Circle Paris-Concert1971年2月21日録音。
1970年から1971年のほんの僅かな期間、ジャズシーンを疾風の如く駆け抜けたCIRCLEのライブアルバムである。ジャズの場合、どんなにパーマネントなグループであろうと、その演奏は常に一期一会である。CIRCLEはチック・コリアのピアノ・トリオ(チック・コリア、ディブ・ホランド、バリー・アルトシュル)に単にアンソニー・ブラクストンが加わったカルテットとは意味が異なる。チック・コリアは「このパリの特別な夜に、この夢は実現した。」との言葉を残してCIRCLEを解散してしまう。そして二度とCIRCLEの他のメンバーとセッションすることすらしなくなった。確執があっての解散と云うよりも、チック・コリア自身が燃え尽きてしまったのだろう。このままCIRCLEを維持し演奏を続けることは自らの命を縮めることに気付いたのではないだろうか。同じメンバーによるピアノ・トリオによる演奏と比べてみても、チック・コリアの緊張の度合いも演奏の密度も異なる。タイトでスリリングなイマジネーション溢れる演奏はフリージャズのフアンにとって醍醐味であるが、少なくともチックにとって骨身を削る行為だったのだろう。既にチックの"return to forever"は懐メロとなってしまったが、34年前、チック・コリアが燃え尽きたパリの夜の演奏は未だに新鮮味が失われていない。
1971年1月11〜13日ミュンヘンにて録音、Circleからアンソニー・ブラクストンのいないホーン・レスのピアノ・トリオ(チック・コリア、ディブ・ホランド、バリー・アルトシュル)による演奏である。同じトリオによる1970年4月録音の"ザ・ソング・オブ・シンギング"が2006年3月に東芝EMIよりBLUENOTE決定版1500シリーズとして廉価版が発売される予定である。そして三つのアルバムに共通で演奏されるのがウェイン・ショーターがマイルスのアルバムに提供した"ネフェルティティ"である。iTuneでマイルスによる演奏も含めて聴き比べるのも一興であろう。