1999年12月11日のメモから
先日、解剖学者・養老猛司の「学問の格闘」という日経サイエンスでの対話を一冊にまとめた本を買った。その中で認知心理学を専攻している菊池聡との対話「超常現象を信じる人、」でクリティカル・シンキングという言葉が出てきた。日本語では批判的思考と訳されるが、何かにケチをつける意味ではない。心理学的に見て錯誤が起こりやすい状況があることを認識し、できるだけ仮説は仮説としてものごとを捉え、正しく因果関係を判断する姿勢を身に付けようということで、ものの考え方の技術ということである。
大野晋の岩波新書「日本語練習帳」に「思う」と「考える」の違いについての記述がある。「思う」が一つの事柄に対する心の動き示す言葉であるのに対して「考える」は複数の事柄に対する心の動き示す言葉であるという意味の事を書いている。
つまり「恋人を思う」は恋しい人の事で脳が占有されている状態であるが、「恋人を考える」では何か他の対象物と比較して起こる心の働きである。
「思いすごし」「思い込み」と「考えすぎ」の違いも、「思う」と「考える」の違いの意味を考えると良く理解できる。
学生の提出課題を見ていると「思い込み」と「考え不足」が多いことに改めて考えさせられる。
Posted by S.Igarashi at April 11, 2004 02:17 PM | トラックバック