「バカの壁」が流行語ベストテン・ランクイン、その上2003年のベストセラーと、その余勢を駆ってか、養老孟司センセーはテレビ出演、コマーシャル主演と大忙しである。ちなみにAmazon.comで「養老孟司」をキーワード検索すると、なんと154冊もある。全てが書き下ろしでなくとも、監修、共著、対談集等を含めてもこの数はたいしたものである。それにしても養老センセー、「バカの壁」の新潮社だけを依怙贔屓するのは不公平と中央公論、光文社、日経サイエンス、 PHP研究所 、集英社、等々、からも新刊を出すなど、他社への気配りも怠らない。全方位外交である。きっと頼まれると断れない性格でしょうね。
ぼくも恥ずかしながらMAD Press Vol.12 (1994/1/31)で養老センセーの「バカの壁」を自嘲的に使っていた。10年後に流行語になると知っていたら使うのを止めていただろうに、若気の至りである。養老センセーの本は対談集も含めて数冊読んだが「バカの壁」が何に出ていたのか「唯脳論」なのか、何なのかどこから引用したのか、そこまでの記憶はない。「バカの壁」もベストセラーになっていたので読むのを躊躇していたが、いちおう賈って読んでみたが、自分の脳内にそびえる「バカの壁」がバリアーとなっているのか、なんだかあまり興味深く読めなかった。ちなみに蛇足を承知でAmazon.comで「バカ」をキーワード検索すると「バカの壁」を筆頭に692冊あった。養老センセーの手を離れ「バカの壁」が独り歩きし、それにつれて誤読・曲解も増えているのではなかろうか。