April 12, 2004

TinyHouse "Little Emo"

玉井さんが翻訳されたタイニーハウスに触発され、昨年「タイニーハウス」をCADの課題に取り上げた。これは、学生に見せるための見本として作成したもの。

Palladian Barrack "Littel Emo"
パラディオ風バラックをパロディー風なバラックと読み違えても、パラディアン・バロックと勘違いしても差し支えない。パラディオによるVillaEmoを下敷にこの小さな菜園に付属する週末小屋はデザインされている。VillaEmoはパラディオによって1559年から1565年に掛けて北イタリアはヴェネト州トレヴィーゾのファンゾーロに造られたヴィッラである。パラディオが設計した多くのヴィッラの中でもVillaEmoは農作業の場を最優先にした田園風なヴィッラ(ヴィッラ・ルスティカ)となっている。VillaEmoの南からエントランスポーチに至るアプローチは緩やかなスロープとなっており、そこは収穫した穀物を日干し乾燥する場ともなっている。主屋の両翼にはバルケッサと呼ばれる納屋があり、穀物倉庫、ワイン貯蔵庫、厩舎等が設けられ、南面はロッジア(回廊)となっており、屋根にはコロンバーラ(鳩小屋)が設けられている。都市生活者であったヴェネチア貴族の為に建設されたヴィッラは理想的な田園生活を過ごすための舞台でもあった。

Palladian Barrack "Little Emo"
パラディオによるVillaEmoを下敷きにデザインされたこの週末小屋は規模に於ても、仕様に於ても比較にならないほど貧弱であり、その外観はヴィッラと云うよりモダン・バラックと呼ぶのに相応しい。主屋は4m四方の総二階、両翼に下屋が設けられサニタリースペースとなっている。玄関は設けられておらず、南に面して設けられた広いデッキスペースが、この週末小屋の顔、つまり外部とのインターフェースとなっており、コミュニケーションの場でもあり、菜園での農作業の延長の場ともなり、多目的な用途に対応する。デッキスペースには外流しとグリルが設けられ、煙や汚れを気にせずに炊事を楽しめる。デッキスペースと主室を仕切る建具は両翼に引き分けられフルオープンとなり、空間を一体化することができる。また、夜間や不在時には両翼の格子戸を閉めることもできる。1階の主室には小さなシンクとクックトップを設えたキッチンテーブルが置かれるだけである。2階は読書室と二帖の畳が敷かれ、晴耕雨読の生活に対応する。
モジュールは1mを使用、Be-h@usを採用できるように対応している。

Posted by S.Igarashi at April 12, 2004 01:49 PM | トラックバック
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