ある政令指定都市に勤める造園設計技術者から聞いた話しである。近年、街路樹にケヤキ等の落葉広葉樹を植えるのが困難になっているという。それは排気ガスによる大気汚染等の環境問題でなく、毎年、秋になると訪れる落葉が問題になるという。車道は道路清掃車で夜間清掃すれば良いが、歩道は機械任せにできず、人手に頼るしかない。自治体による清掃が行き届かなければ住民からの苦情も多くなる。
かっては、自分の家の前の道は家主が清掃するという不文律があった。長屋の住民は路地を掃除、大店の主は小僧に店先の掃除をさせる。店先や門前が散らかったり汚れているのは家主の恥でもあった。
そう、昔は住民の誰もが「レレレのオジサン」であり「レレレのオバサン」だったのだ。掃除をしながらでも、通行人に「お〜出かけですかレレレのレ」と声を掛ける。このような町は当然の如く犯罪の発生率も少ない。
ケヤキを街路樹に植えられなくなった公園課は住民の同意を得やすい常緑広葉樹を街路樹に選ぶようになった。何のことはない落葉の季節が秋から春に変わっただけのことである。
原宿の表参道からケヤキ並木がなくなったらどうだろう、とたんに土地の価値も下がるだろう。結局は自分の暮らしている土地の価値を高めるのは住民の意識の向上しかないと思う。
Posted by S.Igarashi at September 20, 2003 09:59 PM | トラックバックもう大分前のことであるが、表参道と明治通りの交差点に立ったとき、以前と違い何か殺伐とした雰囲気になっていた。セントラルアパートがなくなり、GAPの大きなビルボードが目立つからではなさそうだ。地下鉄の工事の為、明治通りからプラタナスの街路樹が無くなっていたのだ。それでなくても明治通りは交通渋滞の激しい通り、それに輪をかけて違法駐車も多い。街路樹が消えただけでも、そこら辺の新興都市と同様な貧相な町並みになってしまう。
Posted by: S.Igarashi at September 21, 2003 09:07 AM