川跡からたどる江戸・東京案内
菅原 健二・編著 (洋泉社・発行)
あのJEDI必携の『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』と『川の地図辞典 多摩東部編』の著者である菅原健二氏の最新刊である。出版社のサイトで書籍検索するとエンターテイメントに分類されているようだが、その内容は川跡からたどる江戸東京の近現代史である。明治維新、関東大震災、東京大空襲、東京オリンピック、そして昭和平成バブルと、幾多の災害や破壊に改造の生贄とされ、視覚から抹殺された川跡を探り都市の記憶をたどる一冊である。因みに表紙の地図は図説・明治の地図で見る鹿鳴館時代の東京でも用いられた参謀本部陸軍測量局『五千分一東京図測量原図』(明治9年〜明治17年)の「東京府武蔵國京橋区木挽町近傍」汐留付近である。そういえば日本地図センターから復刻版・参謀本部陸軍測量局『五千分一東京図測量原図』が出ると云うつぶやきを聞いたような...こんなものもあるし...期待したいのだ。
内容
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第一部 都心部を流れる神田川をたどる
第一章:江戸から昭和までの記憶が残る神田川
江戸・東京の「母なる川」神田川
隅田川への水路としてできた御茶ノ水
神田川に栄えていた河岸
日本最古の都市上水道・神田上水
松尾芭蕉と神田上水
江戸川公園と小石川後楽園に見る面影
江戸の六上水
第二章:消えた神田川の支流
三業地に谷端川の面影を見る
千川通りと『太陽のない街』
紙すきで知られた音羽川
池袋の地名と関係する弦巻川
歌舞伎町を流れていた蟹川
田安家下屋敷あたりから流れていた紅葉川
神田川との合流地点が移動した妙正寺川
桃園川と吉宗との関係
農業用水として利用された神田川笹塚支流
第二部 若者の街・渋谷に流れていた川
第三章:喧騒の街を流れる渋谷川
渋谷駅東口に見える渋谷川は潅漑用水だった
大岡昇平と渋谷川
生活排水路へと変わる
参道橋とキャットストリート
明治神宮内の清正井と南の池も水源
渋谷川に合流していた代々木川
新宿御苑内の泉池も水源
渋谷川に合流するイモリ川
忍者の組屋敷脇を流れていた川?
第四章:渋谷センター街も川だった?
水音が聞こえてくる宇田川遊歩道
水源は幡ヶ谷近辺の湧水
大岡昇平と宮益坂、道玄坂
宇田川橋と代々木練兵場
大名屋敷の池は水源になる?
水源の池があったとされる旧山内侯爵家
暗渠化された河骨川の光景
東京オリンピックが暗渠化を進めた?
第三部 水の都・江戸の面影を求めて
第五章:水路が張りめぐらされていた街をたどる
銀座界隈は「日本のベニス」だった
家康の江戸入府と道三堀
日比谷は海だった?
数寄屋橋の下を流れていた外濠川
外濠川の現在
江戸の外湊と内湊をつないだ日本橋川
日本橋川の河岸
高速道路に変わった楓川
楓川周辺には木材関連の町が集まる
八重洲通りは紅葉川の跡地
防衛施設だった八丁堀
外濠とともに開削された京橋川
河岸が果たした役割
三原橋が架かる三十間堀川
築地地域を囲む築地川
江戸のメインストリートにつながっていた西堀留川
東堀留川に架かっていた思案橋とは?
吉原遊廓を囲む浜町川
消えた歓楽地、中洲をつくる箱崎川
大名屋敷のあいだを流れた稲荷堀
江戸湊の中心にある亀島川
酒問屋街を流れる新川
新島原の廓堀だった入船川
埋め立てが繰り返された龍閑川
お玉が池と藍染川
溜池の排水路だった汐留川
付録 江戸・東京の川跡を歩くヒント
谷・田・窪・沢・瀬などの地名に注目
公園などの都市施設や公共施設に注目
道路になったケースがいちばん困難
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明日の「地図展inおおた」で『五千分一東京図には何が描いてあるか』という講演があるようです。恐らく復刻版・参謀本部陸軍測量局『五千分一東京図測量原図』の発売記念講演でしょう。
http://www.jmc.or.jp/event/chizuten_ota/
玉井さん、どうもです。
この本は『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』を手元に置いて、『川の地図辞典 で該当する地図を広げて読むと、成程と腑に落ち、実に良く解りますが....『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』が無いと...理解力は半分以下に落ちます。
Posted by: iGa at March 9, 2011 11:13 AM古山惠一郎せんせい、どうも、恐縮です。
70年代の「ガロ」はマニアにはそれなりの価格で取引されるでしょうが、拙著は季節物故にちり紙交換本と成り下がりますです。
Posted by: iGa at March 9, 2011 11:03 AMさっそく買いたい
以前ならすぐにamazonで買うところだが
ちかごろ、どうせなら本屋で買うことにしています。
amazonは検索のデータベース
新潟駅前のジュンク堂が気に入っているのだがいつも人が少ないので
なくならないかと気になります。
だから急ぎでなければ、そこで買うことでささやかにサポートしています
一週間後だなあ
復刻版測量原図御送付。手元にあっても書棚の肥だが、iGa氏なら都心散策のお供に。先日放送の州崎の埋め立ての様子なども想像しやすい。
本棚をばさばさ片付けてゆくと、残るのはもらった本が主になります。MADGuide初めiGA氏の本とか、渡辺真啓氏が静岡を引き払うときに捨てたガロとか、
Posted by: 古山惠一郎 at March 8, 2011 11:25 AMじんた堂さん、どうもです。
図版も体系的に消えた川を俯瞰するには最適で、これも鈴木理生氏の流れをくむ正当な東京本ですね。
Posted by: iGa at March 7, 2011 11:35 PM外出先でiGaさんのTwitterを見て、近くの本屋に飛び込み購入しました。じつに真面目に書かれた東京本、しかも図版が豊富で文章も読み易い。
Posted by: じんた堂 at March 7, 2011 10:07 PM