December 12, 2009

Miles In Tokyo


MILES DAVIS The Complete Columbia Album Collectionに収録されている"Miles In Tokyo"を久しぶりに聴いた。音源は1964年のMiles初来日公演のライブであるがLPがリリースされたのが1969年、つまり40年前である。ライブレコーディングを発掘し米CBS本社と交渉しレコード化したのは、ゲイリー・ピーコックのEASTWARDをプロデュースした伊藤潔氏である。こちらのサイトにある伊藤潔氏のバイオグラフィーを読むと、氏が大学を卒業しCBS-SONYに入社した年の仕事である。会社が若いと新人でもモチベーションがあれば何でもやれる典型である。実力とか実績なんてものはその後勝手に付いてくるのだ。

SONYが音楽業界に進出し米CBSレコードの国内販売権を獲得してCBS-SONY(現・Sony Music )を設立したのは1968年のこと、それまでCBSレコードの国内販売権を持っていたのは日本コロムビアであったが、レコードジャケット等は原盤に忠実でなくMilesの"Milestones"などは、文字を主体としたジャケットデザインで、海賊版と勘違いされそうな恥ずかしい代物であった。いつ販売されるか分からない国内盤を待つのではなく、ジャズコレクターを標榜するものは高くても輸入された原盤を手に入れるのが常であった。CBS-SONYの音楽業界への進出は国内音楽業界の洋楽部門の奇妙な風習に一石を投じるものであった。MilesのCBS原盤に忠実なオリジナルデザインによる国内盤を手にするようになったのはCBS-SONYになってからであった。それだけにこの"Miles In Tokyo"がローカルな国内盤だけに終らず、MILES DAVIS The Complete Columbia Album Collectionに加えられた事の意義は大きい。
近年、些か更年期障害の傾向が見られ、独善的に思えるSony Musicであるが初心に戻って、音楽ファンが何を欲しているか考え直して貰いたいものである。

追記:余談ではあるがコンサートのメンバー紹介(まだ声が若い)は故・いソノてルヲ氏、嘗てNHK-FM「ジャズ・フラッシュ」でエンターテインメント系のジャズを担当していた。

Posted by S.Igarashi at December 12, 2009 10:15 AM