January 25, 2017

磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義

磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義
市ケ谷の文教堂書店で買うつもりもなく何気に手にした本書、そういえば昨年10月末に「東京新聞・新刊案内」で紹介されていたと思い出し、立ち読みを始めると、もう書棚に戻すことができず、そのままレジに。...博覧強記の二人が出合うと次から次と化学反応が起こるようだ、ライブで二人の話を聴けたらさぞかし面白かっただろう。逆に書籍名だけでは、Amazonから買うことはないだろう。本書・中表紙にあるサブタイトルの「戦後日本のモダニズムの核は、戦前・戦中にあった。」は、つい最近、出口治明・半藤一利の「世界史としての日本史」を読んだばかりなので世界史との関係性からみても興味深く、また「勝者によって記録された歴史」だけでない『B面昭和史 1926~1945』に通じるB面の現代建築史かも…敗戦の時、14歳の中学生だった磯崎新と敗戦の翌年に生れた藤森照信は15歳の年齢差による視座の差異を互いに補完しあい話が絶妙に広がりをみせる。その内容は...

目次
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序   語られなかった、
    戦前・戦中を切り抜けてきた「モダニズム」

第1章 アントニン・レーモンド吉村順三
  アメリカと深く関係した二人

第2章 前川國男坂倉準三
    戦中のフランス派

第3章 白井晟一山口文象
    戦前にドイツに渡った二人

第4章 大江宏吉阪隆正
    戦後一九五〇年代初頭に渡航
   「国際建築」としてのモダニズムを介して
    自己形成した二人

対談を終えて
おわりに
 『日本文化私観』を読み返す 磯崎新
 コルビュジエ派はバウハウス派をいかにして抜いたか 藤森照信
年表 1880〜1980
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と云うことで第一章から第四章まで各章毎に二人の建築家を対比させ、八人の建築家が戦前・戦中、そして戦後までモダニズムを介して建築とどう関わってきたのか、様々なエピソードを通して語られているのであるが、あの丹下健三の名が無いと訝しく思われるかも知れないが「序文」である『語られなかった、戦前・戦中を切り抜けてきた「モダニズム」』に於いて磯崎新は「今回の対談では、岸田日出刀、丹下健三、浜口隆一、浅田孝は脇役です。…中略…15年間の戦争中のそれぞれの日の動きが見えてくると面白いなと思っているんです。」と述べているが、やはり丹下健三は常に比較対象とされる建築家として最も多く引用され、或る意味「丹下健三・外伝」の体を成している印象もある。akiさんが「吉村順三 /1941年12月8日」で藤森照信が歴史家として建築界の巨匠と云われる人達に「太平洋戦争開戦の時、何を思ったか」と尋ねたことを書いていたが、磯崎新は「丹下さんは最後までしゃべらなかったね。」と…語っている。
磯崎新云う処のテクノクラート養成学校の東京帝大を出て、戦中戦後と国の方針に抗う事なく、後を振り返らず…である。

第1章の「アントニン・レーモンドと吉村順三」で藤森照信は2005年11月19日の「吉村順三建築展・記念シンポジウム」で語られたレイモンドの「軽井沢 夏の家」と吉村山荘との関係性を更に…それを磯崎新が丹下健三の長女と共に吉村順三の長女を訪ね、伺った戦前米国のレーモンド事務所から帰国した時の話で肉付け…等々(因みに吉村順三即品集1941-1978に掲載されている山中湖の山荘Cが丹下健三の先妻と長女の別邸。)
正確な日付を憶えていないのでレーモンド設計事務所の沿革で調べると1970年レーモンド展を松坂屋銀座店にて開催とあった。その展覧会を見ている時、会場内がざわつきだしたので、その方向に目を向けると車椅子とそれに寄り添うアントニン&ノエミ・レーモンド夫妻の姿があった。確か日本での仕事を引退して米国に戻る前の回顧展だったと思う。

俎上にされた建築家のしんがりは吉阪隆正であるが、レヴイ=ストロースの「野生の思考」に呼応できたのは吉阪さんだけだと、その特異性を述べているのが興味深い。網野善彦の日本海側を下にした日本地図は…その前に吉阪隆正が早稲田大学〈21世紀の日本〉研究会で発表したものと共通のアイデアに基づいていたと…。

そういえば...磯崎新と藤森照信を結びつける共通の人物に赤瀬川原平がいた。藤森照信と赤瀬川原平は路上観察学会とニラハウスの建築家と施主の関係...磯崎新と赤瀬川原平は大分時代からのネオダダの繋がり…とか…そんな二人のモダニズム建築談義、面白くない筈はない。

Posted by S.Igarashi at January 25, 2017 10:36 PM
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