February 07, 2005

ピットイン・ニュージャズホール

昔、ピットイン・ニュージャズホールがあった。新宿通りと靖国通りに挟まれた伊勢丹駐車場の向かい側、大昔のピットインから伊勢丹寄りに一件くらい離れたところに入り口があり、そこから二階に上って右側の突き当たりの空き室がピットイン・ニュージャズホールだった。ピットインは飲食店としてのジャズクラブだったけれど、ピットイン・ニュージャズホールは演奏を聴かせるだけの場であった。富樫雅彦を襲った不幸な事故(事件)の後、トリオを組んでいた佐藤允彦は僚友を失い一時ジャズクラブでの演奏は控えていた。そうした時期にピットイン・ニュージャズホールはできた。そこで佐藤允彦がソロピアノを弾いていた。聴衆は両手の指が余る程度しかいなかった。まだジャズのソロピアノが認知されていない頃の話。他にアルバートアイラーのようにバスクラリネットで咆哮する高木元輝のインプロビゼーションと豊住芳三郎のパーカッションのデュオをピットイン・ニュージャズホールで聴いた。これも、豊住芳三郎がまだ美少年で長髪でベルトレスのジーンズで決めていた頃の話。諏訪優がギンズバーグの詩を朗読していたのもピットイン・ニュージャズホールだった。ピットイン・ニュージャズホールは僅か数年で閉鎖された。まだ新宿が元気だった頃の話。

Posted by S.Igarashi at February 7, 2005 10:18 AM