東京人の8月号は『特集・東京地形散歩 凸凹を遊ぶ』である。巻頭の座談会で陣内秀信氏が最初に語っているように1980年発行の東大・槇文彦研究室による「見えがくれする都市」(SD選書)が江戸東京の歴史を空間的に見る先駆けとなったことは間違いないようだ。そんな訳で学術的な研究発表から30年を経て...ブームが訪れたと云うことである。本号「地形散歩」の特集で川本三郎が残堀川を取上げ「東京の西をタテに走る川沿いを行く。」なる一文を寄せているが、彼は最近まで残堀川の事を知らなかったようだ。玉川上水との立体交差の写真も掲載されており、東京人で特集される前に訪れておいて良かったと思う次第である。他に「都内に点在する射撃場の痕跡」なる記事もあるが、図版が中途半端でこれでは意図が伝わらない。