December 10, 2003

眠る場所

先のエントリー【「JR中央線の復古神道的解釈」に思う】で八王子には霊園が多いと書いたが、私のいる所も地主が高尾山に縁のある真言宗の寺で、北側の窓からその霊園が見える。私が生まれた足立区の家も隣が弘法大師とも縁のある真言宗の遍照院という寺であった。そこの墓所と生家の庭とが裏木戸を介して行き来できようになっていた。昼間は一人で墓所を通り抜けることは厭わないが、暗くなってから一人で墓所に入るのは、落語、講談の怪談噺を思い出し、幼い私には怖くて嫌だった。80年代を過ごした南青山の事務所は、かつての斎藤茂吉の青山脳病院に通じる北坂を挟んで青山霊園・分園の立山墓地に面したマンションの四階だった。事務所の北側の窓からの景色は九条家の墓所の傍らにそびえ立つ花梨の老木を正面に見据えていた。事務所に訪れる人は決まって立山墓地を見て「幽霊がでそう」とか「お墓の側で夜は怖くないの」と言うので、私は決まって「生きている人間の方がずっと恐ろしいです。」と答えることにしていた。

Posted by S.Igarashi at December 10, 2003 08:54 PM | トラックバック
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