June 06, 2005

冤罪を生むもの

70年代の小劇場ブームの火付け役となった"つかこうへい"の「熱海殺人事件」は警察の取調室を舞台にした演劇である。テーマとなっているのは「事件は現場で起きているものではなく、取調室で刑事によって作られるものである。」というものである。アイロニカルな笑いを生む屈折した演出は観客に自虐的なカタルシスを残し幕となる。しかし密室で行われる警察の取調の様子を"つかこうへい"は一度も見たことがない筈である。取調室に弁護士が同席することも、公正な取調が行われることを検証するためのビデオ撮影、即ち「取調べの可視化」も行われていない。数年前に日韓の弁護士団体が共同で「取調べの可視化」を求める運動を起こし、韓国では「取調べの可視化」が実現されることになったようだが、日本では民主党による議員立法も与党により否決廃案になっている。先進国と云われている国で「取調べの可視化」が行われていないのは日本だけであり、あきらかに基本的人権を無視した憲法違反でもある。今年、再び民主党によって議員立法されているが、このメディアも積極的に取り上げない法案の推移を見守りたい。
中村正三郎のホットコーナー・テレビ版噂の眞相「日本のタブー・検察ファシズムの闇 」
「取調べの可視化」についての意見書 日本弁護士連合会
民主党議員立法「刑事訴訟法の一部を改正する法律案(弁護人立会権、取調べ可視化)

Posted by S.Igarashi at June 6, 2005 03:39 PM | トラックバック
コメント

昨晩のTVニュースで取り調べ中の女性に性的な関係を強いた警部補が逮捕されるという事件があった。こうした事件が起こるのも「取調べの可視化」が行われていないからである。警察発表そのまま記事にして密室による取調に原因があることを追求しないメディアとはなんだろう。

Posted by: iGa at July 8, 2005 11:26 AM