映画「ふたりのイームズ・建築家チャールズと画家レイ」を観てきた。ふたりのイームズが作った映画はこれまでに何度かフィルムとかLDやDVDになったものも観てきたが、ふたりのイームズをテーマにしたドキュメンタリー映画を観るのはこれが初めてだ。今まで特にチャールズ・イームズ(Charles Ormond Eames, Jr )のバイオグラフィーにまで関心を寄せてなかったので知らない事も多く興味深かった。サーリネンとの関係も改めて、2001年8月に東京都美術館で開催されたイームズ・デザイン展の図録やネットで調べ直して納得する有り様。この映画は手元に資料を置いてDVDでじっくり見るのが向いているかも知れない。
デザインとは"スタイル"ではなく、問題を解決してより良い世界を築いてゆくものだ。成形合板を用いた椅子のデザインのルーツはアールトにあるかも知れないが、二次曲線から更に三次曲面にまで発展させ、少ない材料で軽量化と充分な強度を得ることに成功したイームズチェアーはmasaにデザインが問題解決することを証明している。
チャールズ・イームズの人間的な側面を表わしているのが、嘗ての愛人へのインタビュー...確かMITの出身の才女...チャールズはレイと別れて...二人でニューヨークでやり直そうとプロポーズしていたが...彼女はレイとの友情を裏切れないとプロポーズを断ったそうだが...その愛人もチャールズからの手紙は全て保存、レイも結婚前のチャールズからの手紙は全て保存、チャールズと云えばレイからの手紙は前夫人の目に触れぬよう全て処分...どうやらチャールズは自分を鼓舞してくれる創造の女神が傍にいないとダメな男のようだ。何れにせよ、人は自分が作り出した自己の延長物に支配されていると感じ、其処から逃走したくなるのかも知れない。レイも画家としてのキャリアをリスタートしたいと考えた時期もあったようで...傍で見ているほど人生順風満帆とはいかないようだ。それでもレイは前妻の子(ルシア)や孫(デミトリオス)の面倒も良く見ていたようだ。
関係者等
エリエル・サーリネン(Gottlieb Eliel Saarinen)
エーロ・サーリネン(Eero Saarinen)
ケヴィン・ローチ(Kevin Roche )
リチャード・ソール・ワーマン(Richard Saul Wurman)(日本語の情報が少なすぎる。)因みにチャールズの前妻の旧姓もキャサリン・ワーマンであるが...これは偶然だろう。
arts & architecture:Case Study House
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