutch Modern Design Rietveld / Bruna / ADO"を見てきた。本ブログのCATEGORYにはG.T.Rietveld があり、これまで18のエントリーがあったがこれで一つ追加された訳である。と云うことで2004年のリートフェルト展以来、12年ぶりのリートフェルトである。今回の展覧会は1997年にセゾン美術館で開催された「デ・ステイル展」を企画した当時のセゾン美術館・学芸員で現在、大分県立美術館館長の新見隆氏による企画と云うことで、デ・ステイルをルーツとする「オランダのモダン・デザイン」からリートフェルト/ブルーナ/ADOが取り上げられている。リートフェルトの代表作である《シュローダー邸》が未亡人と残された三人の子供達の生活空間として造られたこと、そしてADOによる木製玩具、ブルーナの「ミッフィー」の絵本と、日常的な生活に深く結びついているオランダのデザイン文化にフォーカスを当てたものである。
そう言う意味で、リートフェルトの日曜大工で作ることのできる組み立てキットとして考案された椅子等はホームセンターで売られている材料で直ぐにでも出来そうである。ブルーナのミッフィーも最初の頃は「おブスちゃん」で、またそれも可愛いのだが…シュローダー邸前のブルーナのスナップ写真も同じ街に生まれ育ち生活している者の日常の一コマに過ぎないのだろう。

Posted by S.Igarashi at 02:12 PM | コメント (0)