さて、後2時間程で終わる2012年の『今年の漢字』は『金』だそうだが、この一年間をを締め括る漢字を一つ選ぶとしたら、私には『浅』しか考えられない。政界から財界、マスコミに広告代理店、官僚に御用学者、その他諸々と目先の事しか眼中にない『浅ましい』輩で世の中溢れている。情けないが、どうやらそれが現実である。
まぁ来年こそは"I wish you a happy new year"と云うことで...身体だけは大切に...夜空はオリオン座が綺麗です。
小林清親 東京名所図 (謎解き浮世絵叢書)
先日、ETV特集の「東京という夢・YASUJIと杉浦日向子」を見ていて、井上安治の師匠である小林清親が気になり...Amazonに注文。ゆうメールで届いた段ボールの包を開け中身を改めると、予想していたよりも充実した内容。東京名所図の通り、明治9年から明治14年に掛けての6年間で描かれた30点の浮世絵版画が収録されている。見開き2頁に一点の版画が、次の見開き2頁に解説と版画の拡大部分と全体のサムネイル、そして当時の地図と現在の地図に現況写真がレイアウトされている。名所とされた当時の新建築である表紙の「24・海運橋」(第一銀行雪中)の軒蛇腹の省略描画は納得できるが、「26・虎乃門夕景」の工部大学校の切妻や軒の重量感も厚みも感じられないポンチ絵の如き省略描画を見ると建築の細部にあまり関心のないのか、細部に拘泥しないのか、洋風建築に嫌悪を憶えているのか不明だが、「5・今戸橋茶亭の月夜」に見られる料亭の屋根も軒先に鼻隠しを付けて無いのは理解できるが垂木まで省略すると薄っぺらな印象しかない。それでも商家の場合は切妻の破風板までは省略できず、遠景でもそれなりの厚みは確保している様だ。西洋建築や絵画技法が輸入されて10年足らず... 伝統的な浮世絵から飛躍しようとしているのか木版画の表現にも時代の変化が感じられて興味深い。
小沢昭一---芸能者的こころ (文藝別冊)
奥付を見ると2010年6月30日発行となっているから、たぶん2年前に買った河出書房新社の別冊文藝のムックである。そのうち、ゆっくり読もうとしている内に、本人がお亡くなりになってしまった。改めて前口上を読むと『人様が、私メのことをあれこれ書いて下さった文章ばかりを、集めて下さいました。恐縮しております。.........中略....
人間、八十路に入りますと、クソ爺ィ、であると同時に、子供にも帰ってゆく面もある様で、間もなく、地獄極楽、どちらかに行くのでしょうが、もし地獄に行くことがあれば、私、閻魔様にこの本を見せて、お仕置きを少しでも軽くしてもらおうと思っております。....』
と云うことで...小沢昭一曰く、人様の書いた文章と...小沢昭一本人との対談、鼎談を集めた本であるが、本人のみならず、執筆陣、対談相手には、既に鬼籍に入った人やら..実在の説教強盗から歴史学者までと多彩である。そういえば「洲崎パラダイス」に若かりし頃の小沢昭一が出ていたことを思い出した。
因みに小沢昭一氏が直接関与している訳ではないが、本書の執筆者も触れている見せ物小屋・大寅興業の10年間を追ったドキュメンタリー映画『ニッポンの、みせものやさん』が現在上映中である。
Le Corbusier Redrawn: The Houses
9月19日に注文して、配送は11月中旬になるのは承知していたが、二ヶ月も経つと何か注文していたけれど、それが何かも忘れていたが、12月2日に発送の知らせが届き、そうか忘れていたのはコルビジュエの本だと思い出した。
と云うことで本書はコルビジュエが設計した26の住宅の図面を新たに描直したものである。そのうち22の住宅に関しては表紙のサヴォア邸の様な断面透視図も描かれている。図面表現としてはアウトラインのみの表現と断面はベタ塗り、縮尺は概ね1/200、透視図はシェーディングとシャドウのみで質感は無しのニュートラルな表現となっている。何れも良く知られた住宅であるが、現実には見ることのできないアングルの外観透視図や断面透視図等も豊富で、ドローイングだけの一冊は新鮮である。より分析的にコルビジュエの住宅を研究したい向きにはうってつけの一冊だろう。
NISSAN REAFのテレビコマーシャルの【自宅で充電・満タン300円】のコピーを見ていて腑に落ちない思いがした。ガソリン車と比較して燃費の良さを訴えているのだが...そもそもガソリン車と同じ土俵で勝負している訳でもないのに...安直に比較するのは如何なものか。最大の疑問はガソリンには1リットル当り53.8円のガソリン税が掛かっている。その上、ガソリン税にも5%の消費税が二重に掛かっているので1リットル当り56.49円の税金を支払っていることになる。日産のウェッブサイトによれば一回の充電で228km走行可能らしい。仮に15km/ℓの燃費のガソリン車と比較すると228km走行するには15.2リットルのガソリンが必要となる。今日の全国平均価格では146.8円/ℓとなっているから、2231.36円のガソリン代が掛かることになる。その内、ガソリン税は817.76円となっている。つまりガソリン税だけで充電料金の2.8倍もの金を国に支払っていることになる。これを不公平と言わなくて何と言えば良いのだろうか。ガソリン税の目的とする道路特定財源制度は「改正道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」の成立に伴い一般財源化されたと云うが、その使途は現在でも道路の建設・整備が大部分の様である。つまりNISSAN REAFはガソリン車ユーザーの税負担に只乗りしていることも云える。いっその事、公平を期すにはガソリン税を廃止したらどうだろう...。