昨年公開された映画「ストックホルムでワルツを」のモデルとなったモニカ・ゼタールンドのザ・ロスト・テープである。レナード・フェザーのプロデュースにより1960年3月10日〜14日に掛けてN.Y.のスタジオで録音されたスタンダードナンバーをメインにしたジャズボーカルのアルバムであるが、その後、レコードレーベルが倒産、30数年の間、行方不明になっていたテープからCD化されたのが1996 年と云うことで、アルバムタイトルもそのまま『The Lost Tapes @ Bell Sound Studios NYC 』となっている。米語を母国語としない歌手の性か、逆に丁寧に唄われており聴き取りやすく、空耳のつけ入る隙がない。
一般にジャズのスタンダードナンバーとして取り上げられている曲と云えば本来のジャズボーカルからブルース、ミュージカル・ナンバーにポップスと米国発の曲が殆どだが、中には「枯葉」等シャンソンも混ざっている。Miles DavisやJohn Coltraneも演奏しているDear Old Stockholmは元々はスウェーデンのトラディショナルソングであるが既にジャズのスタンダードナンバーと言って良いくらい、多くのジャズミュージシャンに演奏されている。しかし、今までこの原曲をあまり聴く機会がなかったが。このアルバムでモニカは「Dear Old Stockholm」をスウェーデン語のタイトル「Ack, Värmeland du sköna」のまま母国語で唄っているのである。
Ack, Värmeland du sköna