September 19, 2003

街路樹はどこへ?

10年以上前の南青山5丁目のFrom-1stの前の写真である。道の先にコレッツォーネも既に建っているから、From-1stが完成してからも10年位は経っている時の写真かも知れない。

From-1stの設計は先日もトリビアの泉に出演した建築家の山下和正氏、施工は確か竹中工務店と記憶している。From-1stが建つ前ここには木造瓦葺きの日本家屋の屋敷があった。この道は高木滋生建築設計事務所に勤めているときにも、毎日通っていたし、事務所を辞めて5年ほど経ってから、再び近くに事務所を借り、10年近くいたので、裏道から、地形がどうなって、どこに関東ロームの地山があるか、或いは埋め立て盛り土された所とか地盤の状況まで結構詳しい。
表参道から根津美術館北門までの通りを「みゆき通り」と言われていたのは地元のそれも年配の人しか知らないと思う。僕も地元商店会発行のタウン誌でその事を知ったくらいである。その「みゆき通り」には街路樹として豆科のニセアカシア(和名:槐--えんじゅ)が植えられている。もちろんFrom-1stの前の何も植えられてなく地面が露出している場所にもニセアカシアが植えられていた。
工事に先立ち、工事車両の進入のため歩道が切り下げられ街路樹が撤去され、その部分にゲートが設けられ現場周囲は仮囲いが設けられた。それは役所に道路使用許可等の申請手続きをしたうえで行うことなので何の問題もない。
工事が終わり、歩道が切り下げられた個所も原状復帰し、低木のツツジが植えられガードフェンスも設けられたが、撤去されたニセアカシアの街路樹が再びこの場所に植えられることはなかった。

これも法律的にはたぶん何の問題はないのだろう、例えば国立公園内の敷地で仮に高木を30本伐採して建物を建設して、後から低木30本植えれば、数の帳じりが合うので、そのように指導された体験もあるので、街路樹の原状復帰も高木と低木の区別をしていないのかも知れない。

しかし、歩行者にとって街路樹が消えてしまうのは寂しい限りである。

Posted by S.Igarashi at September 19, 2003 11:13 AM