Hamburg '72
42年前のラジオ放送の音源がECMよりアルバムとしてリリースされた。ECMのプロデューサーであるマンフレート・アイヒャーが録音に関与していない音源がリリースされるとは希有なことだろう。今年、7月11日に息を引き取ったCharlie Hadenへの追悼の意味が含まれているのか、アルバムの為のリミックスは翌日の7月12日、オスロのレインボー・スタジオで行なわれている。チャーリー・ヘイデン(b)とポール・モチアン(ds)によるKeith Jarrett Trioでは"Life Between the Exit Signs"(1967)と"Somewhere Before"(1968)が残されているが、それらのアルバムと本アルバムとの四年の間、キースはマイルス・デイビス・グループ への参加やGary BurtonとのコラボレーションやJack DeJohnette とのデュオやソロ・アルバムFacing You (1971, ECM)等を残し、ジャズのイディオムに拘泥されないマルチ・プレイヤーな活動をしている。そして、本アルバムのピアノトリオにオーネット・コールマン・スクールのデューイ・レッドマン(ts)を加えた「アメリカン・カルテット」による活動も開始している。私がその「アメリカン・カルテット」を生で聴いたのは、このアルバムの二年後、40年前のことである。う〜む。