June 08, 2015

東京人 july 2015

東京人7月号は「歌謡曲の東京」の特集である。自分の好みは別として幼児期に刷り込まれた流行り歌の類いに懐かしさを憶えるのは自然な成り行きだろう。例えば東京と限定されるとわたしらが小学校低学年の時に流行った島倉千代子の「東京だよおっ母さん」とかコロンビア・ローズの「東京のバスガール」やフランク・永井の「有楽町で逢いましょう」等々を思い浮かべてしまうのだ。しかし、特集『歌謡曲の東京』巻頭のイラストは矢吹申彦描くところの東京生まれのシンガーソングライターを配した東京地図であって歌謡曲の歌手ではない。なんとなく編集者の世代感が垣間見える気がするが…この特集では演歌も歌謡曲もフォークもJ-POPも引っ括めて大衆消費音楽を歌謡曲と定義づけているようである。
こうした流行り歌の類いは自分が生れるよりも前の歌も物心が付いた頃からラジオ等で耳にしているので、案外知っているものだが、成人してからは自分の好みで音楽を聴くようになると、AM放送やテレビの歌番組から遠ざかり、何が流行っているのか全く分らなくなる。
それに引き替え、昔の曲はタイトルも覚えてないくせに詞を読むとメロディーが浮かんでくるから不思議だ。この特集の「My Best Tokyo Song」で佐藤剛氏が取り上げている「水原弘 黄昏のビギン」もそうだった。タイトルも覚えてないし曲が想像できなかったが、詞を読むとメロディーが浮かんできた。これはあたしが小学四年生の年にリリースされた六輔・八大コンビの曲だ。
YouTube:「黄昏のビギン 水原弘

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特集『歌謡曲の東京』 あの頃のトーキョー風景

●対談・皮膚で感じる東京という「地方」の違い(文・天辰保文)
 鈴木慶一×宮沢章夫 
 ムーンライダーズ、はちみつぱい、はっぴいえんど、松任谷由実、シュガー・ベイブ、高橋幸宏、仲井戸麗市

●わたしの音楽、東京の原風景・大貫妙子(文・前田祥丈)
  
●没後十年 市井を愛したフォークシンガー、高田渡のまなざし 高田漣(文・染野芳輝)
 
●ふっと気の抜けたような都市の「隙間」曽我部恵一(文・廿楽玲子)
 
●対談 小宮山雄飛×尾関憲一 東京出身vs地方出身 渋谷・原宿、街をスケッチする視線(文・大谷隆之)

●東京ソング変遷史「東京」から「TOKYO」へ(文・太田省一 )

●明治のハイカラ、昭和のふるさと 膨張する「東京」フィクション 片岡義男
 
●My Best Tokyo Song
 新川二郎 東京の灯よいつまでも(文・太田和彦)
 RCサクセション 甲州街道はもう秋なのさ(文・寺岡呼人) 
 RCサクセション いい事ばかりはありゃしない(文・角田光代)
 荒井由実 中央フリーウェイ(文・伊藤雅光) 
 近田春夫&ビブラトーンズ 金曜日の天使(文・サエキけんぞう) 
 水原弘 黄昏のビギン(文・佐藤剛)  
 黒沢明とロス・プリモス ラブユー東京(文・関川夏央)
 太田裕美 木綿のハンカチーフ(文・斎藤環) 

●上京・望郷ソングのなかの風景 文・藤井淑禎 

●共同作業で時代を先取りする レコード会社専属から 職業作家の時代へ 文・北中正和

●「東京ソング」クロニクル構成・大谷隆之 
山の手 すべては、はっぴいえんどから
下町 原東京っ子の見た風景
西郊 中央線ミクスチャー文化
目黒・世田谷 新たな音楽の発火点

●「東京」を感じさせる名盤20選
・J−POP以前の上京ソング
 バブル期前までは、まだ輝いていた東京
・J−POP以降の上京ソング
 「東京ソング」コンピレーションCDの解題/もはや妄想の世界としての対象
・衒いもなく東京の地元愛を歌う若者たち/世界観を演出する「見立て」の美学
・カラオケに見る「東京ソング」今昔/東京ソングと鉄道愛

●ムード歌謡と銀座 文・鈴木啓一

●故郷の台南を思い、台北で日常を歌う 盧廣仲

●新宿歌謡散歩 花園町の夢は、夜開く 文・泉麻人
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Posted by S.Igarashi at June 8, 2015 10:59 AM
コメント

「中央フリーウェイ」は部分開通したばかりのころに兄の運転で八王子から調布まで試走、下り車線で戻ってくる時に「右に見える競馬場 左はビール工場」辺りでエンジンオイルが抜け路肩に停車、原因は試走前にオイル交換したGSのアンちゃんのオイルパンのボルト締めつけ不良…JAFが来るまで待っている時に、上り車線で、車がスピン、事故には至らなかったが、誰もが高速運転に不慣れな時代の話でした。

そういえば、「木綿のハンカチーフ」を初めて聴いたのは高木事務所の旅行で泊まった南箱根の松坂屋の保養所のカラオケルーム...岡野くんが好きだったみたい...あたしは島影さん云う処の退廃的なJazzばかり聴いていたので、当時の流行り歌は何も分らなかった。

Posted by: iGa at June 8, 2015 06:33 PM

8年しか住んでい無いので、時間的に区切りやすいですね。
「中央フリーウェイ」というのは、元カノのところで朝まで飲んで、二日酔いで東名高速を突走った時の、富士山の情景であります。
「傘がない」は西武池袋線と山手線の交差下にあった踏切でN君の相合傘とすれ違った時の情景であります。
「赤提灯」は目白駅西口にありました。
「恋の西武新宿線」というのもあったな。

Posted by: 古山恵一郎 at June 8, 2015 02:16 PM