February 11, 2006

ナサニエルの失われた時を求めて

「お父さん見てよ、僕こんなにローラースケートが上手くなったんだ。」
父に見守られているかのように、ソーク研究所中庭でローラースケートで遊ぶナサニエルはきっと11歳の少年に戻っていたのだろう。MY ARCHITECT A Son's Journeyを見てきた。建築家・ルイス・カーンの足跡を息子が辿るドキュメンタリー映画であるが、同時に家族とは何かを問う映画でもあった。カーンの葬式以来、ノーマン・フィッシャー邸のリビングで初めて顔を合わせる三人の子どもたちは、母親は異なるが父親は同じだ。座っている距離感が複雑で微妙な人間関係を表わしている。次のシーンでカメラはノーマン・フィッシャー邸の外観を捉えている。リビングの会話だけが聴こえる。「僕たちは家族かな?」「父親が同じだからって家族じゃないわ、お互いに気遣う気持ちがあれば、それは家族よ。」二人の姉は成長したナサニエルに父親の幻影を見たかも知れない。

蛇足その1:フィラデルフィアの都市計画でカーンと意見の相違から袂を別ったエドマンド・ベイコンがナサニエルが仕返しに来たと勘違いし、ファイテングポーズを取っていたのが意外性があって面白い。因みにこのシーンの背景にオルデンバーグの洗濯ばさみがちょこっと見える。ワーマンはこのことをジューイッシュ(Jewish)と云う出自故に疎外されたとみているようだ。furuさんもaf_blog: 「マイ・アーキテクト」でフィリップ・ジョンソンのインタビューを書いているが、あの話、映画を見た時は、以外とジョンソンは正直と思ったけれど、良く考えるとあれはリップサービスですね、そこがカーンとの違いで財産を残せるのでしょう。

蛇足その2:ルイス・カーンもイサム・ノグチと同様に越境者としての自覚があったのだろうか。ユダヤ社会にもWASPが支配するアメリカ社会のどちらからも疎外され、彼が帰属する場所・社会があったとは思えない。そのどちらでもない、ヒンズーのインドや回教のバングラディッシュで晩年の作品を残せたのは、宗教の枠組みを超えた思想・哲学を受け入れる度量が彼の国にあったということだろう。

Posted by S.Igarashi at February 11, 2006 02:52 PM
コメント

上映が延長されてますね。
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ご好評のため、モーニングショーでの追加上映の継続が決定致しました!

■『マイ・アーキテクト』上映スケジュール
・期間:3/18(土)〜3/24(金)
・上映時間:
  モーニングショー/11:00〜13:00
  レイトショー/21:15〜23:15
・上映劇場:Q−AXシネマ 
 (注)3月25日(土)以降は上映時間が変更する場合がございます。
    その際は、随時本サイトにて告知させて頂きますので、ご確認の程宜しくお願い致します。

詳しいお問い合わせにつきましては劇場までご連絡をお願い致します。
Q−AXシネマ
電話番号:03-3464-6277
http://www.q-ax.com

Posted by: iGa at March 15, 2006 11:40 AM

昨日は、お疲れ様でした。
そうですね、この映画はルイスカーンのことなんて抜きにして
家族の映画ですよね。
アンとハリエットという二人の女性の対照的な存在感も興味深かったです。女性が見たらどう感じるんだろうと思いながら帰ってきました。

Posted by: fuRu at February 11, 2006 04:44 PM