August 27, 2005

都市のデザイン

都市のデザイン、エドマンド・ベイコン著、渡辺定夫訳
鹿島出版会 1968年発行・現在絶版
原書・Design of Cities
Amazonを見るかぎり米国ではエドマンド・ベイコンの本書とケビン・リンチの「都市のイメージ」は建築学生の必須図書となっているようだ。
丹下健三による序文には「彼(ベイコン)は、古代ギリシャの都市から現代の都市に至る人類の歴史の中で、都市がいかに大衆の芸術であり、文明の最高の表現であったかを明らかにしている。しかし、それにもまして、彼はこうした文明の形態と人間の意思が、時間と空間の中で、芸術までに転化し、定着しゆく過程に目を注いでいる。そうして、そのなかに都市デザインの意思を見出し、また方法論を学びとっている。」と書かれている。
本書では人間の意思によって造られた都市が時代と共にどのように造られ変化していったかを、豊富な図版などにより分析解説しているのであるが、なかでもローマについて多くの頁が割かれている。GoogleMapでカンピドリオ広場やポポロ広場そしてスペイン広場等を空から眺めると、先人達の都市デザインに対する意思が伝わってくるようである。

その内容の一部を紹介すると、
ミケランジェロの意思行為と題された章、カンピドリオ広場が計画される以前の様子。(カンピドリオ広場の後ろ側にフォロ・ロマーノが広がっている。)


ミケランジェロによって再開発整備されたカンピドリオ広場。広場を囲む両側のパラッツォのファサードデザインは完璧なまでの美しさを持つ。


建築家ヴィニョーラによる教皇ユリウス三世のヴィッラ・ジュリア、地下二階のレベルに設けられたニンファエウムが特異な空間構成。現在は博物館となっている。


Posted by S.Igarashi at August 27, 2005 03:18 PM