反貧困
―「すべり台社会」からの脱出
湯浅誠・著 岩波新書・刊
『うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまう。今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。そんな社会にはノーを言おう。合言葉は「反貧困」だ。貧困問題の現場で活動する著者が、貧困を自己責任とする風潮を批判し、誰もが人間らしく生きることのできる「強い社会」へ向けて、課題と希望を語る。 』(ブックカバー見返しより)
平成10年(1998)から年間三万人を超えた自殺者数の半分は無職だと云い、その半分(全体の24%)は経済問題が動機と考えられている。一方、嘗て年間一万人を超えていた交通事故による死亡者数は年々減少する傾向にある。若者の車離れを考えても飲酒運転対策やシートベルト等の安全対策も功を奏していると考えられる。やればできるのである。社会のセーフティネットが機能すれば不幸な人々が年間三万人を超えることもないであろう。半世紀以上、生きていると「すべり台社会」の生贄にされ音信不通となってしまった人が幾人かいる。理由は介護の問題、会社の倒産等々、決して他人事で済まされる事ではない。私だったかも知れない彼等と『あの時は大変だったね。』と笑い話で語れる明るい未来を私は望んでいる。
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第一部 貧困問題の現場から
・第一章 ある夫婦の暮らし
・第二章 すべり台社会・日本
1 三層のセーフティネット
2 皺寄せを受ける人々
・第三章 貧困は自己責任なのか
1 五重の排除
2 自己責任批判
3 見えない"溜め"をつくる
4 貧困問題をスタートラインに
第二部「反貧困」の現場から
・第四章「すべり台社会」に歯止めを
1「市民活動」「社会領域」の復権を目指す
2 起点としての〈もやい〉
・第五章 つながり始めた「反貧困」
1「貧困ビジネス」に抗して エム・クールユニオン
2 互助のしくみを作る 反貧困たすけあいネットワーク
3 動き出した法律家たち
4 ナショナル・ミニマムはどこに? 最低生活費と最低賃金
・終章 強い社会を目指してー反貧困のネットワークを
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YouTube:視点・論点 派遣切り(湯浅誠)
光代さん どうもです。
最近は統計的な場合を除いて、文中の「自殺」という言葉にも抵抗があって「自死」を使うようにしています。
これも「鬱」に罹る人が増えていることも問題ですね。『頑張らなくちゃ』とか『人に迷惑を掛けてはいけない。』と自分を追い込んでしまい。最後に『自己責任』を突きつけられたら立つ瀬がないというものですね....。
Posted by: iGa at January 15, 2009 09:07 AM丁度 この二三日 同じ問題をブログにアップしようかと思っていました。
交通事故の死者が 減って行っているという明るいニュースの裏で、自殺者のこの数!
三万人ですもの・・・・・。
自分のたった一度の人生を そんな形で終わらせるに至るまでの苦しみや絶望を思うと、オロオロしてしまいます。何もできなくて。
私が今のブログを始めた理由の1つでもあるのです。