December 22, 2004

ユーミン・コンプレックス

先日の『「ブログの力」出版記念ミーティング』のとき、隣にいた沖山さんと話していたときに八王子のことが話題になった。何のことからか空襲の話になり、八王子の焼け野原にぽつねんと焼け残った建物の写真が残されているが、それが荒井呉服店だったと云うことから、話は飛躍して「ユーミンコンプレックス」の定義について話始めた。沖山さんはユーミンと同い年だから何となく想像がついている。それは昭和三十年代に少年少女時代を過ごした人に共通する意識でもある。

荒井由実時代の「ユーミンコンプレックス」を形成するものは昭和三十年代に流入したアメリカン・ポップスやアメリカン・ホームドラマによって、横田や立川、相模原、座間等の米軍ハウス、代々木公園にあったワシントンハイツ等の日本の中のアメリカ、その「結界」の向こう側で行われている消費生活を見せつけられたことによる子供ながらの憧れ。しかしそれは見果てぬ夢でもあった。昭和三十年代そこにはまだ超えられぬ壁が存在した。「憧憬」と「結界」によって「ユーミンコンプレックス」は成り立っている。
ポスト・ユーミン世代には「憧憬」はあっても、既に「結界」はなくなっている。だから彼らは臆面もなく「dream came true」と言い切れるのである。

Posted by S.Igarashi at December 22, 2004 10:15 AM
コメント

まれな倍音成分を発する声帯を持つユーミンは、自分の本当の居場所がまだわからないまま、TOKYOという結界の中で困惑しているように見えるのです。
かつて、モンゴルの平原に立っていた彼女はステキでした。
アメリカが憧憬だった時代はそれなりに幸せだったのかもしれないと、インターネットハイウエーの先の渋滞にはまる昨今、思いはじめているのです。

Posted by: 栗田伸一 at December 22, 2004 11:19 AM