May 02, 2015

Macondo

ガルシア・マルケス(Gabriel José García Márquez)の小説に出てくる架空の街・マコンド(Macondo)のモデルとなったとされているのが、彼が祖父母の許で少年時代を過ごしたAracatacaである。その土地にあったのは米国大資本によるプランテーションだが、奇しくもマルケスの生れた年に農場労働者によるストライキが勃発、軍による弾圧、そして多くの犠牲者を出し、米国大資本は撤退。その米国大資本による暴力的な進出を落葉とつむじ風に喩え、マルケスは1955年に出版された最初の小説『落葉』の前文に記している。

そのバナナ会社とはユナイテッド・フルーツ(United Fruit Company)だが、現在の社名・ブランドは誰でも知っているあれである。
これは20世紀前半の話しと片づけられない。21世紀でも多国籍ブランド企業により、農水産業は歪められ、さらにTPPにより追い討ちを掛けられる気もする。絞り取るだけ絞り取って逃げ去ってゆく、似たような例は国内にもありそうだし、日本そのものがMacondoになるやも知れぬ。

中南米の近現代史は嘗ての宗主国に代わり支配力を強めた米国大資本やマフィアそしてCIAに対する抵抗の歴史だが、それは単に図式的な資本主義vsレーニン主義と云ったものではなく、ラテンアメリカに生まれた人々の自立性を守る人間の権利そのものと思える。
...等と考えたのはひょんなことから『グアバの香り』について5分で語れと云うミッションがあったからなのだが…

辺境の地にもストリートビューが...小説の読み方も違ってくる気がする。

Posted by S.Igarashi at May 2, 2015 10:22 PM