June 01, 2006

もんしぇん

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8月19日から東京国立博物館内「一角座」で公開されるシグロ制作・「映画 もんしぇん」の試写会に行ってきた。

お腹の子どもをひとりで生むことを決意した"はる"果てしない不安の中、偶然迷い込んだ小さな入り江。そこで彼女は不思議な老人たちに出会う。星がその命の終わりに自らを爆発させ、そのかけらが新たに地球の生命体に生まれ変るように、"いのち"は繋がっている。やがてそう気づいた"はる"は、ゆっくりと恢復してゆく。
そして、エンディングの曲「脈動変光星」に、この映画のテーマは凝縮され結晶化されているようである。と云うことで昨日はAkiさん、玉井さん、masaさんと共に『もんしぇん』応援団が結成されたのだ。

すべての映画はファンタジーである。但し、ドキュメンタリー・フィルムを除いてだが。「映画 もんしぇん」の監督・山本草介氏は、私が先々週に見た映画エドワード・サイード OUT OF PLACEの監督である佐藤真氏の元で演出助手を務めていた経験をもつ。つまり私は奇しくも師匠と弟子の作品を続けて観たことになる。映画に続いて書籍:エドワード・サイード Out of Placeも読んだが、文脈からも佐藤真氏のドキュメンタリー・フィルムに対する、そして取材した人々に対する誠実さが伝わってくる。そんな監督の元で修業した山本草介氏の第1回監督作品が「映画 もんしぇん」である。
パラレルワールドに迷い込んだ玉井夕海演じる"はる"が出会った現実と非現実の世界をフラッシュバックも多用せず、フィルム・エフェクトやコンピュータグラフィックスに頼らず淡々と描いているのは、ドキュメンタリー・フィルムで培ったものだろうか。昨今のコマーシャル・フィルム出身の映画監督作品のあざといまでの非現実な作り事世界に対し、現実と非現実の境界を曖昧にしたままファンタジーを描くのは、山本草介氏の世代では逆に冒険なのだろうか。尤も、我々が見ていると思い込んでいる現実世界も、脳内記憶が作り上げた想像世界でもある訳で、どこまでが現実世界なのか実は境界が曖昧なのである。
aki's STOCKTAKING:もんしぇん
MyPlace:もんしぇんの試写会
af_blog:もんしぇん

Posted by S.Igarashi at June 1, 2006 11:25 AM | トラックバック
コメント

いのうえさんどうも、
猫バスが来ると宮崎駿プレゼンツ・黒沢明「夢」の世界になりますね。
僕は不謹慎ながら、冥界に紛れ込んだ男女が出てきた辺りから、タケシだったら、次にヤクザがでてきて、一悶着あるだろうとか、ゴダールだったらギャングでてきて逃走劇がはじまるとか、筒井康隆だったら、宴会はデキシーになって山下洋輔や坂田明が乱入してハチャメチャになるだろうなとか、タルコフスキーだったら、とか勝手な妄想してました、、、。

Posted by: iGa at July 6, 2006 09:01 AM

iGaさんどうもです。映画の冒頭の雨の中でのバス停シーンで 思わずトトロの猫バスがこないかなと思っちゃいましたよ。 

Posted by: いのうえ at July 6, 2006 01:18 AM

なるほど、新潟は玉井さんのふるさと、夕海さんの実家にもなるわけですからね。
ちなみに、うちの奥さんは「はるみ」といいまして
みなから「ハル」と呼ばれていたので、その辺で(個人的に)ちょっとびっくりしていました。

Posted by: fuRu at June 8, 2006 03:32 PM

ちなみに夕海さん演じる「小林はる」と云う名は最後の長岡瞽女「小林ハル」へのオマージュだそうです。
fuRuさん向き、新潟つながりのネタです。
僕は「ハル」と聴くと"2001:A Space Odyssey "の"HAL"を連想してしまいますが。(^_^;)

Posted by: iGa at June 8, 2006 01:41 PM

「もんしぇん」応援団に入団しましたfuRuです。
映画は、実に、しっとりしていました。

Posted by: fuRu at June 7, 2006 04:05 PM