May 19, 2016

タイムリーな除籍

大学図書館入口・階段ロビーの段ボール箱に「ご自由に御持ち下さい」と無造作に捨て置かれた除籍本の数々、その中にタイムリーな除籍本が一冊混ざっていた。
蜷川幸雄がテレビの俳優から遠ざかり舞台演出家として活動し始めたのを知ったのは1970年頃の美術手帖だった。その頃、美術手帖では磯崎新が「建築の解体」を連載し始め、また植草甚一がJazzのレコード評を受け持っていたりで、読みごたえのある雑誌だった。
そんな美術手帖の演劇特集か何かで期待される演出家の一人として取り上げたのが蜷川幸雄だった。記憶に残ったのはテレビドラマ等の脇役(悪役)で顔を知っていたからだろう。
頁に目を通すと「蜷川幸雄伝説」は演出家個人の伝説だけでなく、彼が生きた時代の記録でもある。新宿でん八物語と合わせて読むと、1970年代の新宿三丁目界隈にもタイムスリップもできるのだ。

Posted by S.Igarashi at May 19, 2016 10:10 AM