財布がはち切れそうで重い。一万円札がびっしり詰まっていて重ければ「ドーダ!」とばかりに成り金風情で自慢できて良いのだが、財布の中身は矢鱈と増え続けるポイントカードにレシートの類いが殆どで現金はごく僅か。いつ頃からだろう、こんなにポイントカードが増え出したのは。70年代はその頃の僕の体形と同じで財布もスリムで、せいぜい銀行のキャッシュカードが入っているくらいのものだった。デパート系のクレジットカードやポイントカード、メンバーズカード、サービスカードの類いが俄に増え出したのは80年代に入ってからだろう。ポイントカードは顧客の囲い込み、つまり顧客をリピーターにさせるシステムである。
財布の中身をざっと見ても、これだけのカードの類いがある。これでも、なるべくカードは作らないようにしているから少ないほうだろう。以前持っていたデパート系のクレジットカードも更新手続き行わず、カードを破棄処分して、クレジットカードはVISAだけにした。近ごろは大手スーパーでもポイント機能付クレジットカードを始め、その勧誘のしつこいことには些か閉口する。
大手スーパーのイトーヨーカドーでも今年の四月からポイントカードを廃止して、ポイント機能付クレジットカード一本に統一した。あまりにも露骨な顧客囲い込み作戦である。僕はこのイトーヨーカドー・クレジットカード申込書を仔細に読んでみて、こんなものには入らないでおこうと決めた。住所氏名までなら許せるが、なんで、小売業ごときに年収やら家族構成やらの個人情報を売り渡さなければいけないのか理解できない。そこまで彼らのマーケティングに協力する義務などありはしない。道路を倉庫代わりに使って多くのトラフィック障害を起こしているイトーヨーカドー系列のセブンイレブンでは会計時に客を性別年齢別に分類していると云う。小売業にとって僅かなポイントサービスで顧客の個人情報が手に入れば濡れ手に粟、商品によっては顧客の生理的周期も掌握することだって可能だ。これでは1984の世界じゃなかろうか。個人情報保護法が成立したから、そんなことはないだろうと信じるのは勝手だが、まったく薄気味悪い世の中になっている。
ところで、今年の四月からポイントカードを廃止したイトーヨーカドーであったが、余程、不評だったのか、それとも売り上げが落ちたのだろうか、再び六月頃からポイントカードを復活させることになった。消費者をなめてはいけない。