July 10, 2013

命を救った道具たち

命を救った道具たち高橋 大輔・著
この著者に対する知識は一切持ち合わせていなかったが東京人 8月号掲載のエッセイスト・平松洋子による書評を読み、ついAmazonでポチってしまった。恐らく藤原新也の「人間は犬に食われるほど自由だ」と云う言葉が何処かに引っ掛かっていて、本書「腰巻き」にも書かれているサハラ砂漠で野犬に囲まれた時のエピソードに反応したのだと思う。本書は45の道具とそれに纏るエピソードが綴られている。紹介されている45のアイテムは、ミニマグライト2AA、ジッポーライター、ジップロックフリーザーバック、イリジウム衛星携帯電話、又鬼山刀、フィルソンウールパッカードコート、モレスキン、ダナーライト、ロレックスエクスプローラ、釘、スキットル、ナイジェル・ケイボーン、ピュア、スントMC-2G、外国語の辞書、ガスマスクバックMkVII、1ファージング銅貨、エスビット ポケットストーブ ミリタリー、シャワーキャップ、『ナショナル ジオグラフィック』、ライカM9、銀座梅林の箸袋、温度計、ウィリス&ガイガー、地球儀1745、ソニー短波ラジオ、ボウタイ、ファイヤー・アイロン、ぺんてるマルチ8、タスコ#516、巻き尺、オスプレイ ソージョン28、パンダナ、シエラカップ、ケフィイエ、リライアンス、GPS受信機、アネロン、探検のガイドブック、モスキートネット、ブライトリング エマジェンシー、パックセーフ カバーセーフ100、スイススパイス、壊れた羅針盤、探検旗である。直ぐに言葉からイメージできる物から、何のことか分からない物まで多種多様である。

誌面構成は一つのアイテムで見開きの四頁を使用、最初の見開きは右頁にタイトルと本文、左頁には、そのアイテムのカラー写真をレイアウトしている。次の見開きの右頁に本文とそのアイテムを使用した場所を世界地図にプロット、左頁にはエピソードに関する写真と本文がレイアウトされている。何れのアイテムも著者自身の失敗を含む体験に基づいて選ばれている。この頁の写真はサブマリンパンツとフライトパンツだ。海深く潜る潜水艦の乗員の為に作られた作業着と、空を飛ぶ飛行機のコクピットに身体を固定した乗員の為の作業着、どちらも自由の利かない姿勢でも使いやすい位置にあるポケットがミソである。

何れのアイテムもブランドやネームバリューやカタログスペックを基準に選ばれたものではなく、自身が単独で冒険旅行する際に身に付け、その道具と共に生還できた物である。中には「銀座梅林の箸袋」や「1ファージング銅貨」とかジンクス担ぎのお守りも含まれているのも一つのリアリティかも...、そして必ずしもモノ本来の用途や機能にこだわらない事例も多くあり、逆境で生き残るには知識だけでは無理、知恵と機転が必要と云う事だろう。

3.11以後、矢鱈と「安全・安心」が叫ばれているが、そんなものは神話にしか過ぎないこと3.11で思い知った筈なのに、政界、経済界、報道を含め、懲りない輩が多すぎる。
現実と虚構の見分けが付かない所為か、近頃、携帯を見ながらチャリを漕いでる輩や、駅のプラットホーム際を歩いている輩など、サバイバル意識ゼロの人間が老若男女合わせて矢鱈と増殖している。兎も角、自分の命は自分で守らなければいけないと肝に銘じる次第である。

Posted by S.Igarashi at July 10, 2013 08:43 AM
コメント

そういえば、尾瀬ケ原湿原の鹿をレーザービームで追い払おうと試みているようですが、効果ないようですね。
又鬼山刀は万能ですね。柄を付けると槍にもなるそうで、熊猟の際、マタギの必須アイテムだとか。

Posted by: iGa at July 22, 2013 09:16 PM

面白そうですね。さっそくtacが図書館に予約しました。
ミニマグライトが野犬を撃退するとはうれしいですね、
つい引き出しから、ミニマグライトとジッポのライターを取り出しました。ロレックスだのスントだの、値の張るものはありませんが・・・
又鬼山刀もいいけれど、持ち歩いたらすぐにお上に取り上げられる。

Posted by: 玉井一匡 at July 22, 2013 07:09 PM