February 12, 2006

交通博物館・モダニズムの光と蔭

先週、MY ARCHITECT A Son's Journeyを見たついでに神田小川町まで足を延ばしオリンパスのサービスステーションでC-5060-WZを修理にだした。ここまで来ると交通博物館は目と鼻の先、這ってでも行ける距離だ。と云う訳で旧万世橋駅遺構を見るべく交通博物館に立ち寄った。見学時間は午後3時30分、それまで小一時間以上あるので先ずは近所を散歩することにし、手始めに外観の写真を撮ることにした。旧万世橋駅遺構は既にあちらでもこちらでも紹介されているのでモダニズムにフォーカスしてみた。

交通博物館・解説シートNo.101-2によれば旧鉄道博物館は1936年(昭和11年)の竣工と云うことだ。館内の案内板にはコルビュジェの元で学んだ技官による設計らしいことが書いてあった、1936年と云えば、2.26事件のあった年、確か渡辺仁・設計の第一生命本館と原邸(現・原美術館)がこの年に竣工している。モダニズム建築にも忍び寄る軍靴の音が現実となった年である。1930年代の「国際建築」バックナンバーの目録を見ると「国粋的建築か国辱的建築か」等の論文もあり東京帝室博物館コンペに建築界が揺れ動いている様子が見て取れるが、未だ山脇巌、蔵田周忠、山口蚊象、土浦亀城らがモダニズムのデザインボキャブラリーで建築を設計していた。
追記:aKiさん情報によると設計者は伊藤滋(1898年〜1971年)でJR中央線・日野駅も設計しているらしい。因みに「美しい景観を創る会」の伊藤滋とは同姓同名ですが別人です。(敬称略)

階段室のこうしたデザインボキャブラリーは原美術館との共通性も見出せるが、コルビュジェというよりもバウハウスやグロピウスの影響が強いように思える。




Posted by S.Igarashi at February 12, 2006 05:16 PM
コメント

伊藤滋(1898年〜1971年)ですね。
やっぱり案内板の「コルビュジェの元で学んだ.....」はガセですかね。

Posted by: iGa at February 14, 2006 08:58 AM

交通博物館、お茶の水駅の設計は、国鉄の建築技術者で後の日本建築学会長を歴任した伊藤滋という方のようですね。「コルビュジェの元で学んだ.....」というのは、どうなのかな。
交通博物館はブルーノ・タウトの日本見聞録「ニッポン」の中、その頃の日本の現代建築の一つとして称揚されているらしい。

Posted by: AKi at February 14, 2006 08:29 AM