June 17, 2006

ポストコロニアリズム的ワールドカップ観戦

ポストコロニアリズムとは強姦から生まれた子どもだ。』これはガヤトリ・スピヴァクの言葉だそうだが、ガヤトリ・スピヴァクを紹介している岩波新書のポストコロニアリズム(本橋哲也・著)には出ていない。この言葉は角川新書・ケンカの作法―批判しなければ、日本は滅ぶ収録の辛淑玉、佐高信、上野千鶴子による鼎談で上野千鶴子が紹介したものだが、一言でポストコロニアリズムを表現している。折しもワールドカップ開催中の16日、フランス議会上院で新移民法が可決されたと云う。旧植民地からの不法移民を制限し国内の雇用安定を狙う意味があるかも知れぬが、これでフランスは二度とワールドカップで優勝する可能性を失ったような気もする。ワールドカップとは旧植民地と旧宗主国とのプライドを掛けた戦いでもあり、旧植民地にとって存在理由を世界に誇示する場でもある。その状況に変化が起きたのは、旧宗主国が旧植民地出身の選手を取り囲み始めたことにある。1998年のフランス優勝はアルジェリア移民二世のジダンが齎したものである。
イングランド対トリニダード・トバゴの試合は正に旧宗主国と旧植民地との戦いであった。やっとの思いで勝利したイングランド選手を支配する焦燥感と悲愴感は何なのだろうか、そこには歓喜の表情を伺い知ることはなかった。

Posted by S.Igarashi at June 17, 2006 10:44 AM
コメント

上野千鶴子なんて石原慎太郎の天敵ですから、差しでケンカすれば面白いと思うけど、慎太郎は何だかんだと裏から手を回す事しか考えていない、ほんと狡いよね。

数年前、メジャーリーグのオールスター戦を報道した朝鮮日報の記事で「日本のプライド、イチロー」と表現されていたのを読んで、違和感を覚えたが、これは韓国のポストコロニアリズム的記述をなのだと理解しましたが。

Posted by: iGa at June 18, 2006 10:59 AM

iGaさん、こんばんは。エントリー冒頭のスピヴァクの発言、直球ストレートですね。角川新書、私も買うことにしました。辛・佐高・上野って、みんなケンカが強い人たちですね。

Posted by: わきた・けんいち at June 17, 2006 09:34 PM