September 14, 2004

ディーゼル革命・帰ってきたTV CAR GRAPHIC

先週土曜日深夜と言うよりも9月12日(日曜)の未明にテレビ朝日で「ディーゼル革命」が放映された。翌日、予約録画しておいたビデオを再生すると、今や懐かしい「TV CAR GRAPHIC」のキャストで番組構成されていた。「TV CAR GRAPHIC」が消えてから自動車関係の番組はテレビ神奈川制作の新車情報2004くらいしか残されていない。新車情報2004のMC三本和彦氏も番組内で再三にわたってディーゼル・エンジンの有効性を訴え続け、日本のディーゼル・エンジンへの対応のまずさに対して、このままではヨーロッパに後れを取ってしまうと警鐘を鳴らし続けている。そんなこともあってテレビ番組表の片隅にあった「ディーゼル革命」の文字が気になった。
番組は、5月末に開催された“ツインリンク もてぎ”における『Diesel Day in Japan 2004』の取材を中心に一般道路での走行、ディーゼル・エンジンの命でもある燃料噴射装置のインジェクター製造の製造現場、そのインジェクターを生産するボッシュ・ジャパンへのインタビューで構成されていた。

番組はヨーロッパで革命的に進化しているディーゼル・エンジンを国内でもっと普及させる目的で作られたパブリシティ番組である。その旗振り役はディーゼル・エンジンの燃料噴射装置製造トップのドイツ系企業ボッシュである。以外だったのは、その燃料噴射装置は日本国内のボッシュ・東松山工場で生産され輸出されていたことである。ミクロの単位の精度を要求されるインジェクターは半導体工場に準ずるクリーンな環境で製造されている。

ディーゼル・エンジンの問題はガソリンエンジンに比べて遥かに高圧のシリンダー内に燃料を送り込むことにある。それがが正しく制御されないと、燃料の軽油は不完全燃焼を起こし、燃えかすが黒煙となる。日本ではペットボトルに入れられた炭素粉末を振りかざした都知事のパフォーマンスによって、だからディーゼル・エンジンは駄目なんだというレッテルを貼られ、それが定着してしまった。その後の国内のディーゼル・エンジン対策は、黒煙除去装置の取付を義務化した、正しく後ろ向きの対策でしかない。問題は出口ではなく入り口にある。その入り口に軽油を完全燃焼させる対策を施さなければ意味がない。
ヨーロッパでは自家用車の半分はディーゼル・エンジンだという。リッターカーと言われるクラスの小型大衆車にとって低回転域で高トルクを発生するディーゼル・エンジンは、ガソリンエンジンに比較してパワーもあり、安い軽油でその上、燃費もよく、欠点である不完全燃焼による黒煙問題とエンジンの震動音がクリアされれば、CO2排出量も少なく理想的なエンジンとなる可能性を秘めている。
ボッシュの取り組みは燃料噴射から排出ガス後処理までの環境ソリューション先端技術を目指しているようだ。それらが可能になったのは高性能の組込み型マイクロチップの出現、その電子制御によって高圧(海底6000mくらいの圧力)による燃料噴射を5回に分けてシリンダーに送り込むことに成功している。完全燃焼させれば排ガスはクリーンとなる。ガソリン・エンジンにしろ、ディーゼル・エンジンにしろ排ガス対策の目標値はゼロ・エミッションである。
2002年にVWの1リッターカーの試作車でリッター112.4キロという驚異的な燃費を実現している。ホンダも自社開発の2.2リッターディーゼル・エンジン搭載のアコードをヨーロッパ市場向けに販売するようである。このディーゼル・アコードはディーゼル・エンジン市販車としての世界最高速を記録したという。
何れにせよ、資源の有効利用として原油精製の各段階で得られるエネルギー資源を効率良く用いることが求められている。ディーゼル車を否定してガソリン車だけが走ると云うことは、エネルギー効率の面から考えても問題が多いのである。
新世代ディーゼルの真実
『Diesel Day in Japan 2004』

Posted by S.Igarashi at September 14, 2004 11:07 AM | トラックバック
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