いのちと放射能 (ちくま文庫)
柳澤 桂子 (著)
著者は般若心経の現代詩訳『生きて死ぬ智慧』でも知られた生命科学者であり世界6月号『原子力からの脱出』にも寄稿されています。
本書はチェルノブイリ事故の2年後、1988年11月に地湧社から発行された『放射能はなぜこわい--生命科学の視点から』に「文庫版への長いあとがき」を追加し、タイトルを変えて「ちくま文庫」から2007年9月に発行されたもので、今年の4月に二刷され、手にした文庫版は既に四刷となっていました。3.11以降、人々のいのちに悪影響を与える放射能への関心の高さがうかがえます。
プロローグは、米国に於いて、サリドマイド薬害を未然に防いだケルシー女史の話から始まり、彼女のように正義感強く、勇敢になれるか、著者自ら自問自答し...
....原子力問題においても、この人間の弱さがいちばん問題なのではないでしょうか。大きな組織に組込まれると、個人の意志とは関係なく、不本意な動きをさせられてしまうことがあります。
....中略....
私は放射線がどのように人体に及ぼすをよく知っていました。
放射能廃棄物の捨て場が問題になっていることも知っていました。
けれども、原子力発電のおそろしさについては私はあまりにも無知でした。
....中略....
盛り上がる国民の反原発運動に対して、国や電力会社は感情論であるという見解を振りかざしています。たしかに、自分の目で確認できないことに関して、私たちは何を信じてよいかわからなくなることがあります。
ただひとつ、私は生命科学を研究してきたものとして、はっきりと言えることがあります。それは『放射能は生き物にとって非常におそろしいものである』ということです。そのことをひとりでも多くの方に理解していただくように努めることが「私のいま、なすべきことである」と思います。
内容
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・はじめに
・私たちは星のかけらでできています。
・DNAはいのちの総司令部
・DNAは親から子へ受けつがれます。
・放射能を浴びるとどうなるのでしょう。
・弱い放射能がガンを引き起こします。
・放射能はおとなより子どもにとっておそろしい。
・お腹の中赤ちゃんと放射線
・少量の放射能でも危険です。
・チェルノブイリの事故がもたらしたもの
・人間は原子力に手を出してはいけません
・これ以上エネルギーが必要ですか
・それはこころの問題です
・ひとりひとりの自覚から
・あとがき(1988/10)
・文庫版への長いあとがき(2007/8)
・解説 永田文夫(三陸の海を放射能から守る岩手の会 世話人)
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内容の一例として『お腹の中赤ちゃんと放射線』の一部を紹介すると...
胚や胎児に対する放射線の影響は、受精後どの段階で放射線を受けるかによって大きくちがってきます。
細胞が分裂して球状のかたまりをつくっている時期に放射線を浴びると、胚は死んで流産してしまいます。
からだのいろいろな部分をつくっている時期に放射能にさらされると、奇形児が生まれます。
かたちができてしまってから放射線を浴びると、生まれてからガンになります。
....中略....
放射線はDNAに傷をつけたり、切断したりして、突然変異を引き起こします。その結果、細胞がガン化したり、奇形児が生まれます。また表面にあらわれないDNAの傷が子孫に伝えられますので、長い間に、生物の中にDNAの損傷が蓄積してゆく可能性があります。
shinさん、どうもです。
放射能汚染の蔭に隠れてますが、震災で倒壊した工場や化学物質貯蔵タンクによる海洋汚染もありますからね、
ところで、非電化工房では放射能対策用の逆浸透幕式浄水器(米国製)を数量限定で原価で分けてくれるとか...です。
http://www.hidenka.net/cgi-bin/mailmagazine/41.html
Posted by: iGa at July 3, 2011 09:37 AM柳澤桂子さんの記事読んでいて思い出しました
三重大学の勝川俊雄准教授、専門は水産資源学
http://katukawa.com/?p=4549
東京電力や国の情報が分かりにくいので自発的にブログで海洋汚染を発表しています
紹介していくつもりですが、海洋汚染はまさに深刻です
官僚も顔が見えないって処が放射能に似て、彼らによる被害でこの国が疲弊してます。
Posted by: iGa at June 10, 2011 06:27 PM見えないってのがなんともねえ。
いわきの国は風評に疲れ果てています。