September 14, 2003

Aldus PageMaker

僕がMacintoshのUserになって衝撃を受けたソフトウェアはMacPaintでもMacDrawでもMiniCADでもなく、確か1988年にキャノン販売の手によって日本語化されたDTP(DeskTop Publishing)ソフトウェアのAldus PageMakerだった。それは誰もがパブリッシャーになれるという可能性を感じたからだろう。既に日本語DTPソフトにはエルゴソフトのEG-Bookがあったが、リドロウが遅く、全くと言ってい良いほど使い物にならない代物であった。EG-Bookに比較するとPageMakerは遥かに操作性に優れ、リドロウも早く快適であった。晴海のビジネスショー(或いはデータショー)でPageMakerのデモを見て、すぐにキャノン系のゼロワンショップに注文したことは言うまでもない。

浜松在住の古山君にもPageMakerを奨めると、彼はにべもなく「そんなもの何に使うの」と否定した。彼はその舌の根も乾かぬ間に、PageMakerで「MiniCADしんぶん」を発行しMAD Partyの魁をつくった。その頃、僕は僕でMacPerspectiveの日本語マニュアルを勝手に作ったりしていた。

翌年の1989年にリリースされた日本語ポストスクリプトプリンタ・Apple NTX-JとPageMakerはMAD PartyとMAD Pressにとって最強のツールであった。確かに道具が人の行動を変える、そんな時代に僕らはいた。

その後、PageMakerは後発のQuarkXpressにシェアを奪われ、AldusはAdobeに売り渡され、そのAdobeによるInDesign によって引導を渡され、メインステージから引き下がることになった。今年7月に出版した「VectorWorks10で始めるCAD」も編集作業をInDesignで作業するか検討したが未だ印刷所がInDesignに対するノウハウの蓄積がなく、結局はPageMakerですることになった。たぶんこれがPageMakerする最後の仕事であろう。

Posted by S.Igarashi at September 14, 2003 03:07 PM
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