発売前にAmazonから予約案内のメールが届いた時、そのタイトルに何か考えさせられるものを感じた。Last Danceは2010年にリリースされたKeith JarrettとCharlie Hadenとのデュオ・アルバム『Jasmine』と同じ2007年3月にKeith Jarrettの自宅スタジオで録音された音源を用いたアルバムである。アルバムタイトルの「LAST DANCE」とアルバム最後の曲「Goodbye」が暗示しているかの如くCharlie Hadenは7月11日ロサンゼルスで息を引き取った。両方のアルバムに別テイクの「Where Can I Go Without You」と「Goodbye」が収録されていたのも最後のデュオ・アルバムであることを表象する曲であろう。嘗てKeith Jarrettは彼のアメリカン・カルテットの時代にCharlie Hadenがドラッグの問題をかかえていたことを明かしている。C.Hadenはキースがリスペクトしていた音楽家だけにもうアメリカン・カルテットを続けることに限界を憶え、ECMのレコーディングで何度か共演していたゲーリー・ピーコックとスタンダード・トリオを組むことなったようだ。だから、『Jasmine』で二人が数十年ぶりに邂逅しスタンダード中心のデュオ・アルバムを制作したことに驚きもしたが、其処には何か蟠りのようなものを昇華する時の流れもあったのだろう、旧友同士による演奏は自然である。録音から7年の歳月を掛けてリリースされたこのアルバムの終章とも云える三曲の曲順にKeith JarrettとCharlie Hadenに加えてManfred Eicherからのメッセージも含まれているようだ。
Where Can I Go Without You. / Every Time We Say Goodbye. / Goodbye!
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